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花束と笑顔を皇子達に。  作者: はつい
第Ⅲ章:黒の皇子は世界を見る。
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Quarrel! 皇子はそれを蔑視する。【後】

「お気遣いは無用です。私はどちらにも加担しませんから。」

 こんな言い方をすると確実に余計な問題が起きそうだが、こうも言わんと一生自分達の都合のいいようにとられかねない。

「例え、クロアートとセルブの戦争が起きたとしても。」

 恐らく、兄上も同じ意見だと思っている。

というか、国の総意だと思う。

誰もそんなのに首を突っ込みたくはない。

利点もないしな。

ヴァンハイトが行うとしたら、停戦調停くらいだろう。

「あぁ、そうか。」

 オレは今は個人なんだったな。

オレがやりたい事をブチまけてもいいのか。

「私が必ず何処かに加担しなければならないとしたら、獣人・亜人にしよう。」

 北と南が激突したら、困るのは国境線の近く。

真っ先に戦地になる彼等だ。

そもそも国境線付近に集落があるのも原因の大半を占めている。

「戦いで泣くのは民。ならば、両国の戦火を逃れた者、全て。ヴァンハイト皇国で受け入れても構わない。」

 馬鹿げてんだよ、皆。

こんなくだらないモノの為に世界を救った英雄達。

その英雄達の末裔が世界を戦で染める。

滑稽では済まされない。

例え、この平和が裏切りと欺瞞で出来ていたとしても。

どんなに危うい均衡で成立してたとしても、維持していく事が末裔たる者達の責務だ。

「お話は以上でしょうか?ご期待に添えずに申し訳ありません。」

 唖然としている二人を尻目にオレは席を立つ。

オレ・・・本当に、食事をほとんど食べられていない。

が、そこは我慢だ。

これを見栄とか突っ込まれたら困るんだが、それは棚上げにするぞ、うん。

「勿論、何事も無く、私の勘違いでしたら良いのですが。それでは今宵はこれで失礼致します。」

 はぁ・・・これで悪い印象を与えたな。

だが、失礼をしたという事を周りに話せたとしても、その内容までは言えないだろう。

言ったら引き抜きや戦の話をしなければならなくなるからな。

そろそろ、潮時だろうか?

この宴では無く、この施設からの。

他国の情勢もある程度把握したし、施設の状況もそこそこ理解した。

持ち帰りたいいくつかの資料の目途もついたし。

こりゃ、書写作業を急がないとな。

ミリィには、なるべく精一杯勉強してもらう事にしよう。

しかし・・・マトモな貴族・王族っていないのか?

「はぁ・・・。」

 溜め息を着いて、ミリィとオリエ達がいるであろう別室に向かってから帰途に着く事にする。

退室する時のオッサンの顔は、少し憤慨したようにも見えたが、オレは元々ヴァンハイトの所属の人間なのだから、そこまでの遺恨は残さないだろう。

少なくとも敵対するセルブには属さないと宣言したんだ。

「トウマさん!」

「ほへ?」

 さっさと退散しようと足を早めたオレのあとを必死にな表情で、アイシャ姫が追いかけて来る。

「どうしたの?」

 どうしたのじゃないか、台無しにしてしまったしな。

「今夜は申し訳ありませんでした。」

 深々と頭を下げるアイシャ姫。

ここはマトモな貴族かも知れん。

「アイシャ姫が悪いわけじゃないだろう?」

 アイシャ姫は末席の貴族みたいな事を言っていたし、上級の貴族には逆らえないだろう。

「でも、今夜は本当はこういったつもりではなくて・・・。」

 やっぱり逆らえなかったんだな。

「いいよ、気にしてないから。」

 立場か・・・厄介だよな。

誰にだってあるかも知れないが。

全く選択肢が産まれた時から無いっていうのもな。

オレですら、ディーンの剣を持つまでは、結構自由奔放だったし。

ん?持ってからもか?

うぅむ。

「アイシャ姫も・・・アイシャ姫も嫌になったら来るといい。」

 何を言ってるんだ、オレは・・・。

「ヴァンハイト皇国、リッヒニドス領。オレの出身地だ。」

 彼女は貴族という立場と責任を理解している。

きっとそんな選択肢は取らない。

でもさ、それと何も誰も言わずに閉じ込める必要はないだろう?

選択肢を塗り潰す事もないだろう?

「私は・・・。」

「うん、わかってる。わかっていても言っている。何なら、近衛兵ごと来ちゃう?何とかなると思うから。」

 それでも国を捨てられないんだろうなぁ。

オレみたいな衝撃的な出来事がない限り。

「と、言うのは簡単だよな。でも忘れないで、例えこの施設を出てもオレ達の事。」

 出会いがオレを変えていく。

それは衝撃的だった出来事のような強制的なモノじゃないのに・・・。

切り捨ててしまう事だって出来たのに。

でも、出来なかった。

出来ない出会いだった。

そして、出会ってしまったら、後悔しないようにしたいと思ったから、ここまでノコノコ来たんだ。

「・・・・・・はい。どうもありがとう。」

 彼女の微笑みも、オレは絶対に忘れない。

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