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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Eager! 皇子は意外に気に入られる。【後】

 問題がありまくりの一日だったが、残るべくして残った最後の問題。

"部屋割り"だ。

ミリィと今日会ったばかりの(オリエは別)アレと一緒というの躊躇われて・・・。

仕方なく、ミリィ・オリエという組み合わせに。

「なぁ?オレ、君の従者に無礼討ちにされない?」

 思わず、今晩のお隣さんに聞いてみた。

「大丈夫ですわ。私、貴族位高くないですし。それに当家は傍流ですわ。」

 この説明がさらりと出来る時点で、問題の主旨は理解はしているようだな。

「貴族位が低くても、他国のお嬢様には変わりないんだがな。」

 貴族は貴族。

他国なのは、彼女の得物を見ればわかる。

どう考えても"ヴァンハイト以外の国"の貴族だ。

あー、正確にはヴァンハイトの皇子と他国の貴族の子女の構図なんだが。

・・・て、こっちのがマズイよな、外交的な意味で。

「ゾっとするな。」

「何か?」

「い、いや・・・そっ、そ、そう綺麗だなって。」

 何だソレ。

自分で自分に突っ込んでしまった。

今の彼女は、例の部屋でオレが選んだ最高級の絹の夜着を着ている。

・・・言っておくが、透けたりとかしてないからな。

全身を覆っているからな。

「うふふ。お世辞が上手ですわ。」

「別に取り入ろうと思ってないからな。でも、その髪は美しいと思うよ。」

 彼女には悪いが、レイアの綺麗な髪を思い出す。

「あら、トウマさんもそう思います?家族にも言われるんですよ。」

 よし、何とかきっちり誤魔化せた。

「あぁ、思うよ。それと明日から"トウマさん"はやめてくれよ?そっちはお貴族様なんだから。」

 平民って何時もこんな事を考えてんのかな?

能力別登用制度の導入をカーライルに提案して良かった。

アイツも何処か実力主義だったしな。

いずれは、どんな地位にでもなれるように出来ないと。

「あら、ダメなんですの?」

 ワザとだろ、この女。

「少なくとも位が上なので呼び捨て・・・いや、もう面倒だから声かけなくていいです。」

 大体、武器さえ持たなければ、美人でお嬢様なんだから絶対目立つ。

寧ろ、貴族の男性陣の不況を買う。

下手したら、何人かのさなきゃなんなくなりそう。

「でも、折角お知り合いになれたのだし・・・。」

 やりにくい、この人。

「大丈夫。美人なんだから、貴族様の殿方が放っておきませんよ。」

 男が美人に弱いのは、世の常だ。

「どうぞ、貴族同士で仲良くしてくださいな。」

 オレは彼女に向かって首を竦めてみせた。

「それではつまらないですわ。」

 つまるつまらないの問題じゃない。

こちとらこの先の安穏な生活がかかってるんだ!

「そういう問題じゃない。」

 コイツはデカい子供か。

全く、貴族ってヤツは・・・って、オレが言うのもなんだかな。

すっかりしょげてしまった彼女の姿・形は、今はいない者達を思い出させる。

やっぱり、オレは甘いんだな・・・。

甘過ぎるから、失う事になるんだな・・・もっと慎重に冷静にならなきゃいけないハズなのに。

「・・・誰も見てない二人の時ならいいよ。声かけても。」

 言ってしまった・・・。

まぁ、多分、そんなような状況になる事は皆無だろうからいいか。

「本当ですか?!」

「あ、うん。でも、なんか、オレに拘り過ぎてない?なんで?」

 ちょっぴりね、うざったい気もするのよ。

「考えた方が違う方と一緒にいる方が、自分の為になりそうなのと・・・純粋に興味ですわ。」

 やべぇ・・・純粋に気に入られた?!

「ち、ちなみに更にお聞きしますが、何がご興味を引かれたのデショウカ?」

 今後の参考にさせて頂きたいデス。

「最初は長剣使いかと思っていたら、二振り腰にさしていますし・・・。」

 唇に指をあてて言葉を続ける。

「双剣まで買い求めていらしたし、盾や鎧まで見ていらしたから。」

 ・・・まぁ、買った品物的には、重装機甲歩兵に近いよな。

「あ゛。」

 ・・・槍斧とか戦斧とか使う国の騎士団て・・・重装兵じゃね?

て、コトは・・・。

「何やら色々と通ずるものがありそうなので。」

 いやいやいや、オレはバルドも認める剣の軽さなんで!

重装とかしたら、動けない事受け合いなんで!

「全然戦法すら違うと思いマス・・・。」

 いや、本当。

「という建前もありつつ、トウマさんというお人柄自体に興味津々だったりしますわ。」

 ぱんっ、と笑顔で手をたたかれてもオレ的にどう反応したらいいのやら。

「後悔しても知らないですからね。」

 ぐったりだ。

明日からこれよりも更に大変だと思うと、先が思いやられるな・・・。

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