好きと嫌いと姦しさ。(ミリィ視点)
まだ現状、読んでくださる方がいる雰囲気・・・何時までいけるのやら。
ところで、おんにゃのこ視点って必要ですかね?(苦笑)
「馬車の中で何話してたんですか?」
最近ノケモノにされている気がしていた私は、ホリンさんとシルビアさんに喰らいついた。
「馬車の中ですかぁ?」
きょとんとしている二人。
誤魔化そうとしたって、騙されないんだからっ。
「あはっ、んとね、アルム様がミランダさんとシルビアさんのどっちが好きなのかって話してたんだよっ。」
ホリンさんが夜着に着替え終わって答えてくれた。
薄い夜着にうっすらと褐色の肌が透けていて、綺麗な身体の線が出てる。
私と違って、物凄く引き締まってる・・・羨ましい・・・。
確か、彼女の肌はアルム様もお気に入りだった。
「はぃ~。私の愛情がどのくらい届いているかの確認です~。」
おっとりと答えたシルビアさんの夜着の布地は、胸のところまでで今にもこぼれ出てきそう。
すっごくドキドキする・・・私も女なのに。
「えっ?シルビアさんって皇子が好きなんですか?!」
「いけませんかぁ?」
首を傾げるシルビアさん。
「いくらなんでも、侍女と皇子じゃ・・・。」
「アルム様はそんなの気にしないって。」
確かに皇子は優しくて、ホリンさんの言う通りなんだけど。
「それにしたって・・・。」
「あらあら、愛に国境も種族も性別も関係ありませんわ~。」
・・・性別はどうかと思う。
「そ、そんなに好きなんですか?」
「最初は違いましたけどぉ、お話していくうちにとても素敵な方だと思ってきました~。」
シルビアさんはうっとりしてる。
見ていると鼓動が早まるのは何故?
「皇子というか皇族らしくないよね、アルム様。貴族みたく偉そうじゃないし。」
あははと笑うホリンさん。
「まぁ、ちょっとエッチだけど、男ならあのくらいはしょーがないっしょ。」
時折、目線がそんな感じだけど・・・。
「愛の器が大きいだけですぅ。」
何処まで大らかなんだろうシルビアさん。
「確かに器が大きいか、ドアホかどっちかだねー。」
「ドアホってホリンさん・・・でも、ヴァンハイトの第二皇子って余り噂聞きませんよね?皇太子様のお話は聞きますけど・・・。」
身の回りは今迄ミランダさんが一手に引き受けて指示をしてたから、侍女仲間でもほとんど話を聞いた事がないし。
「色々あって、目立たないようにしてるのですねぇ、きっと。お兄様にも気を遣って~。」
「そうなのかな?」
「だから今回みたく居城を移されるのですねぇ~。私達がお寂しくならないようにお助けしませんと~。」
「お助け?」
「はぃ~。朝から晩から一晩中お助けですぅ~。」
一晩中・・・?
皇子とシルビアさんが?
「だっ、だだだ、ダメですよ!」
一晩中って!
「ダメ、ですかぁ?」
「だ、ダメです!そんな侍女と皇子が、ひ、ひ、一晩なんて。」
「ミリィ、顔真っ赤だよ?まぁ、貴族相手に夜伽とかってのは、よくある話じゃん?」
さらりと・・・。
「よ、よ、よ、夜伽って?!」
「命令されたら、逆らうワケにいかないしねぇ?」
そ、そ、そうなのっ?!
そういうものなのっ?!
「私は別に構いませんよ~。アルム様なら優しくしてくれそうですし~。」
「あ、確かにそーカモ。アルム様、相手がダークエルフでも差別しないし、一晩中肌とか褒めてくれそーだわ。」
「ホリンさんまで!」
「あら、ミリィちゃんも一緒よ~?」
私も?
私が皇子と?!
ひ、一晩中・・・。
顔が熱くてクラクラしてきた。
「なーんてね。アルム様がそんなコトするワケないじゃん。したとしても断れば、それでお終い。」
クスクスと笑い出すホリンさん。
笑い事じゃないって!
「そうですねぇ。無理強いはしませんわねぇ~。」
ど、どこまでが冗談なの?!
「でも、お願いされたら考えてしまいますわ~。」
シルビアさんが困ったとばかりに腕を胸の下で組んだ。
胸が盛り上がって、何か凄いコトに。
「あはは、そだね。私も少し考えちゃうかなぁ。」
ホリンさんまで賛同する。
「私は・・・困っちゃう・・・。」
皇子は優しい。
失敗しても今までの上司のようには怒らない。
次、気をつけろと言う。
食器を割っても、まず怪我がないかを聞いてくる。
大丈夫だと答えると、私の鼻を摘んだり押したりして去って行く。
このそばかすだってそうだ。
周りに散々からかわれてきたコレだって、皇子は初対面の時『可愛いね。』と言ってくれた。
「嫌いじゃないケド・・・。」
総合するとそんな感じ。
あれ?
嫌いな要素が何一つない・・・?
「では~、好きになるように明日はアルム様と同じ馬車に乗ってみましょ~。」
ぽんっと手を叩くシルビアさん。
「お?名案~。好き嫌いは別としても仕える相手なんだから、よく知るのはいいカモねー。はい、決定!」
パチパチパチと拍手をするホリンさん。
私の意志は何処に?
「ザァッシュッ!火を消せ!囲まれてる!!」
闇夜に誰かの叫び声が響き渡った。
次回!初戦闘パート【前】へ!
次回があるかどうかはわからないですけれど(トオイメ)