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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅰ章:黒の皇子は決意する。
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静けさと瞳と乱れ髪。

他作品、【いつか君の名を喚んで】もよろしくお願いいたします。

向こうと同じで、こっちも投稿日(24時間以内)のユニーク一定水準以下で打ち切り縛りにしようかと・・・。

基本的に更新等は活動報告に記載しています。

 馬車を止め馬に水と干草を与えた後、夜営用の天幕を3つ張った。

食事と暖の準備も同時並行だ。

馬車の中で寝るのもアリだったが、結局全員天幕で寝る事にした。

天幕の一つはオレ専用との事だったが、流石に旅行中の夜営にそんな我が儘プーはどうよ?

と、主張したら周りの人間に一笑にふされてしまった。

だから、これでもオレ皇子・・・。

仕方なく譲歩するしかなく。

オレとミランダとレイアで1つ。

レーダ・ホビィ・ザッシュ・バルドで1つ。

ミホシ組(絶対呼び方定着させてやる)とクリスで1つ。

こういう割り振りになった。

男女分けが当然なんだが、ミランダが馬車内で半壊してしまったので、仕方なくオレと一緒だ。

警備に関して譲れないとレイアも一緒。

まぁ、ザッシュと交代で不寝番するらしいからいいが。

個人的には、オレも男組に入ってアレコレ話したかったんだがなぁ。

馬車でもぽつんだったし。

クリスは香草をふんだんに使った料理を用意してくれた。

この香草、あの大男のホビィが街道の林に入ってものの20分程度で採取してきた。

新たな才能を見せつけられた形になったワケだが、ホビィ恐るべし。

メシを食べて明日の予定を確認したら、やる事がなくなってしまった。

本当は『明日の馬車の組み替えを!』と高らかに叫びたいのだが・・・。

天幕の割り振りであんだけ言ったうえにそれはどうよ?と思ったので自重。

明日もシルビアとホリンに振り回されるのは確定だ、コンチクショウ。

それを考えると目からしょっぱい液体が滲み出てきそう。

結局、ザッシュが火の番をすることになって、皆は早々に天幕に引き上げた。

勿論、オレも。


「アルム様、お寒くはありませんか?もっとくっついて下さって結構ですよ?ささっ、ぎゅぎゅっと。」

 少し息を荒くしてすり寄って来るミランダが怖かったが、これ以上に過保護っぷりが溢れ出しても困るので多少くっついた。

それで随分と気を良くしたらしい。

ただオマエがくっつきたかっただけだろ!とか言うなよ?これでも色々と限界なんだ、今日。

主に精神的に。

それに天幕に入る人数が少ないと逆に寒かったりするし。

しかし・・・ミランダと一緒に寝るのは何年振りだろう・・・。

「あ、レイア?タコ・・・じゃなかった、バルドがいるから大抵のコトは大丈夫だから無理はしないような。」

「お気遣いは無用です。」

 オレに背を向けお団子頭を結い直す為に解きながら、ばっさりとオレの主張を跳ね返す。

やっぱり髪を解いてみると異様に長かった。

長いその髪を櫛に通しながら、また再び編み込んでいくワケだ。

ふむ。

「レイアの髪は、いい色合いで綺麗だな。」

 ぽつりと洩らした言葉に突然レイアが振り向く。

「何をっ?!」

 心無しか照れているのか、顔が赤い。

「いや、昔から好きだった花の色と同じで綺麗だなと。任務中はお団子頭だからちょっと勿体無いね。」

 肌の美しさはホリンが一番だと思う。

スタイルは圧倒的にシルビアが一番だし、愛らしさではミリィが一番。

髪はダントツでレイアだな。

クリスは格好良くて料理の腕は抜群だし。

やっぱり素晴らしい女性揃いだな、ヲイ。

「・・・そうですね。」

 レイアは淡々と髪を小さな束に分けて結っていく。

慣れているせいか、その動きは澱みない。

「あの?」

 ふとレイアが髪に視線を向けたままで話かけてきた。

良かった・・・無言は気まずかったから。

ミランダ?

オレにすり寄ったまま、とっくに幸せそうに寝てるよ。

やっぱりくっついて一緒に寝たかっただけみたい。

「何だい?」

 ミランダの寝顔に微笑みながら、レイアに返事だけはする。

「その・・・あの・・・何故、長剣なのですか?」

 物凄く、ホント物凄く遠慮がちに聞いて来るレイア。

"皇族は伝統と格式に則り、すべからく双剣を嗜むべし。尚且つ、諸貴族・諸兵士もこれを奨励すべし。"だもんな、基本。

あ、だからバルドは例外ね。

規格外の強さだから、アレ。

双剣うんたらの規則で排除して違う国に行かれて敵対までされた日にゃ、たまったモンじゃない。

とかいうのが先々代が登用した理由だとかなんとか。

いや、有り得そうで何とも言い難い。

判断的には確実に正解だと思うが。

「それはレイアだってそうだろう?」

 だからオレも気になってる。

「そうですが、それとこれとは・・・。」

「同じだよ。断言は出来ないけれど、同じなんだだと思う。」

 オレの場合は、大半は反抗心と鬱屈だけど。

三つ編みの束を何本か作って、お団子状に巻いていく。

もうそろそろ礼のお団子が完成だ。

「女性だけでも目立つのに長剣使い。そりゃ今まで浮いてただろ?」

 同じ皇族なのに長剣使い。

オレの場合は隠してたから、知っているのは母上とバルドだけだが。

母上に何故知られたのかが、最大の謎である・・・バルドも話してないって言うし。

聞いでも素で『母の愛。』の一言で終りそうだ。

いや、終るな。

「女性なのはレイア、君が悪いワケじゃない。それは事実として受けれなきゃいけない。受け入れたうえで生きていかなきゃね。」

 お団子頭を作り直したレイアの肩に手を置く。

「あ・・・。」

「譲れないモノや決意の為に長剣を選んだ。そこに意味があるなら、それを誇りと言うなら歓迎するよ。」

 それだけが証明だと言うなら。

「自分らしくある為ならば否定しない。オレには出来ないから。この任務を足がかりにでもすればいい。ちょっと寂しいけどね。」

 何だろう?

何だかんだいって、ミホシ組も料理人組もザッシュもレイアもオレのお気に入りになってんだよな。

人間として、実際オレより遥かに素晴らしい。

「アルム様・・・。」

 肩に置いたオレの手をレイアがそっと握り返してくる。

「レイア・・・。」

 髪を結い直し、振り返ったレイアと目が合い見詰め合う。

外はとても静かで・・・。

静かで・・・。

他人に偏見を持たない皇子。

彼は、それがどれだけ凄い事か気づけない点のにおいてアホだと思う、今日この頃。

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