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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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んで、結局どうなった? ~エピローグⅠ~【エルフ三人娘と、】

Ⅱ章完結の50音タイトル最後の【ん】です。

気楽にエピローグをどうぞ。

 ベットの上で瞳を開くと、何時も彼女が居た。

朦朧とする意識の中で、毎日泣きそうな顔で自分を見ていた幼い少女。

自分が死んだら、彼女はどうなるのだろう?

死に瀕して思った事は、死への恐怖ではなく、そんな事だった。

だから・・・自分は何時も手を力の限り伸ばして、万感の想いを込めて、ミラの頭の上に置いて言うんだ・・・。

「大丈夫だよ・・・。」

 そうすると、そう・・・オレが意識を取り戻して、まだ生きているという事実に微笑むんだ・・・。

「アルム・・・さ・・・ま?アルム様!」

「ぐぇっ。」

 飛び乗ってきた少女の重みに、全身が軋んで悲鳴を上げる。

お陰で、意識がはっきりと覚醒した。

目の前にいるのは、大事な幼馴染ではなく。

金髪・金眼、そして黒い肌の少女。

「さ、サァラ姫?!」

 オレ、気づくの遅ッ!

「はい!」

 元気良く笑顔で返事をするサァラ姫。

何というか、笑顔が眩しい。

「怪我は大丈夫?」

「それは私の言葉です!お身体は大丈夫ですか?

 今迄、出逢った女性の中で、一番高い鈴のような透明感のある声。

身体・・・?

「あぁ、そう言えば、ブッ倒れたんだっけ・・・。」

 サァラ姫がいるって事は、ここは・・・砦の方の城か。

寝ているのは、最近しっかり慣れたオレの寝台だ。

「そうだ。咄嗟に私が受け止めたから、頭や身体は打ってないハズだ。」

 寝台の横で腕を組んだまま、壁に寄りかかかってオレを見下ろすラミア姫。

純白の絹の服の裾をひらめかせ、腰も同じく純白の帯で結んである。

「全く軟弱な・・・何だ?」

 硬直したまま無反応なオレを不審に思ったのか、言葉を止める。

・・・オレって、あの純白の服の中身の"大事な部分だけ"見てんだよな・・・。

「あ、いや、そういう格好していると、本当にお姫様みたいで綺麗だな。」

「な、なっ、何を・・・。」

「うん、綺麗だ。鎧姿も凛々しくていいが、そっちの方がもっといいな。」

 純白が見事に相まって、彼女の黒い肌を引き立てている。

女は化ける。

たまには、ミランダ達も着飾ってあげさせたくなるな。

下を向いて(多分)赤くなって照れているラミア姫をまじまじと眺める。

「そう言えば、サァラ姫もお揃いなのか、似合ってるよ。」

「あ・・・ありがとうございます、えと、その、"姫"はいいです。」

 ふむ。

では、何と呼べば・・・。

助けを求める様にラミア姫に視線を流す。

「わ、私を見るな!アルムの好きに呼んだらいいだろう!」

「ラミア、そんなに怒らんでも・・・。」

 何時の間に互いに呼び捨てになったんだろう・・・緊迫してたから、その辺の記憶が曖昧だ。

謎。

「お姉様ともそんなに親しいのですから、私も同じようにというのは・・・ダメですか?」

 そ、そんな瞳をうるうるされても・・・ね?

「だ、だから、私を見るな!サァラ、私は別にアルムと親しいというワケではない!」

「でも、呼び捨てにして、如何にも親しげーってカンジしてますよ?」

 会話にニコニコと割り込んで来たのは、ホリンだ。

「ホリン、何やら楽しそうだな?」

 もう、こっちはどう反応したらいいのか、起き抜けで全く頭が働かないというのに。

「はい。ご主人様が姫様達と仲良くしているのが、嬉しいんです。」

 君も一応はその姫とやらだろうに・・・とは、突っ込めないがなっ。

「仲良く見える?」

「はい!あ・・・でも、仲良いというより仲違い前?」

「何だそりゃ。」

 ホリンは時たま(?)よくわからん言動をする。

「ご主人様、お身体の加減はいかがですか?」

「うん、頭はぼーっとするけれど、身体はすっきり。あ、サァラ姫の火傷は?」

 ラミア姫を助ける時に負った傷は、しかりと手当がされていてもう出血も止まっていた。

そのままオレはサァラ姫の方へ視線をくるりと下げる。

「・・・。」

「あ、あのサァラ姫?え、えと何故無言ナノデショウ?」

 これにも無反応?

「呼び方。」

 オレを睨みつけながら、囁いて来るのはラミア姫だ。

って、えー。

「・・・んと、サァラ?」

「はい、怪我はお姉様が連れてきてくださった治療士に手当てしてもらいまいた。」

 さっきの無反応がなんだったのってくらいの満面の笑顔で答えられた・・・。

扱いが簡単なのか、難しいのか、年頃の女の子はわからん。

・・・ごめんなさい、年頃じゃなくてもわからないデス、女心。

「そうですか。じゃ、約束通り行きましょーか!」

 何処へ?

