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エリア五 12話『想定外の事態』


「お嬢様、お怪我の方は大丈夫ですか」


「問題ねえなの…ただどこかで休まないと」


ジョニーとボロボロのリヴァは安全地帯を求め街を彷徨っていた。ジョニーのファインプレーによってグレイドを一時的に退けることには成功したが、いずれヤツもまた帰ってくるだろう。グレイドを退けるのが成功したワケはグレイド自身にも焦りがあったからだろうし、何より…


「私はギャンビッター様に作られた直属の試作機、つまりギャンビッター様のことならよくわかっています」


「口調の模倣も99%正確ってわけなの。本当に助かったなの…」


ジョニーは結局捨てられたとはいえギャンビッターに作られた存在なのだ、完全な模倣は無理だが一言くらいなら違和感なく口調の模倣も可能である。厄災が2人もやられ焦りに焦っていたグレイドには効果覿面だったのだろう。


「…ァ!」

「それよりお嬢様、どこか安全なところには目星はついてるんですか?」


ジョニーは迫りくる雑兵を羽交い締めにしながらリヴァにそう質問する。先程から雑兵も迫りくるが瀕死のリヴァに代わりジョニーが対応する。雑魚がいくら束になろうと彼に勝てるわけがなく、無謀な彼らは一瞬でスクラップと化す。


「んー…近くにあるマンションみたいなのがあるからそこに行こうと思うなの」

「なるほど…それなら」




「侵入者発見。直チニ排除スル」


「…っ、しくじりました!」

「こりゃまずいなの…!」


安全地帯へと移動しようとしていた彼らの前に突如現れたのは一匹のロストナイト。紅い目をぎらつかせながら睨んでくるその機械兵は拳を構え彼らと相対する。もちろん、リヴァほどの実力者であれば一体程度ならまず勝てる、しかし…


「お嬢様、その傷で無理に動いてはなりません」

「でもジョニーじゃどう足掻いてもロストナイトには勝てねーなの…!」


主力のリヴァは今は瀕死状態、まともに戦うことなどできず、シャドウロイドであるジョニーよりもロストナイトの方が格上の存在であり、ジョニーではロストナイトに勝つことなどできない。つまり、打つ手なしの状態だ。


ハクジャやガルゼドールから逃げたときに使ったシャドウロイドの特権である影潜りも、ロストナイトには同様の機能が備わってるためその方法も使えない。


「…!」


ロストナイトの拳から紅き爪のような射線を発生させて飛びかかり、まず弱っているリヴァの首を掻っ切ろうと…


「オレに出くわしたのが不運だったなァ」


突然何者かがハヤブサのように現れ、ロストナイトの横顔を殴打し吹き飛ばす。衝撃でロストナイトは破片を撒き散らし、その無粋な横槍を入れた存在を確認する。


「視覚機能ニ障害アリ…!」


「は、口程にもねえな」


ロストナイトはその強烈な衝撃により大きくのけ反り、リヴァとジョニーもこれをしでかした存在に驚きその姿確認すると…そこにはまさしく狼男そのものな存在が立っていた。


彼は自分の手にフーッと息をかけた後リヴァの方を向くと…何やら彼の顔が嫌悪感で満たされていく。


「あー!よく見たらこっちは人間じゃねえか!死ね人間!!」


「はー!?」


その狼男はリヴァの姿をちゃんと確認するや否やいきなり暴言を吐き始め、中指をリヴァに向けて立てる。彼はペッペと唾を吐き捨て、それに対して負けじとリヴァも杖を構えて威圧する。助けてくれたのには感謝するが、その後の行動で台無しにも程がある。


「新タナ脅威ヲ確認、ターゲットヲ変更スル」


「む、他の雑兵も集まってきたみたいですね…!」


ロストナイトはその強烈な不意打ちによる衝撃から立ち直り、そして喧嘩しているウル男とリヴァに飛びかかり反撃の一手をぶつけようとする。空を切る一閃、当たればかなりの損傷を被ること間違いなし。見れば侵晶衛星やアイアンハチドリヘイなども集まってきており、喧嘩している彼らの代わりにジョニーが立ち向かおうと…


「動かなくていい」

「!?」


しかし、ロストナイトは動くことすら許されることなく機能を停止することとなる。謎の保安官のような服装をしたウニが現れ、彼が手に持つ銃から放たれたトゲが三発ほどロストナイトに直撃し、ロストナイトはそれを皮切りに動けなくなってしまった。他の雑兵たちも飛び交う棘を見ては近づけないと硬直してしまった。


