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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅰ章:黒の皇子は決意する。
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戦慄と闇夜と血の薫り。【前】

需要あんのか?この話・・・?

せめて第一部完!とか言って終わりたい。


 握ってきたレイアの手が暖かい。

彼女の手の平が当たっている部分が少しザラザラする。

きっと剣ダコだ。

彼女の手が柔らかくないのは多少残念だが、理由が理由なので尊敬や賛辞の念の方が強い。

無言でオレを見詰めるレイアにオレはにっこりと微笑む。

やはりレイアは努力家なのだ。

そういうのが部下にいるのが嬉しい。

心無しか、彼女の顔も微笑んでいるようにも見える。

静かな夜。

静か?

・・・何だろ?

何時もの夜と何が違うんだ?

外で横に人がいて・・・微かに音がして・・・聞き慣れない音。

(視界の隅?)

 荷物の方だ・・・布に包まれた荷物。

確か・・・また聞こえる・・・金属音みたいな。


剣?


布に包まれている荷物の中身には剣もある。

"ディーンの剣"が・・・鳴っている?

「レイア。」

 オレはレイアの肩に乗せた手を彼女の手ごとそこから下ろす。

彼女は少し残念そうな顔をしているけれど・・・。

それよりも・・・全く腑抜けるにも程があるぞ、オレ。

「ザァッシュッ!火を消せ!囲まれてる!!」

 大声を上げた瞬間レイアの瞳はたちまち鋭さを増し、彼女はその場に立ち上がる。

オレも自分の剣を取り、横に寝ていたミランダを蹴り起こす。

緊急時だ仕方ない!

先に天幕を出たレイアの後をすぐに追う。

既に剣は抜き身だ。

勿論、バルドに用意させた長剣。

自分の身を護る為にディーンの剣は使えない。

使いたくない。

"ディーンを傷つけた血筋を守る"事なんかには。

ただの道具だと言われればそれでお終いだが、オレにとってアレはディーンの魂。

彼の高潔さそのもののような気がして・・・。

「レイア伏せろ!」

 天幕から出た瞬間、彼女の襟を掴んで無理矢理伏せさせるとすぐさま矢の風斬り音が聞こえてきた。

「ハッ!」

 バルドが林に飛び込む音が聞こえる。

流石に反応が圧倒的にオレより早い。

「バルド!左回りだ!」

 すぐさまバルドに指示を出す。

「ザッシュ!ミホシ達を!レイア、君はミランダと料理人達を。」

「しかし・・・。」

「行け!馬は守らんでもいい!」

 レイアの背中を叩いて、オレは林へとなるべく低い姿勢で走りこむ。

さっきの指示でバルドは夜営地を中心に左回りで動く。

本当はオレは右回りで動いてすぐに合流するべきだが、こっちのが手数が少ない。

諦めてオレも左回りで走り出す。

矢の音のした方向へ直線的な動きをしないように進む。

 すぐさま視界に入る射手。

ソイツはオレを確認すると弓を引き絞る構えに入ろうとする。

オレは諦めた。

自分が無傷でいる事をじゃない、相手が無傷でいる事をだ。

ためらう事なく矢を引き絞ろうとする手を手首から斬り落とす。

反射的に弓を捨てて斬られた手を押さえる相手の反対側の手も返す刃で叩き斬る。

人の命を奪おうとしたんだ、命を取られないだけマシと思って欲しいけど。

本当にオレは甘い。

そのまま歩みを止めず、木を盾にして左回りを続行。

 次のヤツはつがえる弓矢を距離的にも早さ的にも防げなかった。

全力で剣を相手の肩口に投げつけ、突き刺さった剣目掛けて飛び掛る。

もんどり打ってあちこちにぶつけたけれど、痛みは今は無視だ。

そのまま剣の柄をすぐさま掴んで、剣で肩を抉るようにして引き抜く。

傷口も大きくなるし、これなら痛みでオレをどうこうするどころじゃないだろう。

引き抜いた刃をソイツの顔にあて、横凪に払った。

「目がぁっ!」

 声は男のようだった。

男は顔面を斬られて血が溢れ出したであろう目を押さえて、悶えのた打ち回る。

残酷かも知れないが、戦力を無力化させるなんて相手より少人数のオレ達には、こういう風にするか命を絶つしかないんだよ。

話し合いというのは戦いが始まる前のものなのが基本で、向こうから一方的に攻撃されたら自分達を護るしか手段はないんだ。

「次・・・。」

 ごろごろと悶えている男の腹を強く蹴り飛ばし、黙らせてからオレは更に進む。

大分、月明かりに目が慣れてきた。

元々、オレは夜目が利く方だ。

 剣を手にした人影が視界に入ってくる。

向こうもオレを認識したようだ。

(双剣?)

一瞬、何か腑に落ちないモノがあったが、とりあえず一時放置。

人影へと突き進む。

コイツの相手は少し手こずった。

何たって双剣だ。

片手だけに気をつけていても無意味なのは当然。

手こずる程度が"少し"なのは、双剣使いの動きと型なんて今迄飽きる程見てきたって点が大きい。

結局、双剣の片方を叩き落した時点で勝負は圧倒的だった。

この暗闇と打ち合いじゃ、一度落とした武器なんざ拾えるワケがないから。

とりあえず、コイツは逃げられない程度に両足を斬りつけた。

色々と聞きたい事もあるし。

「ふぅ。」

 息をすぐに整えて進まないと・・・。

「はぁっ!」

 後ろからの気配に吸っていた息を吐き出して剣を振るう。

刃と刃の激突に火花が散る。

(何て重い打ち込みだ!)

 手が痺れる・・・やべぇ!

戦闘パートになんとかこぎつけましたが、前編です。

皇子最大のピンチ!で引きです(爆死)

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