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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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真心と問答と悶絶。

 ザッシュとの話を詰めた後、夕食を取った。

エルフの森へは、オレとホリンの二人で行く。

人手の件もあるが、人数が多くなると相手にも周りにも警戒される。

明日一日、オレの部屋にはザッシュとレイアとミランダがオレの代わりになる手はずになっている。

「て、コトでいいかな?レイア。」

夜、寝る前の段階になって、話を通してなかったレイアに最後の確認を取る。

「些か不本意ですが、効率的に考えて致し方ないという事にしておきます。」

 彼女的には、主を護る剣と盾である自分が、一緒に行けないのは、やはり不満らしい。

「済まないね、君はオレだけの騎士なのに。」

「その言い方はズルいです。」

 むぅと頬を膨らませるレイアをちょっぴり可愛いと不謹慎に思いながら。

「目標は次女姫の治める集落での情報収集だから、大丈夫だよ。」

 ホリンは今、明日の装備品の最終点検をしている。

勿論、オレもだ。

「なぁ、ホリン、本当に大丈夫か?」

 以前ので最後にしようと思っていた質問を女々しくもしてしまう。

「もぉー、本っ当に過保護だなァ。ご主人様は。」

 レイアもいるというのに、苦笑しながらオレをご主人様と呼ぶ。

「過保護か?そんなに?」

 基準がわからん。

「過保護も過保護ですよ、ねー、レイアさん?」

「そうですね。ホリンさんはともかく、私は騎士ですからね。戦いも仕える内容のうちではあるのですが・・・。」

 別に差別しているつもりは、ないんだが・・・。

「なんて言うか、基準というか、加減がわからないんだよ。」

 本音。

うん、これは本音。

今迄、持っていなかったモノが突然、目の前にあるんだから。

例えば、"リンゴ"と言って、想像する言葉が"赤い"だとするだろ?

でも、"赤い"って言葉に対して、それがどういうものかわからない。

その意味に該当・関連する情報が何も無い。

中身がわからなければ、結びつかないし、思いつきもしない。

恐怖とまではいかないけれど・・・あぁ、哲学的で頭痛くなるな。

「今迄、そういう過保護って言われる様な対象なんてなかったんだから。」

「ミランダさんは?」

 まるで、それをずっと聞きたかったみたいだな。

二人共、少し身を乗り出している。

「ん~、空気かな。」

「はい?」

「いるのが当然。」

「ひどっ。」

 これもまた表現が難しいんだよな。

「ミランダにとってはさ、オレが皇子なのは関係ないんだよ、きっと。」

 つまりは、そうなんだろうと思う。

「しかも、オレがアルムなのも関係ないんだ。」

 オレの言葉に二人が目を合わせ首を傾げる。

「ただ横にいる男の子。んで、横にいる女の子。」

 いい線いっていると思う。

出だしはこれだったと思う。

「在ればいい。居ればいい。ただそれだけなんだよ、互いに。」

 独占欲とか強そうな響きだが、根源はそこだ。

「まず、居る事。そこから始まり。そっから色々と付随するんだよ。」

 何となく通じているだろうか?

「そりゃ、たまに欲とかは出るかも知れないけれど、それは感情を持って生きてる限り当然だろ?」

「だから、それをどうにか一言で説明しようとすると"空気"なんですね?」

「絆とかそういうのを無視しても、"空気"だから、居なきゃ成立しないってイミ?」

 やっぱり、二人は頭の回転が速いなぁ。

普段から変に茶化したり、かき混ぜないでこうあって欲しいカモ。

ん?理解が早いから、その上でかき混ぜてんのか?

ともかくオレが疲れない程度にして欲しいと思う。

「だから、過保護と言われるような対象かどうか聞かれると、正直微妙。」

 感謝してないワケではない。

今では歪んでいると自覚があるオレでも、幼い頃に彼女が居なかったら今程度では済まないだろう。

きっと、一番最初の"孤独"という壁で人生に玉砕している。

「それに気づいた時から居たから、今の二人みたいに自分で"選んだ"ワケじゃないし。」

 赤面する二人。

ミランダは選びはしたさ。

でも、それは"別れない事"を選んだというのが正しい。

「そっか、んじゃ、いーか。」

 何がいいんだ?

「ご自身で選んで頂けた"第一号"ですね、私は。」

 一人しかいないんだから、第一号も何もオレの"筆頭騎士"ですね。

一人で筆頭騎士というかどうかは知らんけど。

「何だ?二人共急に。」

「ん~、過保護は愛情の一端と考えるコトにしただけー。」

「それか、一番わかり易い"独占欲"ですかね。」

 いや、何か、二人共、急に目が輝いてますヨ?

確かに、手離したくなくなってはいるけれど。

何だろね、この感覚。

ただ・・・。

「間違っているとは、言い切れないなぁ。」

 大きく外れているワケじゃないと思う。

「もー、素直なんだからっ!そんなご主人様にご褒美だー。」

 勢い良く着ていた外套を脱ぎ捨てるホリン。

外套の下には、昨夜とほぼ同じ夜着が・・・。

「って、ホリン、上!」

「刺激度を上げてみたぁっ!」

 大声に大声で返された・・・。

昨日と同じ夜着なのだが、今のホリンはその綺麗な桃色の山頂が・・・。

「では、私も。」

 冷静にオレの横で、自分の外套を脱ぎ始めるレイア。

反応が淡白過ぎる!

レイアの夜着も昨日と同じ形で・・・。

「じゃないし!レイア、お腹・・・冷えるよ・・・。」

 じゃないわっ!

昨日と同じと思われたレイアの夜着は、桃色の帯があった腹部の部分から、白い肌と臍が見えていた。

上下に分かれた仕様。

「うっわー、レイアさん大胆!」

 オマエが言うなよ、オマエが。

「主の望むような奉仕をするのが、私の務めですから。」

 断じて違う。

そして、オレは望んでもいないし、命令もしていない。

「あ、あのなぁ・・・。」

 脱力した。

脱力しましたよ、えぇ。

「折角、一緒の夜なんだから、いーじゃーん。」

「ふ、不束者ですが・・・。」

 オレが脱力しているのをよそに、さっさかと寝台へ上る二人。

「アルム様が私達を選んだんだよー?大切にしてくんないと♪」

「逃がさないですよ。」

 あぁ・・・過保護すぎる愛情と独占欲って、こういう事なのね・・・。

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