表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
41/207

明断と激怒と黒姫。【後】(ホリン視点)

 目の前で起きた現象に私は目を疑った。

今迄、彼が、私のご主人様が、あんなに怒りをあらわにした事はなかった。

あんなにも激しく。

でも・・・。

「アルム様ッ!」

 振りかぶられた"片刃の剣"

それだけはいけない!

やっちゃダメだよ!

「大丈夫だよ、ホリン・・・。」

 さっきとは違う優しい声。

ゆっくりと突きたてた剣を抜く。

そこには一滴の血もついてはいなかった。

「ちょっと頭に血が昇っちゃった。」

 笑顔。

ゆっくりとこっちに歩いて来る。

「あぁ、そうそう、高貴なエルフさんとやら。」

 背中にいる同胞に向ける声は、未だに怖い。

「そんなに自分達が上で、周りが下ってんなら、試しに身内を調べてみなよ。」

 声には、棘があって怖いけれど、私を引き寄せる手は、物凄く温かくて優しいの。

何でだろう・・・。

「きっと、自分達の欲望や醜さが人間と変わらないってわかるよ。特に物流を重点的になっ。」

「何?どういう事だ!」

 相手からの呻きに近い声が返ってきて、ほっとする。

 良かった。

ご主人様が、"あの方"の命を奪うような事にならないで。

「調べりゃわかるよ。」

 そっか、コレを伝えるのが目的だったんだ。

「待て!」

「い~やだっ♪」

 ゴソゴソと腰についた革箱を漁ったご主人様は、球体の何かを後ろに向かって放り投げた。

「ホリン!全力疾走!」

 投げた途端に走り出したご主人様が、左手で私の手を思い切り引っ張る。

痛いって!

何とか駆け出した私の後ろで、爆音と突風が!

「止まらない!走る!」

 手を引かれるまま、私は無我夢中で走った。

かなりの距離だったと思う。

追ってくる気配は無い。

「な、何ですか?!アレ?!」

「ん?」

 の、ノンキな声で!

「さっき投げたヤツです!」

「あぁ、爆発する粉で作った球。」

 あっさりと答えられた。

「そ、そんなの何時作ったんです?!」

「え?昨日。ほら、ミリィのお使い。」

 そう言えば、ミリィさんがお買い物に行って、みんなの想像通りに迷子になっていた気が・・・。

「て、私、そんなの聞いた事ないですよー!」

「うん、オレも最近までそういうのがある事さえ忘れてた。」

「わ、わすれ・・・。」

 そんな画期的な発明品を忘れるなんて・・・。

「ロクな使われ方しないだろうし、兄上に時代を先取りし過ぎて使えないって言われたからさ、当時。」

 先取りも何も・・・。

「頑張った割りには、評価されなかったんで、すっかりと勉強した事実自体を忘れてた。」

 役に立たない勉強なんて大嫌いだと、ブツブツ言うご主人様は可愛いケド。

何か、この人は本当に色んな意味ですんごいんだと思った。

「ごめんな・・・ホリン・・・。」

 ん?

「ホリンの居場所は、オレが必ず作るから。」

 あ・・・。

「反省ですか?」

 そっか、私、帰る故郷なくなっちゃったんだ。

「んー。」

 でも、なんだろ?

そんなに苦しくない。辛くない。

「まっ、いっかぁ。」

「へ?」

 あはは、面白い顔。

でもね・・・。

「何かすっきりした気がする。私、中途半端だったんだなぁ。」

 故郷に対しても、人間社会に対しても。

「でも、ま、今はご主人様がいてくれるしぃ。」

 すり寄っちゃえっ。

「いてくれるんだよね?」

「うん?まぁ・・・ね。」

「あんな怖いご主人様は嫌だよ?」

 本当に怖かった。

でも、原因が私に対する言葉だったからってのは、ちょっち嬉しい。

「ちゃぁんと飼ってねっ。」

「あはは。」

 反応がかーわいっ。

ご主人様のアルム様は、皇子様じゃないよね。

何かアルム様はアルム様ってカンジ。

「あ、そっか。」

「どした?」

 前に言っていた事って、こういう事なのかな?

「なんでもなーい。それよりご主人様って強いんだね。見たコトない剣で圧倒的だったもん。」

「大人気なかったデス。」

 しゅんとしてるご主人様もかぁーいいなぁ。

「"片刃の長剣"で、第一王女のラミア様を軽く倒しちゃうんだもん。」

「はいぃぃぃぃぃーッ?!」

 あ、固まっちゃった・・・。

これはこれで、面白くてまた可愛いカモっ。

何だよタイトルと思ったヤツ、正座(苦笑)

このタイトルは引っ張りますぜw

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