表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
26/207

日出と予感と騎士。【前】

また前・後です。

本当にすみませんね、読みにくくて。

「ん・・・。」

 朝か。

身体が痛い?

おかしいな、寝台でちゃんと寝たのに。

目の前にはレイアの顔と・・・彼女の剣・・・。

「あぁ、コレが原因か。」

 そりゃ痛いさ、硬いもの。

おっと言い忘れたが、エロイ事はしてないぞ、断じて。

それでも誰かと抱き合って睡眠を取るとか、無かったな。

恐くて。

「あはは。」

 それがどうだ?

目の前に剣があっても寝ていられるオレ。

全くヌルくて嫌になっちまう。

それでも、隣で寝ている"オレだけの騎士"の顔を見ると嬉しい。

本当に現金で困ったもんだ。

「前代未聞だよな、同情で騎士になってもらうとか・・・。」

 誇りも高潔さも何もあったもんじゃない。

「同情で魂の誓いなんてしませんよ。」

 レイアの瞼がぱっちりと開く。

「寝たフリか?」

「たまたまです。」

 そうだな。

レイアはそういう人間じゃない。

それに疑ったらキリがない。

ならば、全てを預けてしまえ。

その方が楽だ。

最後にどんな目にオレが会おうとも、うんうん、健全だ。

レイアの騎士の誓いに対するオレの誓い。

「言ってみただけだよ、レイアはそんな人間じゃないしな。」

「本当にそう思ってますか?」

 オレの頬に手をのばしてくるレイア、その手を取るオレ。

「勿論。」

「同情なんかじゃありません。ここはもう私の居場所です。」

 レイアはそのままオレに顔を近づけ、唇を塞ぐ。

「んむぅっ・・・。」

「ん!? ちょっ!!」

 唇同士が重なり合った後、思わず顔を引いた。

「何か?粗相でも?」

 いや、臣下が主の唇を奪うのも大問題も大問題なんだが・・・。

「レイア、今・・・?」

「これが正しい男女の営みの第一歩だと・・・。」

 誰だ、教えたヤツ、出て来イ。

今すぐに。

じゃあ、何か?

レイアの中には、唇と唇を重ねるのは、全部舌を絡めてくるのか?

「・・・二人きりの時以外、ソレ、ナシね。」

 強く出られないのは、アレだ、きっとこういうのって男に拒否権ってないんだよ・・・そうに違いない。

「それは弁えておりますよ、今だけです。」

 本当にこれで良かったんだろうか?

胸が痛い。

「はぁ・・・これからどうするかな・・・。」

「そうですね、アルム様が私とホリンを取っ代え引っ代え睦まじくして対策を立てつつ、しかないですね。」

 ・・・いや、オレはどちらかと言えば、レイアとの関係をって意味で言ったつもりだったんだが・・・。

落ち着け、オレ。

切り替えは大事だ。

「気になる事は幾つもあるんだ。黒幕が"アレ"前提としてね。」

「例えば?」

 興味津々に乗り出して来るのはいいが、近いって。

何か、ザッシュといいレイアといい、バルドが言っていたみたいにオレの考え方が面白くて仕方がないらしい。

そんな気がしてならないんだよ。

「馬車から見たろ?民から搾り取った金は何処に行ってる?」

 何処かに使い道がないと、集めたってしかたないと思う。

「何かの為に消費しているなら、何処へ?」

 単純な疑問だろ?

"ヤツ"は典型的な成金っぽいが、服以外はそんなにド派手じゃなかった。

装飾品もじゃらじゃら付けてるワケじゃない。

奥方はどうかわからないが・・・つか、アイツの家族構成も調べないとな。

「私服を肥やす為なら、手元に残してあるのでは?」

 一理ある。

「うん、だとしたら貯めて、その後は?何時かは使うだろ?何に使う?中央政権に戻らない限り、ここじゃ使い道すら見つけ難いだろ?」

 ド田舎だしな。

オレはこういう田舎は、大好きな方だけれど。

「その中央に戻る為にとか。」

 意外とレイアも頭回るんだよな、将軍の才があるのかも知れない。

「賄賂・・・か。中央の貴族達に。でも、そんな力のある貴族は、基本的に兄上寄りばっかだぞ?」

 兄上寄り?

「兄上が大黒幕だったら、すっげぇ面白いなぁ・・・。」

 そんな事しなくてもいずれ国皇ににはなれるんだから、有り得ないのはわかってるけれどねっ。

「はぁ。国内に流れていたら、経済的にも社交界的にも噂が流れて、わかる気もしますけれどね。」

 にやにやと妄想を膨らませまくってたオレに呆れるレイア。

わかってるよー。

でも、これはこれで、面白いんだもん。

「国外?他国への賂金とかって、そこまでする大物の悪党には見えないけどなぁ。」

 どちらかというと、小金貯めこんでる小悪党。

悪党的には部下のが有り得そうなくらいだし。

やっぱり大悪党には、兄上くらい完璧超人じゃないと。

妄想万歳。

「他に金銭を流すとしたら、単純に商人くらいでしょうか?」

「商い、投資か。堅いね。そういえば、金糸とか銀糸って何処の特産だろ?ここかな?」

 曖昧な記憶だが、金糸・銀糸はここの特産品じゃなかったと思う。

悪かったな、自治領の特産なんて完全に把握する程、内政に興味は・・・なくはないけれど。

自治領の正確な配置・面積・特産品なんて、商人以外は機密にスレスレだし。

「ザッシュかホリンにお聞きになっては如何でしょう?」

 確かに。

大体、オレ、この城の周辺の配置だって、曖昧なんだから・・・?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