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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅴ章:黒の皇子の価値を決める者。
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シバられる必要なんてないというコト。【前】(アシュリーヌ視点)

「ハディ?」

 顔が熱い。

胸がドキドキする。

「あん?」

 当初、ハディが言っていた目的と違うけれど、これはどちらかというと良い流れ。

"私にとって"は。

「皇子様の容姿は?どんな人?」

 興味は尽きない。

「黒髪に黒い瞳で・・・あー、背は低い方かな。トシは俺様より下っぽい。」

 黒髪に黒い瞳?

「ヴァンハイトの皇子なのよね?」

「第二皇子やけどな。」

 彼は第二皇子なのかぁ。

「じゃあ、第一皇子の容姿は?」

「知らん。まぁ、ヴァンハイトのご多分に漏れず、金髪・蒼眼だと思う。」

 皇太子の方は、"普通"の皇子様かぁ。

「ま、第二皇子、第二皇子つっても、アルムは皇子っぽくねぇけど。」

 溜め息と同時にドサリと音がする。

「ハディ?」 「座っただけー。」

 ハディは気配を無意識に消す事があるから、たまにびっくりする。

「で、どう皇子っぽくないの?」

 ハディの中の皇子様像というのが、どんなのかが問題だけど。

「まず全然偉そうじゃねぇ。」

「偉そうにふんぞり返っているよりいいんじゃない?」

 別に皇子とか貴族が、絶対偉そうにしてなきゃいけないわけじゃないし。

「なんつーか、貧乏性で庶民的?ダークエルフだろーが、亜人だろーが、分け隔てなくイチャついてんなー。」

「庶民的感覚はいいけれど、そのイチャなんとかってのは、なぁに?」

「うまく説明できんけど、アルムは誰に対しても真っ白なんや。外見には拘らんし、種族がどうとかも言わん。相手を信じようと思えば、とことん信じるし、常に愛情を持って接しとるというか・・・。」

 何がいけないのかしら?

「博愛精神の持ち主なのね?」

 さしずめ、慈愛の皇子ってトコかしら?

益々ステキな皇子様じゃない。

「あぁ、確かに誰かも好かれるな。誠実やし・・・でもなぁ・・・。」

 ハディが言葉を濁す。

「何か問題?」

「いやな、誠実すぎるというか、我が身を削ってもってとこがあったり。なんやろな、そういう意味で行き過ぎなトコがあるというか・・・。真っ白ってのも悪く言えば、自分の目で捉えたモノしか信じないというか・・・。」

 う~んと唸り声を上げる。

無責任な人間よりは、断然好感が持てると思うのだけれども・・・。

「見ていて痛々しい。あ、いや、俺様としてはアルムみたいな人間が国を治めるっちゅーのは、すげぇ良い事やと思う。ああいう人間が皇王になるなら、世界中の王がそうやったら、世の中もうちょい住み易くなるんちゃうかな。」

 人を褒めないハディにしては、絶賛というかベタ褒め。

「ふーん。珍しいね、ハディがそこまで言うの。」

「そうか?クラムとかも認めてはいるぞ?」

 クラムか・・・。

「型にはまらないっちゅーカンジがいいな、アルムは。何すっかわからんが面白ぇ。型といえば、長剣使いだし。」

 あれ?

「・・・長剣?双剣ではなくて?」

 おかしい。

ヴァンハイトの皇子なら、双剣でないと・・・。

そうじゃないと、"愛しの皇子様"ではなくなってしまう。

「んー、まぁ、二本っちゃ二本やな。長剣二本を同時に使っとった。本当、器用や。」

「双剣は双剣でも、長剣を二振り・・・。」

 一体全体、私の皇子様はどうしてしまったのだろう?

お兄様の方ではないハズなんだけれど・・・。

「面白いやろ?全部が全部そうなんや。俺様の槍だって付加持ちの円盾で防いでみたり。」

「ハディの槍を?!」

「未解放やけどな。」

 未解放も何もハディの槍は神器。

しかも英雄の使っていた最古、最上級の神器なのに!

「全身黒ずくめにも驚いたけどな。」

「黒ずくめ?どんな物を?」

 もしかしたら・・・。

「古臭い黒い防具で・・・あ、セイブラムで鎧を貰ってたっけな。銀縁の黒い防具、今は上から下までそれやな。」

「・・・ねぇ、ハディ?皇子って剣も黒かったりするの?」

「剣?うんにゃ、利き腕の武器は銀やった。あれも付加されてんな。あとは普通の剣。」

 ますますわかんなくなってきたわ・・・。

「とにかく興味がそそられるというのは変わらないから、ハディ、あとで皇子のトコへ連れて行って。二人きりで話がしたいわ。」

「変なコト言うなよ?俺様と同じようにアルムは繊細なんやから。」

「あら、それは相当なのね?」

 私は傍らにいるだろうハディに向かって微笑む。

「頼むで。」

「頼まれちゃった♪」

 直接話せばわかるかも知れないものね?

この際、今のハディの溜め息は聞かなかった事にしちゃお。

結局、夏休みなんて知るかスペシャルで、連続更新しまくってしまいましたね。(苦笑)

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