「死ね人間!!」


「だから人間じゃねえなの!!」


「ウソつくなよじゃあなんだその姿ァ!?」


「…さわぐな」

挿絵(By みてみん)


超人的な力を見せつけ窮地に陥ったリヴァとジョニーを助け出した謎の狼男とウニ。果たして、彼らは何者なのだろうか。



__________________________________________________




「えーっと…そちらがゼリフさん、であなたはウル男さんですか」


「そうだ」

「そうだぜぇジョニーちゃーん。よろしくなァ」


「よろしくなの」


このいかにも気難しそうな雰囲気を醸し出している保安官のようなウニ…正確にはガンカゼの彼はゼリフ、そして隣のオオカミ男はそのまんま、ウル男だという。激しく人間に憎悪を抱いてるらしく、一見人間にしか見えないリヴァに暴言を吐きかけていたのもそれが理由らしい。


「さて…もう安全だ。出てこい」

「ファーハァー!」


さて、ゼリフが雑兵たちが全員蹴散らされたのを確認すると彼は何やら合図を送る。すると、マントの中から頭に青い灯火を灯したかのような生命体が現れた。その生命体はやけに高揚した様子でリヴァに近づくが、この生命体は一体…?


「一体これは…?」

「あいつは命の精霊ってやつだとさ、オレたちがここのヤツらから助けてやったんだよ。まあ黙って見てろ、おもしれぇもんが見れるからよ」


「ファー!」

「なの…?」


その命の精霊、とやらは傷だらけのリヴァに対し頭の青い炎を翳す。すると、傷だらけのリヴァの体がみるみるうちに癒えて傷が塞がっていく。その神秘的な力にリヴァはカッと目を見開き驚く。


「なの!?」


「な、おもしれぇだろ?命の精霊には傷だらけのヤツを癒したい本能があるらしくてよォ…オレなら人間なんてとっとと八つ裂きにしてやるのになァ」

「救出して以降は救護班として同行してもらっている」


「ファハァア!」


「これは…助けてもらっただけでなくお嬢様の傷まで治してもらえるとは」

「感謝してもしきれねえなの」


この街で命の精霊はガンダーラ軍に捕虜として連行されていたのだが、そこをゼリフたちに助けられ以降は彼らに同行しているらしい。ゼリフたちはこの街でレジスタンスを名乗り、主に迷い込んだ非戦闘員や実力が足らない者の救助を行なっていたようだ。


そして助け出した者はどうしていたかというと、比較的安全である別エリアに逃していた、とのこと。


「しゃいにー」

「めにめに」


「この街の幹部の四人のうち二人が打ち倒されたなら話は早ぇ!ゼリフさんよ一気に掻っ攫おうぜェ!」


「落ち着け…一度アジトへ帰るぞ。ライラとも合流せねばならん」


「あんなガキいらねえでしょうがよぉこのクールなオレだけで十分だぜぇ」


「あまり調子に乗るとまた尻を叩くぞ」


龍の巣を齧るウニ型ラジコンを横目にゼリフとウル男が今後の方針について話し合っている。ハクジャとガルゼドールが倒されたことにより彼らもこの街で大きく動けるようになったらしく、本格的に活動を始めるとのこと。しかしそのためにもまず一度アジトへと帰って色々と準備をするようだ。



「ジョニーちゃーんと人間はどうする?オレたちについてくるか」


「だから人間じゃないけど…ま、いいなの。どうせならもう少し探索してみようと思うなの」

「情報をもうちょっと集めておきたいですからね」



せっかく傷を治してもらったのだ、これならばいくらでも活動できる。ゼリフたちはアジトに帰って色々やることがあるようだがリヴァたちに手伝えることはどうやらなさそうだし、彼らのことは彼らに任せて自分たちは他にできることをしよう。


「そうか…ではまた会おう」

「ハーファー!」


そうしてリヴァとジョニーはレジスタンスの三人と一旦別れ、また別の場所へと向かっていったのだった。



※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


クラゴア研究所に潜入するまでは特に問題はなかった、裏口にも見張りはいたが彼らの強さのレベル的にあのロザリオを使ってなんとか騙しあっけなく潜入できてしまった。


流石に明らかに厳重に保管されてる物は取れなかったが、研究価値はないと乱雑に置かれてるガラクタ程度なら何個か取れた。まあ本当に重要なものは奥地に置かれているらしく、ここら辺はまだ警備が薄い。


