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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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韜晦と接触と呪文。(レイア視点)

正直、おんにゃのこ視点を読まなくても話がわかる展開にしなきゃいけないんだろうな、と思いつつ・・・。

「先の夜襲の時の身のこなしでわかっていましたが、意外とアルム様は武闘派なんですね。」

 私は彼の身体を拭きながら口にした。

彼の筋肉は無駄が少ない。

剣を振り続ける事でのみつくしなやかな筋肉。

「武闘派?そういうのはバルドみたいなヤツを言うんだよ。」

 そう言えば、手にもかなりの剣ダコがあったのを思い出した。

彼の手。

あの夜、私の肩に置かれた・・・。

「レイア?」

「はいっ?!」

 いけない、これでは何の為に背中に回ったのかわからない。

「手が止まってるんだけど。」

「す、すみません。」

 私は身体を拭くのを再開した。

彼の背中を拭こうと思ったのは、確かに身体を心配してというのもあったのだが・・・。

その、耐えられなくて・・・。

彼の視線に。

自分でもどうかしていると思っている。

この夜着を自分で選んだのだから。

持っている夜着の中で、一番派手で大胆な物だ。

皇都に居た頃は、一回も着たことなどなかった。

例え完全休養の日でも。

こんなのを着る意義も理由も無かったから。

そんな夜着を彼の前に、自ら進んで着ているという事実。

「レイア?」

「はい!今度は何でしょう?」

 手は止まっていなかったはずだ。

「ごめんね・・・着いて早々、こんな目に合わせて・・・。」

 彼はこちらを見ずに言う。

一瞬、何を謝罪されているのか理解に苦しむ。

第一、自分より身分が(しかも遥かに)上の人間が、下の人間に謝罪するなとどいうのは珍しい現象だ。

身分が上に行けば行く程、それは顕著になる。

作戦とは言え、こんな事をさせている事への謝罪だろうか?

「・・・そんなにこの格好、変ですか?似合いませんか?」

 そんなに下品だっただろうか?

少しいたたまれなくなる。

「ううん、綺麗だよ。それに任務中には見られなかった綺麗な髪も存分に見られるしね。」

 彼は背中を拭き終えた私に向き直る。

私は彼にそのまま手拭いを渡した。

あまりの至近距離にまともに彼を直視出来ない。

「でも・・・。」

「でも?」

「ちょっと本気で抱きたくなりそう。」

 う・・・。

「そ、それは!?」

 反則だ!無理だ!

顔が驚く程に熱い。

きっと真っ赤になっている。

何とみっともない!

し、しかも、私はこれから彼と一緒に寝るというのに!

「あぅ・・・。」

 身体がカクカクと微かに震えているのが判る。

何なのだ、この仕打ちは!

「あ、アルム様、身体を拭くのに邪魔でしょう。剣をお預かり致します!」

 彼の至近距離から、さっさと離れて建て直しを計らねば。

彼の剣を預かって・・・。

「いや、これは!」

 -バチィッ!-

「いっ!」

 剣を取ろうと触れようとした手に痺れるような衝撃が走る。

「レイア!」

 持っていた剣を寝台に置き、彼が慌てて私の手を掴んだ。

「大丈夫かっ?!」

 握ったてを擦ってくる彼。

「だ、大丈夫です。」

「そうか・・・。」

 すまなさそうにする彼の瞳が所在なさ気に揺れる。

「本当に大丈夫です。」

 もう一度彼にその言葉を・・・いや、彼が納得して安心するまで何度でも。

「大丈夫です。大丈夫、大丈夫、大丈夫。」

 私はそう何でも繰り返しながら彼の手を。

心配そうに私の手を撫で続けている彼の手にそっとくちづけをした。

「レイア?」

「アルム様は何も悪くはありませんよ。」

 呪文のように何度でも。

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