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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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報告と明道と指針。【後】

「それがですね・・・。」

 キョロキョロと辺りを見回す。

そんな事をしなくても、とっくに人払いはしてある。

ザッシュくらいの使い手なら、ある程度の気配も読めるハズ。

つまり、非常にわざとらしい動きだ。

「いくつかの荷物が、この城に運び込まれてるようっス。」

「はい?」

 予想外の結果。

まさかの場所だ。

「州府じゃなくて、この城か?」

 物資があるとしたら、目の届き易い州府の方だと思ったんだが・・・。

思い当たる節は、そう言われてみればある。

カーライルと彼に付き従っていた男達、オレの所にすぐに来た太守。

長年使われていないカタチの空き家に突如住人が来たら・・・。

見られたくないモノが、実はそこにあるとしたら。

「頭が頭痛になりそうだ・・・。」

 頭痛が痛いでも可。

かといって、総動員で家捜しするべきかどうかなのかが、余計に。

「余程、すぐには動かせない量だったのか・・・だからの夜襲か?」

 この城に来る前の夜襲。

殺せたら良し、殺せなくても時間が稼げれば良し。

捨て駒として扱いきるという冷酷さがあれば。

「それは微妙っスね。」

「どうしてただ?」

「移動が既に済んでいるなら、人手がいるっス。それに監視する必要もないっス。」

 確かに。

後者は特に。

「必然的に人目に触れるか・・・。」

 人目につきたくないから、移動させるのであって、人目についたらそもそもの意味がない。

「最近、死体が上がるような事件もないっスからねぇ。」

 あぁ、動かす人間自身もそれを見る事になるよな。

なかには、口封じが必要になるかも知れない。

「ブツを押さえても、証拠にはならないか・・・今回は放置かな。」

「それと州府は州府で、この城の倍近い物量の出入りがあったみたいっス。」

 と、すると、州府に物や金を入れ、代金(物)を出し、州府と城に入れた・・・か。

「何を入れているとかは?」

「流石にそこまでは・・・何なら探してみるっスか?」

「既に無い可能性もある。取引相手からの推測は?」

 基本、薬を服屋で買うヤツはいない。

買う相手から推測可能なら、楽でいい。

「三分の一は行商人相手っス。扱う品は手広いので、何をとはわからないっス。」

 スッキリしないなぁ・・・。

金額だって少額じゃない。

貴金属類ならまだしも、かさ張るモノって・・・。

「あの?」

 聞くに徹していたホリンが手を挙げて主張する。

「何だ?」

「残り三分の二は?」

「ん?そうだ、残りは?」

「あ、何か人を雇って何かするのに使ってるみたいっス。」

 人?

さっき目立つから人を使ってはいないんじゃないかって事に話が落ち着かなかったか?

「それが、その人間達の行き先ってのがっスね・・・。」

 言葉を濁すザッシュ。

あぁ、嫌だ。

聞きたくない展開なんだな?

そうなんだな?

椅子に踏ん反り返って報告聞いて、『良きに計らえ。』とか、言うだけの身分ってどんなに楽なんだろうね?

「ホリン、さっきの話、詰めるよ。ザッシュ、その人間が進入する経路を調べて教えろ。」

 ザッシュの言葉の続きを聞く前に、先に指示を出した。

ふぅ・・・結局、エルフの森には行く事になるのか・・・。

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