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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Lack! 皇子は完璧じゃなくていい。【前】

「・・・砕けた。」

 部屋に戻って、寝台に倒れるまでの台詞はそれだけ。

まさか、本当に全員の相手を順にするハメになるとは思わなかった。

最後に"その気"になってしまった姫の相手は、丁重にお断りはしたが。

ぽむぽむとうつ伏せに倒れたオレの後頭部を叩くようにオリエが撫でている。

「ありがと・・・。」

 大体だ、ずっと最大速度を維持したまま、迫りくる武器をかいくぐり、重武装をした相手を徒手で制するとか・・・。

オレは確か、触れたら交代と言った気がするんだがな。

むにゅぅ。

「あぅ?」

 視線が一度上がって・・・また下がる・・・?

鼻先に温かめの仄かな弾力?

「・・・?!」

 飛び起きた。

「いや!オリエ、それはダメだから。」

 目の前で首を傾げるオリエ。

「膝枕は、うつ伏せ以外の体勢の時だけで!」

 一瞬だけ少女の膝と膝の間、股間に顔を埋める、通称"ただの変態"になってしまったじゃないか!

勘弁してくれ・・・。

まぁ、膝枕をして癒してくれようとしたのは感謝するけれど。

「ん?何を読んでるんだい?」

 彼女の開いている本を覗き込む。

「なになに・・・自然界にはいくつかの相互作用があり、それが様々な物質との密接な関係が・・・。」

 んむぅ・・・。

「故に、この基本的な幾つかの相互作用の関係上、空気中にあるとされる粒子もこの法則に則って存在し・・・。」

 斜め読みだが・・・。

これって・・・昔、オレも似た様なのを読んだ事があったような。

「オリエ、これってさ・・・。」

 オレが質問しようとすると、パタンと本を閉じ読むのを完全にやめてしまう。

なんだっけかなぁ、この本。

いや、似たような本の題名・・・。

内容は覚えるけれど、題名は覚えないなからなぁ、オレ。

あと作者も。

「オリエは勉強家なんだねぇ・・・オレより頭良いかなぁ、きっと。」

 オレは彼女の頭を撫でる。

どうやら、オリエの頭脳は専門的に限れば、相当のようだ。

・・・奴隷になった原因もそこにあるのかも知れない。

「オリエ、大好きだよ。」

 オレは彼女の未だに痩せた身体を抱きしめた。

「トウマ様、オリエちゃん、ご飯ですよ。って何してるんですか?!」

 間の悪いところで・・・ミリィ。

いや、さっきの膝枕を目撃されなかった分だけマシか?

「何って、溢れ出る親馬鹿的な?妹馬鹿的な?そんな愛情表現中。なー?」

 すかさずオリエに振ると、コクリと頷く。

さて、ここで問題はだ、この賛同は今の台詞のどの部分だったかだな。

一、親馬鹿。

二、妹馬鹿。

三、愛情表現。

賢いオリエの事だから、四のその全てという選択肢の可能性が高い気もするが。

「むぅ、トウマさまは本当にオリエちゃんに過保護なんですから。」

 食事を乗せた盆を置いて、苦笑するミリィ。

「何を言う、ミリィも同じくらい大好きで過保護だぞ。」

 皆には本当に感謝しきりだ。

でなければ、オレという人間性は途方もない方向にへと捻じれまくってるか、狂っていると思う。

そういう確信がある。

利用しているという感が否めなくはあるが。

「ま、また、そういう事を。」

「ミリィも抱きしめてやろうか?」

 更に軽口を叩いてみる。

ミリィの反応はとても素直でいい。

じりじりと試しに近づいてみようか。

「も、もう、馬鹿な事を言ってないで、早くご飯食べてください。冷めたら勿体無いですよ。」

 盆に乗せた料理をオレに見せる。

「そうだな、ご飯にしよう。」

 オリエにそう言って、再びミリィを見たオレはその一点で視線を止めた。

「どうしました?」

「いや・・・。」

 オレの視線に気づいたミリィに対して言葉を濁す。

でも、もうしかしたら、いい機会なのかも知れない。

「ミリィ、オレが買ってあげた耳飾をしうてくれているんだなって。」

 リッヒニドスで皆に買った装飾品。

「え?あ、まぁ、それは・・・記念の品ですから。」

 えへへと何時もの口癖で照れるミリィ。

「そうだな、ある意味で絆の品だもんな。」

 誰かに感謝したり、喜んでもらえるという感覚。

「オリエにも何か買ってあげないとなー。」

「またそういう過保護っぷりを・・・。」

「だって、不公平だろ?あ、でも、今は外出は当分出来ないしな。」

 胸の鼓動が激しい。

緊張・・・というより、恐怖かな。

色んな事がどうにかなってしまいそうな・・・。

「とりあえず、今は仮って事でコレを貸してあげよう。」

 オレはリッヒニドスの城を出てから、肌身離さず首にかけていた鎖をオリエの首にかける。

とても簡素な"銀の指輪"が通ったソレを。

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