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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅱ章:黒の皇子は立ち上がる。
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諦観と鍛錬と菫色。

どころで、R15って何処まで?(苦笑)

一応、他の方の作品を見て、なんとなくて把握してはいるけれど・・・。

 当分、暇だ。

今は寝間着のような楽な格好になっていた。

やらなければならない事があるんだけれど。

ここに来る迄何度も思った事・・・"人手が足りん。"

こんな事ならもう少し、ほんの少しだけ目立っておけば良かった。

そうすれば多少の人脈が出来てたのに。

「今更言っても遅いか・・・。」

 次に何かあったと時の為に何とか友人や部下を増やせるといいなぁ・・・。

なんて思う反面、自分の血の卑しさに気が引ける。

確かにね、面倒ではあるんだよ。

あの"社交界"とかいうヤツ。

あ、一応、礼儀とか踊りとかは一通り習得はしているからな、腐っても皇子だし。

つか苦手なんだよ。

香水と化粧の混合した下品な香りに、人間を値踏みするような目線。

古今東西の自慢話の羅列。

思い出しただけで胸ヤケが・・・。

勿論、全員がそうじゃないんだがな。

ちゃんと自領を治めると共に貴族の義務を果たしている人も勿論いる。

そういう人達の社交界での会話は、高尚なモノが多い。

政治にまつわる話や交易にまつわる情報交換とか・・・まぁ、色々。

政治とはあまり関係のないご婦人方でさえもマトモでな。

つまり、そういう家の人間ともっと仲良くだなぁ・・・今更、遅いね、うん。

お陰で割いた戦力の二人バルドとザッシュが戻らない限り、次の行動に出られやしない。

動くどころか、全員の身の安全の確保するのでギリギリ。

時間と距離的にも先に帰るのは、ザッシュだってわかっているんだが・・・。

「ん?」

 オレは自分が無意識にディーンの剣の柄を握っている事に気がついた。

何かクセなんだよな、昔からの。

不安になったり、考え込んだりすると、昔からコイツの柄を握っている。

トウマの魂のせいかな?

「そうだと・・・いいな。」

 他人のだけれど、まだ魂に綺麗な部分があるってコトだろ?

しかし、最近はこの癖出てなかったんだけど。

それだけ色々とあったってコトか・・・。

「ふぅ・・・。」

 目を閉じて溜め息をついた後、オレは剣を鞘から抜き放つ。

黒い両刃の長剣。

「どう見ても両刃だよなぁ・・・。」

 以前は片刃だったのに。

オレの身体に合わせて形を・・・変えてなんかくんないよなぁ。

第一、伝説の武器だぜ?神器だぜ?偉いんだぜ?

何でオマエ如きに合わせて形を変えねばならんのだ!とか言いそうじゃん?

いや、想像だけど。

大体使用者に合わせて変形するなら、兄上と父上の持っている双剣の形が違ってもいいだろ?

それ以前の使い手だって、何処かに何らかの資料が残っていてもおかしくはない。

ディーンやトウマの事を抹消したとしても、自国の歴史の偉業くらいは残すだろ・・・って、なんだか萎えてきた。

「フッ!」

 剣を振るう。

流石に上着を脱がないと汗とかで、面倒な事になりそうだったので実行。

「ハッ!」

 そして剣を上段から一振り。

そのまま下段から切り上げ、肩口まで剣を引いてからの突き。

くるっと反対を向いて同じ事を繰り返し続ける。

右手で一定回数やれば、次は左手で。

何十回、何百回と繰り返し、構えを上・中・正・下段、そして逆手の順に繰り返し続ける。

バルドに昔習った基本中の基本の動作の練習だ。

こんなんで強くなるのかと聞いたら、バルドに大笑いされたっけ。

『強くはなれませんな。でも、心と身体が動きます。実践で動けなくなったら死にますからな。』

 要は構えは構えでも心構えの練習。

得物に慣れるという意味もあるけれど、練習したという自信は大事だな、うん。

新兵級の訓練だが、何故か一番好きなんだよな。

一人で黙々と・・・。

悲しい事に今迄何千・何万回してきても、このディーンの剣はオレの手に馴染んだ気がしない。

それでも何も考えなくなるというか、無心になれるこの訓練が好きだった。

そして、今もただ馬鹿みたいにオレは剣を振り続けた。

「アルム様?」

「ん?」

 何か今、剣を振る以外の音が・・・聞こえたな。

「あぁ、ようやく反応して頂けた。何度もお呼びしたんですが済みません、鍛錬中に。」

「いや、いい・・・よ。」

 声の主、レイアに返事をしようとしたんだが・・・。

「あ・・・。」

「あの、何か?」

 オレの微妙な反応に何か粗相をしたのかと恐縮し始めるレイア。

「いや。」

 レイアは悪くないんだ。

いや、レイアが悪いのか?

彼女は例の特徴的なお団子頭を解いて、長い髪は後ろに回し紐で一つに束ねている。

夜着を身につけている。

手にはこの部屋に来るまで羽織っていたであろう、コゲ茶の外套のような物を持っていた。

夜着は膝上・・・かなり膝上な丈のスミレ色をした小袖だ。

襟や袖の縁取りが薄い桃色で、同色の帯を腹部辺りでしている。

何と言うか・・・太ももはかなりキワドイ生え方をしているし、胸は谷間が・・・。

ちなみに外套を持っていない方の手には彼女の愛剣を携えていた。

夜伽に来たのか、護衛に来たのかよくわらん設定だ。

二つ合わせたら、"誘惑して剣でバッサリ暗殺計画"という感じで、何人かは納得するだろう。

得物見えてるけど・・・。

「そ、その格好は?」

「夜着ですか?」

 何の問題が?と言わんばかりなレイア。

「普段は何時もそんな感じなの?」

「はい。完全休養日の時は。この方が動き易いですし、それに一応・・・ちょ、"寵愛の女"という事でしたので一番派手な物を・・・。」

 派手ではないぞ・・・色合いは薄いし。

彼女の長くて綺麗なスミレ色の髪と同色で、上品な色だ。

派手ではなく、大胆が正しい表現。

「人選、間違えたかな・・・。」

「え?」

「あ、いや、何でも。」

 本人は本人で色々と考えてきてくれたんだよな、うん。

「私より、アルム様の格好の方が・・・。」

「あ。」

 顔を赤らめるレイア。

そういやオレ、上半身裸じゃん!

「いやん。」

 と、間抜けな事を言っておいてから、近くに脱いだ上着を手に取る。

「あ、いけません。汗を拭かないとお体に触ります。」

 慌てて手近にある手拭いを掴み、駆け寄ってくる。

「お拭き致します。」

「あ、いいよ、自分でやるから。」

 オレは基本的に身の回りの事は自分でする方だ。

特に着替え・風呂・食事は誰にも手を出させない。

とにかくそういう貴族的な習慣が気に入らないんだ。

「お背中だって、ご自分では出来ませんでしょう?」

 う゛・・・確かに背中はその方が楽だ。

「・・・頼んでいい?」

「はいっ。」

 確かに身の回りの事はちゃんとやるよ?楽はしない。

でもな、面倒は嫌なんだよ。

別に全身拭かれるワケじゃないしさ、そこまで汗をダラダラとかいたワケでもないし。

これが全身とかだったら、全力で断るぞ。

女性にやられるのは何より恥ずかしいし・・・あ、男性にやられるのは論外な。

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