理非と救出と咆哮。【前】(ラミア視点)
祝!通産50話・・・とか言いたいんですが、全然話が進んでない現状、ダラダラ書いているという称号にしかならないですよね・・・すんません。
あれから何時間経ったのだろう。
この小屋に連れて来られて両手を拘束され、腰は小屋の中の柱に縛りつけられてから。
妹は無事にあの人間の城へと辿り着けただろうか?
私の小さい頃にそっくりだけれど、私より可愛く可憐な華のような妹。
「サァラ・・・。」
あれだけ嫌っていた人間の所へ逃した、私の大切な妹の名を呟く。
他人の為だけに怒りを顕にした人間の男。
"アルム"とか言っていただろうか?
あの男ならば、何故だか妹を傷つける様な真似はしないと思った。
「畜生、他の奴等はいいよな。俺達は見張りなんて、どんだ貧乏クジだ。」
少なくとも、目の前にいる人間達よりは、何倍もマシな方だ。
そう思う。
「まぁ、そう言うなって考えようによっちゃ、こっちのが美味しいかもよぉ?」
下卑た笑みを浮かべながら、私の身体を嘗め回すように見る長髪の男。
やはり、人は下劣だ。
「成る程。」
髪を剃った丸頭の男が、腰にある双剣の片方を抜く。
「楽しいのは、こっちでもできるってワケか。」
じりじりと私に近づく二人。
今程に自分の身が女だという事実に嫌悪を覚える事は無い。
しかし、この男達が向かう先が妹ではなかった事だけが、私の心の唯一の救いではある。
「へへっ、ご開帳~。」
男の剣が私の胸元の服を引き裂き、服の中が露わになる。
空気に触れる肌が、ひんやりと感じた。
「くっ。」
「何だ?まぁ、いいや。その顔もソソるぜぇ。」
「おい、早く次へいけよ。」
「そう焦んなって。」
私は男達を睨み続けた。
声など上げて堪るか。
例え犯され殺されようとも、心だけは絶対に屈しない。
男の剣が、私の下半身へと狙いを定めているのがわかる。
「サァラ・・・。」
私はもう一度だけ、最後に妹の名を微かに口に出して呼んだ。
振り下ろされる剣、突然の爆音。
剣は私の股下の間に突き刺さった。
「な、何だ?!」
「敵襲か?!」
敵襲?
一体誰が?
私は考えを放棄し、咄嗟に息を大きく吸い込んだ。
「誰か!!私はここだッ!!」
叫んだ瞬間に男の張り手が顔を襲う。
じんわりと口の中で血の味が広がる。
「このアマぁ!」
床に突き刺さった剣を抜き、胸も下半身も露出した私にもう一度張り手が飛んで・・・。
「うるあぁぁぁぁーッ!」
雄叫びと共に何かが、転がり込んできた。
すぐさまむくりと起き上がる"人影"は、私の姿を一瞥し、男達を見るとニタリと笑う。
先程の私を見ていた男達とは全く別の、背筋がゾクリと凍るような笑み。
そこに含まれているのは、明確な殺意にまで昇華された怒り。
「わかってるよなぁ・・・?」
人影はぽつりと呟くと、一瞬で二人の男達に詰め寄って行く。
この突進力と速度は、私でも止めきれずに吹き飛ばされた苦い出来事をその時、私は思い出していた。