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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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理非と救出と咆哮。【前】(ラミア視点)

祝!通産50話・・・とか言いたいんですが、全然話が進んでない現状、ダラダラ書いているという称号にしかならないですよね・・・すんません。

 あれから何時間経ったのだろう。

この小屋に連れて来られて両手を拘束され、腰は小屋の中の柱に縛りつけられてから。

妹は無事にあの人間の城へと辿り着けただろうか?

私の小さい頃にそっくりだけれど、私より可愛く可憐な華のような妹。

「サァラ・・・。」

 あれだけ嫌っていた人間の所へ逃した、私の大切な妹の名を呟く。

他人の為だけに怒りを顕にした人間の男。

"アルム"とか言っていただろうか?

あの男ならば、何故だか妹を傷つける様な真似はしないと思った。

「畜生、他の奴等はいいよな。俺達は見張りなんて、どんだ貧乏クジだ。」

 少なくとも、目の前にいる人間達よりは、何倍もマシな方だ。

そう思う。

「まぁ、そう言うなって考えようによっちゃ、こっちのが美味しいかもよぉ?」

 下卑た笑みを浮かべながら、私の身体を嘗め回すように見る長髪の男。

やはり、人は下劣だ。

「成る程。」

 髪を剃った丸頭の男が、腰にある双剣の片方を抜く。

「楽しいのは、こっちでもできるってワケか。」

 じりじりと私に近づく二人。

今程に自分の身が女だという事実に嫌悪を覚える事は無い。

しかし、この男達が向かう先が妹ではなかった事だけが、私の心の唯一の救いではある。

「へへっ、ご開帳~。」

 男の剣が私の胸元の服を引き裂き、服の中が露わになる。

空気に触れる肌が、ひんやりと感じた。

「くっ。」

「何だ?まぁ、いいや。その顔もソソるぜぇ。」

「おい、早く次へいけよ。」

「そう焦んなって。」

 私は男達を睨み続けた。

声など上げて堪るか。

例え犯され殺されようとも、心だけは絶対に屈しない。

男の剣が、私の下半身へと狙いを定めているのがわかる。

「サァラ・・・。」

 私はもう一度だけ、最後に妹の名を微かに口に出して呼んだ。

振り下ろされる剣、突然の爆音。

剣は私の股下の間に突き刺さった。

「な、何だ?!」

「敵襲か?!」

 敵襲?

一体誰が?

私は考えを放棄し、咄嗟に息を大きく吸い込んだ。

「誰か!!私はここだッ!!」

 叫んだ瞬間に男の張り手が顔を襲う。

じんわりと口の中で血の味が広がる。

「このアマぁ!」

 床に突き刺さった剣を抜き、胸も下半身も露出した私にもう一度張り手が飛んで・・・。

「うるあぁぁぁぁーッ!」

 雄叫びと共に何かが、転がり込んできた。

すぐさまむくりと起き上がる"人影"は、私の姿を一瞥し、男達を見るとニタリと笑う。

先程の私を見ていた男達とは全く別の、背筋がゾクリと凍るような笑み。

そこに含まれているのは、明確な殺意にまで昇華された怒り。

「わかってるよなぁ・・・?」

 人影はぽつりと呟くと、一瞬で二人の男達に詰め寄って行く。

この突進力と速度は、私でも止めきれずに吹き飛ばされた苦い出来事をその時、私は思い出していた。

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