「ガラクタと言ってもこいつは十分強力だぞ…ぼたら式ドドンパバクダンとやらは切り札にできるかもしれない」


「ルビーさん、さっき取ってたその宝石は何っすか?」


「これ?これはラピスラズリって言うんだけど…なんかこれを見てたら何か大切なものが思い出せそうな気がするのよね…何かしら」


「へぇ〜…思い出せるといいっすね!」

挿絵(By みてみん)

ルビーは小さなラピスラズリを見てはどこか儚げな視線をその宝石に向ける。もっとも、その宝石に心惹かれる理由など彼女自身もわかっていないのだが。さて…


「むー…あれはできれば取っておきたいが…スルーだな」


「どうしたんっすか?」


頬を掻きながらガラスのショーケースの中に入ってるものを見ているノアにアルマは声をかけた。喉から手が出るほど欲しそうな顔をしているが、一体どうしたのだろうか。


「この中に入ってるのはワープホールっていうヤツらしくて…使えばシャドウロイドの瞬間移動みたいに指定の位置までワープできるんだとさ…でもこれはやめとくか」


「大丈夫っす!僕に任せて欲しいっす!」

「…?何かいい方法でもあるのか?」


アルマが自信満々にこの状況を打開できるとノアに対して伝えたためノアは疑問を隠し切れずそう問いかける。アルマは何をしようとしているのかと言うと…


「このくらいなら僕の体当たりで割れるっす、どりゃああああああ!!」


「ちょまバカ」


ガッシャアアアアンと甲高い音が鳴り響く。

確かに、アルマのおかげでそのワープホールは取れた。しかし、問題はガラスの砕け散る音が予想以上にこの研究所に響き、それを見張りたちが見過ごすことはなかったということだろうか。







「クソ、どうしてこんなことに…!」

「アルマ、なんであんなことしたの!?ケホ、ケホ!」

「ぼ、僕だってよかれと思ってやったんっすよ!」


「敵を捕捉」

「ミグリミグリィィ!」


集まってきた雑兵たちは彼ら③人を捕捉しては追跡を始め、大量の軍勢が押し寄せていた。もちろんあの中に放り込まれたら一巻の終わりであり、その凄惨な運命から逃れるためクリフサイドたちは全力ダッシュで逃げていたのだった。



「侵入者ヲ排除スル」


「ひぇええええ!!っっす!!」

「まずいわ、このままじゃ追いつかれるわよニンゲン!」

「幸いあとちょっとで出口だ、あいつらも役目は研究所の防衛、外に出れさえすれば追っ手も減るだろ!」


執拗に追いかけ続けるのは臨界ネリンを模して作られた兵士、量産型守護者とそれらの配下である幾多もの大量に迫る量産型骸骨。量産型守護者だけならアルマとノア、ルビーだけでも勝てないことはないがなんか後ろの方からもすごい音が聞こえる。まずい。


鎌の振られる金属音と羽音が響き渡り、アルマも涙目になって逃げる。だが出口の光が見えてきた、前方に雑兵はいるがそれくらいならすぐ消し飛ばせるとルビーが光魔法で蹴散らす。そして出口へと辿り着きクラゴア研究所から抜け出す。しかし…


