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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
最終章:黒の皇子は三度生まれる。
204/207

さりとて愛すべきこの世界に。

本編のみの通算話数が200話に到達しました。

これもひとえに、読んでくださる皆様のお陰です。

「穴が塞がらない・・・か。」

 収束する気配すらない。

まぁ・・・そうだろうな。

だったら、魔人を殺した時点で、穴は塞がったハズだ。

"あの時も"

「ボクの勝ちだよ。こんな間違いだらけの世界なんて、滅んじゃえ・・・。」

 きっとこのままコイツの命が尽きても、穴が広がっていく事態に変化はないだろう。

「オイ、クソガキ。こんなのはな、想定内なんだよ。」

 オレは得意げに微笑んでいる子供に笑いかける。

そう、こんなのは子供の我が侭な悪戯だ。

「いつかな、オマエみたいなクソガキが、こういう悪戯をすると思ってたんだよ。」

「なにを・・・。」

「全く、予言なんてクソくらえだ。運命?復讐?くだらねぇの。」

 そんなモノの為に、人が振り回されて、泣いて、死んで、それで何が生まれるっていうんだ?

誰か今すぐ答えを出して、導いてみろっていうんだ。

「世界はそう簡単には壊れれない、壊させない。いくさだって、きっと誰かが止めようとしている。きっとおかしいって気づいてる。」

 オレが出会った人達はそうだった。

「あぁ、オマエに感謝したい事があるな。」

 オレは憎々しげにオレを睨んでいるヤツに向かって、更に笑い続ける。

「"平和の大切さ"に気づかせてくれて、ありがとうよ。それと"あの時のやり直し"をさせてくれる事もな。」

 右手のディーンの剣は、今や完全に発動している。

今のオレにはそれが解る。

満月型をした銀色の光が柄の中央に満ちて、そこから溢れ出るように刃の真ん中に流れるように一本走っている。

左手にある剣もだ。

こっちは太陽の如き、金の光だが。

もうオレに予言なんて必要ない。

でも・・・。

オレは今迄の事を思い出す。

オレの命を繋ぎとめてくれたトウマ。

オレの空っぽになりかけていた心に詰まってくれた皆。

オレの真実を、やり直す機会をくれた剣。

「あはは・・・。」

 なんだろう、笑いが自然とこみ上げてくる。

そうだな、楽しいし、幸せだし、何よりオレが皆を護れるんだ。

自己満足だっていいさ。

確かにオレは、この世界に存在していたんだ!

「先に逝って待ってな。オレがこの穴をどうやって塞いだか、アトで教えてやる。」

 いいだろう。"双つ剣携えし者、世界を統べる王とならん。"





「・・・みんな、またね。」





 オレは何の躊躇いも無く、次元の穴に飛び込んだ。

オレがオレだけが知っている、ディーンに教えて貰った方法。

上も下も右も左も判らない空間の中。

いや、空間として定義できるかわからない黒。

黒一色の世界で。

オレは一瞬で自分を見失うところだった。

三次元の縦と横だけだった時間軸が、三本、四本と増えていっているせい。

そんなよくわからない、全く知らない知識がオレの脳裏に浮上する。

だが、たとえオレが自分を見失うような事があっても、トウマがオレの中にはいる。

手には、ディーンが、ディアナがいる。

それだけじゃない。

オレの中には、オレが自分の意思で歩んで、出逢った人達がいる。

だから、オレはオレでいられる。

「ッ! ざけんなァァッ!!!」

 必死に叫ぶ。

そうじゃないと、世界は護れない。

「世界は・・・オレが統べてやらぁッ!だからッ!!」

 あとの事は何一つ、覚えていない・・・。




皆の世界を・・・タダ、タダ、マモリタイ。

黒一色の世界  と  白一色の世界。




それだけがオレの世界の全て・・・。

ここまで長い間のご愛読ありがとうございました。

さぁ! 次が最終話です!

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