そう言い出す前にそそくさと服を脱ぎ肌着姿になるホリン。

はて?

「ほら、ご主人様ー行きますよー、お・フ・ロ・♪一緒に入るって約束したでしょ。」

 えぇと、約束?

そんな会話は・・・。

「マテ。会話はしたが、約束をした記憶はないぞ!」

「あれ?」

 首を傾げるホリンに、うんうんと頷いているラミア姫。

あ、ラミア姫もその会話の時にいたな。

つか、この部屋で服を脱ぐ必要性はあったのか?

「そうです!一緒にお風呂の約束をしたのは私です!」

「へ?」「は?」「何ッ?!」

 両の拳を握り締めて、胸の前でぶんぶんっと振りながらサァラ姫が主張してらっしゃる。

ちなみに順にオレ、ホリン、ラミア姫の反応な。

「ででで、ですから!今日、一緒にお風呂に入って、一緒に寝るのは私なんですっっ!」

「ナンデ?」

 只今、記憶を高速逆再生中。

「あぁ、そう言えば、ほら、ご主人様、依頼報酬ですよ。」

 ぽんっと手を叩いてホリンが発言する。

「依頼・・・?」

 あ。

城を出る前にそんな話した。

シマシタヨ。

「いや、あのね、サァラ、あれは、その物の弾みというか、例えってヤツでね・・・。」

「約束ですっっ!」

 赤面しながらも、鼻息荒く力を込めて主張された。

やっぱり、エルフって極端から極端に走る種族?

仕方がないな。

「なぁ・・・ラミア。姉として妹を止めてくれ・・・。」

 丸投げ。

流石に姉の言葉なら、聞く耳を持つだろう。

「・・・いっその事、四人で入るのはどうだ?」

 ・・・あ゛?

とうとう沸いたか?脳が。

「オマエはアホかッ!」

 女性を大声で怒鳴るのはどうかと思うが、この際仕方がない。

「ちょうど、その話をしようと思っていたところだ。」

「話?」

「馬上で言っただろう、サァラに会った時にアルムに聞きたい事があると。」

 ふむ。

何か回想してばっかだな、オレ。

「だから何だ?」

「聞きたい事はそれだったんでな。」

「話がわかるように言え。」

「ホリンと私とサァラ。選ぶとしたら誰を選ぶ?身体・容姿も選考の基準になりそうだしな。」

「は?何に?」

「嫁にだ。」

 ・・・嫁は嫁でも空気読め。

くそぅ、自分でもよくわからなくなってきてるぞ。

「お婆様が言っていただろう?三人のうち誰かを嫁にどうか?と。」

 一人きょとんとしていたサァラ姫が、その言葉に息を呑む。

「と、いうか、その話は断っただろう。」

「断ったとて、誰を選ぶのか、女としては一応気にはなる。そう、気になる。気になるだろう?」

 周りの二人に力強く同意を求めると、同じ様に二人が力強く頷く。

・・・あー、逃げられんか、コレは?

「選ぶも何も、そんなの元々選択肢がないだろう。」

「ん?」

「相手の気持ちを無視した婚姻は出来ない。」

 これはちゃんと森でも言った。

「例えするとしてもホリンは既にオレのモノだし、サァラは幼過ぎて、そもそもオレの国の成人年齢にも婚姻年齢にも達していない。」

 きちんと理由付けをしないと、ラミア姫は納得しないタチだからな。

消去法なのが失礼だと思うが。

「つ、つ、つまりは私と言うコトだな!!」

 妹の次はラミア姫が鼻息を荒くする。

全く何を聞いていたんだ?

「一番最初に言った前提条件をきちんと聞いていたか?」

 やれやれだ。

「あ、あのっ!アルムお兄様の国での婚姻年齢は、いくつなのでしょう?」

 サァラちゃん、何時の間にやら"お兄様"がついてら。

謎その2。

ちょっぴり似てるじゃないか、この姉妹。

血が繋がっていないとかいう見識を改めてやろう。

「ん~、ウチは女性は十七才からだったかな、確か。」

「あら、それなら私は大丈夫です。」

 そうだろ、そうだろ、その十二、三才の幼さじゃ・・・

「って、なぁにぃぃぃぃぃーッッ!!」

 馬鹿なっ!い、今なんて?!

「で、ですから、私は人間年齢では、十七才を超えてます。」

 さ、さ、さ、詐欺だっ!

「ご主人様、"純血のエルフ"は人間と同じ速度では年は取りませんよ?外見で判断はダメです。」

 ホリンが固まっているオレに苦笑しながら告げる。

オマエ、どっちの味方だ。

「じゃ、じゃあ、ラミアは・・・?」

 実は物凄い年上だったり?!

「どのみち年上の女房は、我が一族では良い事とされて歓迎される。」

「えと・・・つ、つまり・・・。」

「年齢的には、望めば誰とでも結婚出来るという事だな。」

 低身長で体型も幼い少女と、勝気で背の高い豊満な女性と、猫を彷彿とさせる可愛い女性を前にして、オレは完全に固まった。

衝撃の身体は子供、中身は大人!

流石はエピローグ(意味不明)

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