「よし、出れたわ」

「でもまだあの骸骨たちが追いかけてくるっす…!」


追跡は執拗に続く、彼ら三人の首を刈るまでその追跡が終わることはない。どうしようか彼らが考えていると…ノアがあるアイディアを思いつく。


「よし、こんなもんか…!?アルマ、ルビー、これに飛び乗れ!」


「わかったわ」

「わかったっす!」


ノアが手を翳し三人ちょうど乗れるサイズの氷を作り、そしてそれに乗った後アルマとルビーにも彼と同様にこれに飛び乗ることを促す。そして…


「かっ跳べ…!」


氷を最大出力で空中へと一気に飛ばし、宙を舞って移動する。ヒュンと空気の音が鳴り彼らはこの紅く光る空を移動する。もちろんそれだけだとすぐに勢いが落ちてしまうため…


「ルビー、光球を地面へと向かって発射しまくって勢いを上げてもらえるか」


「わ、わかったわ!」


ルビーに頼み光魔法を応用することで氷の傾きなど諸々をうまく調整する。これで大丈夫だろう…追っ手もこれでうまく躱せたようだ。


「ひゃー、こうして見ると爽快っすね!」


「まあ目立つから移動手段として使うのはこれっきりにした方がいいわね」


「あくまで緊急用ってことだな」


「…ところで、これどうやって着地するんっすか?」


「………各自、衝撃に備えろ」


「えっ」

「え」





「おんどれぁいい加減鬱陶しいんじゃあ!」


「ジ…」


その頃、地上ではがぶらが追っ手である大量の雑兵と相対していた。がぶらの力ならばそれらの対処も困難ではないが、問題は数が多すぎて処理が間に合わないことだろうか。


「ちっ、一体一体は大したことないんじゃが…!」


ビルすらも投げ飛ばすことができるほどの筋力で襲いかかるアイアンハチドリヘイたちを粉砕していく。負けることはないが処理にかなり時間がかかってしまう、時間が遅れたらあのハクジャのような強敵たちがやってくるかもしれない。


「ちょま、どいてっすーーーー!!!!」

「今すぐそこから離れて!!」


「なんじゃあああああ!?」


そのとき、突然上空から叫び声が聞こえがぶらは驚き目を見開きながらそこに視線をやる。感情のないはずの雑兵たちもどこか驚愕を隠し切れず空に目をやる。


視線を向けた先には大きな氷塊に乗っている人間と、ウサギと…アルマジロ…?がいた。彼らは大焦りしながらこちらに逃げるよう警告を促している、がぶらもその警告に則り逃げようとしたが、もう遅かった。


「ぐわっはあああああああああああああ!?」

「うごぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「なんじゃおどれらぐわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「「「ジ…!??」」」


その氷塊によって発生した大きな衝撃が雑兵やがぶらをも巻き込んで地面に大激突した。

雑兵が粉々に砕け散り、がぶらもノアもアルマもルビーも吹き飛ばされて倒れ込んでしまった。




「お、おどれらは何もんじゃ、あの白蛇の仲間ちゅうんならただじゃおかんぞ!?」


少し時間が経過し、よろよろと立ち上がり、成人男性を軽く凌駕する身長を誇るこの妖怪の名前はがぶら。ハクジャの牢獄から抜け出しここまで逃れてきた元捕虜の一人である。


グレイシティーを探索していたヒナ…という妖怪と一緒に、200年前に封印されていたようだが諸説あり…そしてこの闇の世界でヒナを探していたらあの厄介な白蛇と遭遇、交戦のうち捕らえられていたようだ。


「先ほどは失礼したっす…僕はアルマで彼はノアさん!ウサギのあの人はルビーさんっす」

「俺たちは敵じゃない、どうかその拳を下ろしてもらえないか」

「ケホ、ケホ」


出会い頭が最悪なのもあり、がぶらは拳を構えて警戒体制を崩さない。それに対して咳き込むルビーを横目に慌ててアルマとノアは誤解を解こうとする。


「僕たちはクリフサイド…この闇の世界を支配する悪しき組織!ガンダーラ軍を打破するための集まりっす!」


「前から思ってたけどクリフサイドの意味って……いや、なんでもない。それよりもだ」

「これ誰が名前つけたのかしら」


自信満々にそう高らかと名乗るアルマに対して、ノア及びルビーは何か言いたげな様子で硬直する。クリフサイドという文字は英語名だけ見るとかっこいいが、真の意味は…

彼ら二人はすぐに目を逸らし話題を転換しようとする。


「白蛇ってのは…ハクジャのことか。あいつなら俺たちが倒した」


「ほ、本当かワレ!?不死身のヤツをどう攻略したってんじゃ」


「それはっすね…」


がぶらの攻撃性能と物陰に隠れることでのステルス性は並の者にとっては脅威であるが、この日ハクジャとはめっぽう相性悪かった。


ハクジャは威力の高い攻撃を受けたところですぐ再生し、中から破壊しても無駄。おまけに地操の加護で瓦礫の隙間に入って逃げても必ず追いつくのだからまさしく『天敵』なのであった。


「あの八岐大蛇もどきにそんな弱点があったとは…こりゃ驚いたのお」


「どちらかと言うとヒュドラの方が特性は似てるけどね」

「ルビーさん、顔色悪いっすよ?」

「だ、大丈夫よ」


腕を組み感心するがぶらに対してノアはボソッとそう呟く。何度何度首を斬り落としても何度でも再生すると言う点はまさしくギリシャ神話のヒュドラそのものだろう。もっとも、日本の妖怪である彼にそんなことわかるわけないのだが。


