act.14ストレス発散には暴れるに限る
えーと。今回なんか拓海がキレます。今までのストレス爆発しちゃいます。
act.14ストレス発散には暴れるに限る
「そおぉりゃぁっ!!」
横薙ぎに蒼鬼で薙ぎ払う。面白いように吹き飛ぶ兵士。風を纏わせたため、刀身に当たる前に吹き飛んだ奴もいるようだ。
そのまま今度は目の前にいた奴に回し蹴り。三人程ドミノ倒しだ。
「お前ら~逃げるんなら今の内だぞ~?」
そういいつつ、向かってくる奴には容赦なくライデイン。あとついでにバギ。あ、すげえ高く飛んだ。
「うるせぇっ! 逃げても殺されるんだ! 行くぞお前らあぁ!」
「めんどくさ。またそれかよ……」
ギガデインに変えちゃおうかなぁ。おっと危ない、何か飛んできた。
「ちっ……! 行け行けお前ら! もっと魔弾撃て―!」
ああ、つまり弾丸が飛んできたのね。よし喰らいやがれ!
「こんちくしょうどもあぶねえじゃねえか! ジ ゴ デ イ ン!!」
なんとなくイラっときたのでギガデイン通り越して最上級呪文。あー手加減してるけど大丈夫かな? クレーターっぽくなっちゃってるし……あれ、被害拡大した?
「な、なんだこいつ! こんだけやって魔力が無くならないだとぉ!?」
そりゃそーだ神の力だもん。とりあえずもっかいジゴデイン!
「なーなーお前らいい加減退け」
「くそ、馬鹿にしやがって……!」
あ、しまった。火つけちゃった?
あーなんか一人の奴を何人も囲う様に座ってるよ。それを更にたくさんの敵さんが守っている。
「しまった、上級魔法か!」
「先生、あれ阻止できますか!?」
「やれなくても妨害はする。手伝え、お前ら!」
上級魔法がどれ位のレベルかは知らんが、まずいっちゅーことだけは分かった。
「HELL DRAGON!!」
蒼鬼を突き出し、電撃の球を打ち出す。三日月兜に英語が流暢なあのお方の得意技。多段ヒット技だし中央届くだろ。
「うわ……何ですかあの威力は」
セシアに引かれた……それもそうだ。中央どころか一直線に道ができたよ? タメ無しなのに……BASA○Aじゃ一回だと死なない敵兵すらいるのに……
「相変わらず常識はずれな……何!? まだやる気か!?」
「フハハハハハ! 魔法陣展開の基礎はできたのだよ! 継続すればいい話!」
めんどくさ……
「先生、危な……え!?」
うん何かね、たーくさん矢に炎やら雷やら氷やらを纏ったのが飛んできた訳よ。で、危ないからぜーんぶ風で吹き飛ばした訳。
……なのに敵味方関係なく引かれるってどーなのよ?
「……あれ?」
「……先生、相変わらずとんでもねぇ……」
「味方で良かったです……」
「何だあれ……バケモノか!?」
「エ、エルフ種だってあんなに高威力魔法使えないぞ!?」
あれー……? なんか傷ついた……特に魔王軍に対して。
「俺は化物じゃねえぇぇぇぇっ!?」
俺はキレた。後々考えると何でこんなことでキレたんだろう?
「消えろぉぉぉぉぉ!! ド ル ク マ!!!」
ついつい雰囲気で闇の雷を……あれ強くは無いんだが……まあどーでもいい。
「ぎゃああ!!」
「なんですあれ?」
「わからん、ていうか俺も怖い」
「待て待て待て、いや待って下さいお願いします!!」
「ぎゃああ! 助けておかあちゃーーーん!!」
何か色々気持ちの良い悲鳴が……あれ、俺どうした。キレすぎてないか?
それと最後の方の二人! お前らホントに軍人か!?
「黙りやがれぇい! ド ル マ ド ン!!!」
先ほどよりも遥かに大きな闇の雷が敵兵を襲う。周りの皆引きまくってる。待て待て待て、なぜそんなに引く!?
「に、逃げろぉぉぉぉぉ!!」
ついに敵大将が撤退令を出す。万事解決になった……はずだったが。
「逃がすかおどりゃあぁぁぁ!!」
再びドルマドン。敵兵の三割が吹き飛んだ。ついでに引かれ具合も三割増し。
その後、結局渓谷をはさんだ国境部分に追い詰められ、必死に橋を渡る彼らを尻目に俺は後ろから蒼鬼で橋を切る。
「この高さなら死にはしまい。せいぜい頑張りやがれ!」
落ちていく彼らに俺は激励の言葉を送ってやった。俺って優しいなあ。
と、まあそれで後ろを振り向いた訳だ。直属部隊の皆もついてきてくれてたわけなんだが。
「……惨い……」
「怖い……」
「……敵だったらどーなるんだ……?」
「これはまた……」
「あわわわわわ……」
「えげつねぇ……」
第一隊から第六隊の面々全員にドン引きされました。Why?
「ふぅ……さ、帰ろ……う、か…………?」
ただ、それに気付いたのは橋を落としてまわれ右した時。ははは皆どうした笑顔がひきつってるぞ―?
「ん……と……どうした?」
そう言葉をかけた瞬間、更に皆の顔が引き攣った気がする。
「お、憶えて……いないのですか?」
控え目かつストレートにレムが聞いてくる。
「え……と。気付いたらここにいて敵兵が居なくなってた」
事実、俺は少し記憶が真っ白。で、俺は皆から状況を聞いて……自分で自分に引いた。
「何か……ゴメン」
そういえば昔もキレて友達をあの世に送りかけた上止めに入った友達もろともお花畑を見ていたっけか……しかもそれを無意識かつ無記憶で。
「先生はキレると何しでかすか……ある意味分かったようなものだな」
デフィアの一言でトドメを刺され、俺はorzな状態になった。
「と、とにかく敵は無事追い払えましたし……帰りませんか?」
「うむ、確かにな。……おい、どうしたゼルキス?」
「……何か気配がする……」
「む……!? ……確かに……」
嗅覚その他が鋭いアクト、ゼルキスは何者かの気配を察知したらしい。
「ふむ? ではイゼフ、具体的な場所を特定できるか?」
「や、やってみます。では、ちょっと……おし、お静かにお願いしますね」
「その必要は無いようですよ?」
「……そのようだ。上を見てみろ……」
セシアとデフィアが指示する方向を見ると、確かに特定するまでもない巨人が街に向かっている。ここから……1km弱か。
「ちぃっヤツらの手先か! イゼフ、ついてきてくれ!」
「は、はいっ!」
「あと飛行できるならついてこい! 他の者もなるべく早く来てくれよ!」
空を飛べば森林地帯を走る分のロスはない。せめて全員そろうまで時間稼ぎができれば……あわよくば倒してしまいたい。
俺は風を纏い、そしてイゼフ含め数名の兵士がついてきた。
ドルマ系、闇の雷とかすっごい厨二でかつ強くないんですよねぇ。
と、次回は中ボス的な巨人君と戦闘です。