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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Hurry! 皇子は最中に躍り出る。【後】

おニューな壁紙で心機一転だっ。

・・・正直、今更会話文と文章文の行間空けるのもなぁ・・・。

でも、某サイトの計算曰く、会話率は27%と3割切ってるからなぁ。

あぁ、前も全く同じ事を同じ相手にやったよなぁ・・・全く芸がナイ。

ついでに空気も読めてない感がする。

そんな事を考えながら、オレは野次馬の何人かを掻き分け激突する二人の間に踊り出た。

「ッ、痛ゥ・・・。」

 言っておくが、オレは痛みを黙殺する事に慣れているだけであって、我慢強いというワケでも痛みを感じないワケでも全然ない。

「トウマ?」

 呆れを含んだ驚きと共に、自分の槍斧の柄を片手で受け止めているオレを見てる。

くそぅ・・・右手打撲したかな、この馬鹿力めっ。

骨折一歩手前のヒビかも知れん。

そして、問題はオレの前に押し出す様な状態で、掴んだ左手の細剣。

掴んだオレの手から、ぽたぽた血が流れ出ている。

「と、この様に何やら互いの武器に手違いがあったようなので、失礼ながら割り込まさせて頂きました。」

 キッと、このアホな事態の引き金になった例の偉そうな赤服オヤジを睨む。

あ、偉いのか。

「何度も無粋な真似をして申し訳ありませんでしたね。」

 隣のラスロー王子にも一応、な。

「いや、止めに入ってくれて良かった。済まないが早く手を離してくれ。君の手当てをしなければならないだろう?」

 前回といい、意外と聞き分けがいいな、彼。

王子とか皇太子とか、一癖も二癖もあるのが当然だと思っているオレが変なのか?

いや、そんな事はない。きっとナイ。絶対ナイ。

「競う交流も大いに結構かと存じますが、どうせなら一生の付き合いになる交流の方が私は欲しいですね。」

 本音を何の嫌味もない様にさらりと述べて、ラスロー王子とアイシャ姫の武器から手を離す。

「素晴らしい!それこそ、この施設の理想ですわっ。」

 横合いからの声は、何処から現われたか謎な施設長だ。

さっき見た距離より近くで見ると、肌の白さは雪の如くというより氷の透明感。

「それでは、私はこれで。」

 会話するのも億劫だが、何よりも"目立ってしまった"事実をこれ以上拡大したくない。

さらりと流して、マール君の居る方に歩く。

何時もながら、やってしまってから思うんだが、さてこの状態をミリィにどう説明しよう・・・困った。

バルドみたいに筋肉と精神力で、傷とか血流とか抑えたりできたらいいのに・・・。

人間の範疇にいる方がいいか。

「マール君のせいで目立ってしまったじゃないかー。」

 どうしてくれるんだっとばかりに睨んでみる事にする。

「えっ?!あぅ、うっ、う~。」

 瞳を潤ませて泣き出す一歩手前のマール君。

耳までしゅんと心なしか丸まってるのが楽しい。

いいな、亜人種。

「まぁ、いいや。部屋で手当てしてもらえる?右手は固定しないとヤバいかも。」

 何もしなくても、ズキンズキンと鈍痛がしてくるわ。

「あ、はい!します、します!」

 コクコクと激しく縦に首を振りまくるマール君、首落ちるぞってそれはないか。

意外と可愛い。

オリエの次に。

そこは譲らないぞ、流石に。て、何をアホな事を・・・。

「おろっ?」

 マール君を部屋に促しながら、今更左手の感覚がない事に気がついた。

「どうしました?」

 傷は深くない。

変な筋肉や腱を切ってもいない。

ただ感覚がなく動きも鈍い。

「と、なると・・・。」

 冷や汗が出てきた。

感覚はもう肘辺り近くまでなくなってる。

「ご丁寧なコトですね。と思うわけだよ、マール君や。」

「?」

 自分の意思に反して、指先はぷるぷると痙攣まで始めていてだな。

「ね、マール君。悪いけど傷薬以外にも用意して。剣にしひれくふりが・・・。」

 呂律も回らなくなったか。

舌を噛まないようにしないとな。

歩けなくなったら、マール君一人じゃ運ぶのも大変だ。

完全に力が入らなくなる前に、大股歩きで出来る限り部屋へと進む。

意外と即効性だけれど・・・後遺症の残るヤツじゃないだろうな?

それだと大問題になるが、これを仕掛けた人間の目的がこの施設の廃止とかじゃない限り、有り得なくはないなぁ。

でも、廃止になっても誰が得するワケではないし、タチの悪い悪戯の類だろうか。

「お?」

 膝がカクカクしてきた。

う~ん、マール君には悪いが、あとは何とか運んで行ってもらう事にしよう。

オレは顔面を打たない様にその場に崩れて倒れた。

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