「え、お、女じゃ…」


「あら…ケホ、どうしたのかしら」


がぶらは少し顔色が悪いルビーに目を向けるや否やすぐに目を逸らし言葉を詰まらせる。ルビーがじっと怪しげに見ているががぶらは一向に目を合わせようとしない。


「もしかして…女の人が苦手だったり」


「バクもどき、それ以上言うんにゃらわれは黙っとらんぞ!」


「あんまり怒鳴らないでほしいっす〜…」


そう、がぶらは妖怪でない女性に対してまともに目を合わせて話すことができないのである。アルマとノアはもちろん妖怪でなく男だから普通に話せるが、ルビーの方は無理である。ウサギの妖怪など…因幡の白兎などごく僅かしか少なくとも日本にはいない。


「さっきから思ってたんだが…妖怪に随分詳しいみたいだな」


「あぁ?当然じゃろうが。われぁ『がぶら』。十鬼夜行の一柱よぉ」


「ということは…え、まじの妖怪っすか?」


「気づいてなかったとは言うまいな。そうに決まってんやろ…見せてやった方が早いちゅうわけか?」


がぶらは反射的に聞き返したアルマの言葉通り彼は妖怪であることを肯定、そして姿を見せてやった方が早いとがぶらは姿を変え始めると…首が肥大し始め悍ましい口の形と人の顔のようなものが現れ始める。


「これがわれの真なる姿や、どうだ驚いたろう?」


「これは俺たちの世界なら怪異と言われても違和感ないな」

「ひぇー…本物の妖怪っているもんなんっすね」


見る者全てに恐怖を植え付けるその姿は体感4、5mはあるだろうか…その巨躯をノアたちに見せつける。その歪な姿はまさしく魑魅魍魎と言うにふさわしい風貌なのであった。


「これは事情を知らなきゃ逆に敵側とも…思われそうね」


少し額を赤らめしんどそうにしているルビーがそうコメントを残す。この妖怪形態の見た目だけなら完全にガンダーラ軍の一人、「敵です」と言われたら納得してしまいそうなくらい不気味なデザインである。


「リヴァさんの竜形態レベルでおっきいっすね…流石にあっちの方が大きいっすけど」


「なんだおどれ、竜と知り合いか?まあたかがトカゲ風情など口ほどにもないじゃろうがなぁ」


「む、リヴァさんは結構つよいっすよー!」

「抑えろアルマ…それで、がぶらは今後どうするつもりだ」


「…そうやなぁ」


仲間を侮辱されてちょびっとむかっときたアルマをノアが制止し、そして今後のがぶらの動向を尋ねる。すると、がぶらは少し悩みながらこう話し始めた。


「…参ったわ、われには今の所行く宛が何一つないわ。どうするか考えないとあかんわ」


そう、がぶらは地獄の牢獄を抜け出して以降、追っ手を処理しつつではあるが特に行く宛もないままこの街を放浪していた。目新しいものがあればそこに行くのだが、視界に続くのは殺風景な荒廃した街だけ。街を脱出するにしてもどの方向に進めばいいかもわからない。


「それなら、俺たちについてこないか?この街の幹部を相手する権利がお前にもあると思うぞ」


「この街の幹部っちゅうと…あの八岐大蛇みたいなやつらやな。なるほど、悪くない提案やな…

確かにわれぁヤツらに閉じ込められてた身じゃあ…だが」


ノアの提案に対してがぶらも特に異論はないようだ。今の戦力だけだとこの街を最後まで攻略できるかは疑問なところがあるし…それに、少々火力不足が目立つ三人に足りないところをいい感じに補強できる。がぶらが加入すれば今後の攻略もより一層楽になるだろう。


もちろんがぶら側にもデメリットはないはずだ、彼もまた囚われた身でガンダーラに対していい思いは持っていないだろう。復讐の機会を与えているのだから悪くない提案なはずだ。悪くない提案な、はずだった。


「ア、アルマ、ニンゲ、ン…」


「どうしたっす!?」

「!?」


がぶらの返答を待っていたその時、体力の限界とでもいうのか突如ルビーが地面にばたりと倒れた。

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