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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅰ章:黒の皇子は決意する。
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覚悟と魂と高潔さ。

 九死に一生を得た事と、剣を手にした事。

一体どちらが先なんだろうと、オレは思った。

いや、病にかかった方が時間的には先なんだろうけれど。

【ディーンの剣】

オレの名前の一部になったソイツは、伝説の武器だった。

何度も言うが、神器でも可。

大好きだった歴史書に記されていた英雄は、記される事すら無かった1人がいた。

先の大戦で開いた次元の穴は、外からではもう閉められないくらい広がっていて、

それを閉じる為には2つの選択肢があったんだ。


 1つは、今、英雄達が所持している武器・神器を使う方法。

穴の中に投げ込んで、その力を解放する。

勿論、穴は次元の穴なので武器・神器も失うし、強大な力同士のぶつかり合いだ。

自分達にも危険が及ぶ。


 2つ目は、誰かが入って、中から閉じる。

勿論、ソイツは次元の彼方に飛ばされ、永遠に彷徨う。

帰ってもこられない。


戦士達は一瞬沈黙した。

残された時間は少ない。

誰もがそう思ったからの一瞬だけの沈黙。

そして誰かが突然、ディーンを背中から斬りつけたんだ。

斬られたディーンを足蹴にして、次元の穴に放り込む。

生贄以外の何者でもない。

今でもソイツの顔を忘れない・・・ディーンを斬りつけた男。

金髪蒼眼の・・・"ヴァンハイト"を!

それが、英雄ヴァンハイトの正体。

我が国の祖皇。

オレの中にある忌まわしき血と同じモノ。

握った剣から流れ込んできた映像は、そこまで。

でも、仲間に裏切られたとても、ディーンは世界の穴を中から閉ざした。

そうでなきゃ、世界は救えてないハズだからな。

きっとそれすらも計算に入れていたのだろう・・・ディーンならそれでも穴を閉じると。

これがただの幻の類なら、それでもいい。

だが、どうしてもオレにはそれが幻や妖の類には、思えるハズもなくて・・・。

気づくとオレの手の中にあった剣は、最初見た形から今の両刃の長剣に変化していた。

ただ、刀身は黒いままだったが。

残った最後の力だったのだろうと、今にしてみればそう思う。

だが、疑問は更に湧いて来た。

次々と。

この剣も、力をほとんど失いかけたとはいえ、伝説の武器には違いない。

という事は、他の伝説の武器、この国にもある双剣のように持つ者を選ぶハズ。

なのにオレを選んだ。

オレに握られる事を・・・。

裏切り者の"ヴァンハイトの血"を引くオレを。

何故?

「アホみたく調べまくったっけな・・・それこそ狂ったように。」

 辿りついた1つの憶測。

ここまで来れば、もうわかるだろう?

"トウマ"だ。

オレの名前の一部、"トウマ"

彼は、オレへの生贄だった。

死に至る病を回復させる為のね。

どうやら、どうやらこの国は未だに世界の穴に関する研究をしていたらしい。

そうだよな。

もし何かの拍子にディーンが生還してきたら。

そういう疑心暗鬼にかかっても仕方ない。

築き上げたモノが全て台無しになるんだから。

流石に穴を開けたり、閉めたりという再現はどんなに研究を重ねても不可能だった。

不可能だったんだけれど・・・この研究は一定の基準までクリアされていた。

"魂"だ。

魂だけを召喚する方法を確立させた。

もう説明は充分だろう?

オレを救う為にオレの魂の資質に近い魂を何処からか召喚して、オレに注ぎ込んだ。

その魂の名が"トウマ"という名前だったらしい。

らしいというのは、召喚した術師は召喚の代償に死亡。

計画に関わった者も、研究者自身も死んだり、行方不明になっていたから、

何とか日記のようなものを見つけて、読んだだけだ。

リスクが大き過ぎて、研究自体はこの段階までで中止になっていた。

魂以外は召喚できず、使った人間は一つの魂に対して複数人死亡。

しかも、魂を定着させる者同士の相性が一致しない限り効果を発揮出来ない。

どう考えても使いモノにならんし、ディーンも見つからなかったんだろう。

父上が止めさせたのかも知れない。

まぁ、研究の本来の目的は、誰も知らないだろうからな。

初代の時代から、膨大な時間が過ぎてるし。

もしかしたらディーンは生きて違う世界に辿り着き、"トウマ"という子孫がいたのかも知れない。

だからその魂の部分が共鳴して、オレは剣に選ばれたのカモ。

逆に剣が、選ぶべき魂を呼んだのもかも知れない。

この辺りが有力。

有力ってだけで、確実じゃない。

どちらにしろ"ヴァンハイト"という名が、人の命や魂を踏みにじった。

そういう事だ。

 で、今朝の案に戻る。

国を滅ぼそうと思った理由。

他には、まぁ、この国の在り様だな。

どう考えても間違ってるというか、排他的過ぎる。

双剣使いじゃなきゃ、実力があっても出世は出来ないとか。(元近衛隊長は例外中の例外)

エルフや獣人のような他人種に対する差別とか。

選民思想も甚だしい。

ただ、悪いのはそういう考えに凝り固まった皇侯貴族だけであって、民は関係ないから・・・

無血路線ではいきたい。

既に血からして自分は聖人君主ではないから、無血ってのは甘いとは思うけれど。

皇制廃止程度でもいい。

この血が国を治めるよりはマシだ。

「・・・兄上と戦う事になるのかな・・・。」

 【ヴァンハイトの双剣】と【ディーンの剣】のぶつかり合い。

時を越えた復讐だな。

「ま、完全に使いこなせてないんだけれど。」

 オレが手に取る前の状態が、本来の姿のハズだから、今は仮の形なんだろう。

「・・・あの時・・・本当に狂っちゃえば良かったな・・・。」

次から予約掲載という機能を使ってみようと思ったり思わなかったり。

意外と試行錯誤です、はい。

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