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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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無性と森と食事。

 森に足を踏み入れるのは、夜の方がいいと当初は思っていた。

周りの町の者にも見られる可能性も低く、森でも見つかりにくい。

定番のように思っていた。

『エルフは夜目が利きますよ、夜でもバッチリ。』

 そういうホリンの一声で、出発時間を繰り上げた。

町の人間にオレの姿を見らたとしても、それが皇子だと結びつかないだろうし、ホリンは外套を羽織って肌さえ見られなければいい。

エルフが夜目が利くというのならば、森の中で不利なのはオレだけという事になる。

ならば、さっさと行って、さっさと帰って、時間の節約をした方が断然いい。

「しかし、平坦な道と違って、走るのにコツがいるな。」

 森の中は、樹木の根なので、予想以上に不規則な凹凸がある。

ちょっとでも気を抜くと転びそうになった。

「充分、早いですよ。」

 ひょいひょいと下を見ずに走るホリンの動きは、とてもしなやかだ。

オレは下に気を配れば、眼前の枝に激突しそうになったり、その枝に気を配れば、足を取られそうになる。

不様だ。

剣で枝を払おうかと思ったが、集中する箇所が剣の分増えるのと、速度が遅くなる事に気づいてヤメた。

樹木にもディーンの剣にも悪いしな。

「訓練不足だって事だけは、理解した。」

 体力の消費量は、普通に走る時の倍はあるだろうなと冷静に分析する。

「そうですかねぇ?」

 大体にして普段やる事のないダメ皇子なんだから、時間はたっぷりあったのに。

情けない。

「仕方ないだろ、城の部屋からほとんど出られないんだから。」

 と、言い訳。

はい、言い訳です、どう見ても。

「んじゃ、ちょっと休憩しましょ。」

 立ち止まり、食料袋を漁るホリン。

この速度も早かった。

全然、息が切れてないじゃんよ。

「ご主人様も食べますか?」

 う~ん・・・腹は減ってはいるが、食べてすぐに走れるかが問題。

「あとどれくらい走る事になりそう?」

 もう一時間以上はゆうに走っている。

残りの距離も気になるが、食べて吐くなんてのだけは嫌だ。

格好悪過ぎる以前の問題。

「この速度なら、半時もあれば。」

 あ、残りの方が少ない。

「んじゃ、食べるかな。」

「はーいっ。」

 ホリンが林檎を一つ投げてよこす。

特産品ですよ、特産品。

「美味いよな、ここの林檎。」

「そーですね。」

 ホリンが林檎を齧る。

あれ?

「なぁ、ホリン?」

「ふぁんれふか?」

「飲み込んでからでいいって。」

 口に頬張ったまま喋られてもわからん。

「林檎って下から齧るんじゃないの?この地域では。」

「なんですか、ソレ?」

「いや、だから下から・・・。」

 オレの質問の意図がわかってないらしい。

通じていない。

「苺でしょ?その食べ方。」

 苺?

今度はオレがその意図がわからない。

「だって、林檎は種のある芯側から順に蜜が溜まるんだから。」

 だから?

「外側は何処もほとんど味は同じですよ?苺は茎元と先端は甘味が違うケド。」

 あ、苺は確かそんな理屈があったな。

「で、じゃあ、この地域では別にそんな食べ方は・・・しない?」

 あぁ。

癪に障るな。

アトで覚えておけよ。

オレの中からフツフツと怒りが湧き上がる。

「さっさと食って移動開始するか。」

 イライラしながらもオレは、林檎に齧り付いた。

ごめんなさい、どんどんご都合主義です。


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