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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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日出と予感と騎士。【後】

「なぁ、レイア?」

「はい?」

「ところで、オレ、今すっごい嫌な予感がしてるんだが・・・聞く?」

 正直、口に出したくない事を思いついてしまった。

あぁ、興味津々状態のレイアは案の定、頷いてるし。

「この州でさ、商売するには行商人が相手だよな?基本的には。」

「当然そうなりますね。」

「・・・一番近くにいてさ、行商人より何時でも商売できる相手って・・・居ると思うんだが?」

「居るんですか?!そんな相手?!」

 認識の違いだと思うんだ、多分。

「まさかの"ダークエルフ"が商売相手って線ない?」

 目を見開くレイア。

「ダークエルフですか?閉鎖的だと聞いていますが?」

 うん。

でも、でもだ。

ヤツのホリンを見た時の反応をオレは思い出していた。

「ヤツの視線は、ダークエルフ差別じゃなくて、何故ダークエルフがオレ側にいるんだろうっていう疑いの視線だったりして・・・。」

 先入観よりも可能性重視の発想。

人間はダークエルフを下に見て差別しているという先入観と、一番近くてバレにくい商売相手という可能性。

「税収を物納方式にして、換金せずに物々交換というのなら、直接取引きも出来なくはないかも知れません。」

 だよね。

さて、可能性のみというだが、レイアの賛同は得られた。

ただね、何か余計に手間がかかりそうな気がして、すっごい嫌な予感に直結。

何度も何度も声を大にして言いたいが、面倒はイヤ。

ダークエルフに偏見がないならいいが・・・でも、ホリンを睨んだのは許せん。

彼女だって本当は、傷ついたはずだ。

彼女はダークエルフではあるが、その前にホリンという存在であるべきだから。

よく知りもせずに一括りにされてたまるか。

「今晩、ホリンに聞いてみるか・・。」

 下手するとダークエルフの森に直行。てな、展開になりそうで余計に萎える。

閉鎖的なんだろ?溜め息しか出てこないぞ。

「どした?」

 ふとレイアがこっちをじっと見詰めている。

「ホリンにも私と同じ事以上をするのですか?」

「え゛?」

 この流れは何でしょうかね?

「ホリンはアルム様への夜伽に抵抗がないようでしたから。」

 あぁ。

馬車内でも、この城内でも、そんな様なコトを言ってはいたな。

「アルム様も彼女の身体を気に入っているようでしたし。」

 身体?

身体じゃなくて、肌な。

一言も身体と言った記憶はないぞ。

「やはり、私は可愛げも魅力もないのでしょうか?身体も筋肉質ですし、生傷も耐えないですから・・・。」

 しゅんと小さくなってしまうレイア。

「いや、そ、そんなコトは・・・。」

 つか、近いんだって。

もぞもぞとしているレイアの胸元が少しはだけて・・・あの、何と言うのですか、山頂が見えそうでして・・・。

いや、オレにはその登山はちょっと無謀というか・・・じゃなくて!

「魂の誓いは身体を捧げたも同様です。」

 足を絡めるな足を!

「れ、レイアって意外に情熱的なんだな。」

 こ、これ以上はどうにも無理。

彼女の気持ちや好意は嬉しい。

信頼も心地好い。

恥らいも好ましい。

今度はオレから彼女の唇を塞いだ。

罰なら、全部終った時に受けるさ。

それなら、少しは許してくれるだろ?

「何か・・・ゾクゾクしますね。」

 唇を離したオレに頬を赤らめながら、笑いかける。

無邪気な子供の悪戯をした後みたいだ。

「アルム様、朝食のご用意が・・・。」

「あ。」「あっ・・・。」

 そこには目を見開いたまま、硬直姿勢になったミランダが・・・。

細かく状況を説明して欲しいか?

ほぼ零距離に顔を近づけている二人の男女オレとレイア

レイアの足は、オレに圧し掛かるように足に絡まり開いている。

勿論、例のヤバイくらいの丈の夜着。

そんなコトをしたら、必然的に付け根部分もある程度は出ているだろう。

胸元は、あと少しで登頂成功くらいまでの露出。

今のオレ達を見て、どんな妄想しても甘んじて受け入れるしかない。

というか、言い訳が何も思いつかん。

「はぁーあ・・・。」

 これで今日一日、確実にミランダは使いモノにならん事に自業自得とはいえ、目眩がしてきたのだった。

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