エリア五 1話『数多の運命を繋ぐ死の街に』
「お前がこの街のボスだな」
「グォ」
この光を纏いし謎の少年の名は、シュガーライト。全能神の息子であり、最強の一族。まさしくこの闇が蔓延る世界のヌシも簡単に打ち倒すことができるだろう。
シュガーライトは光を纏いながらエリア5『死の街』の幹部と対峙する。この死の街の幹部、魔龍グレイドはガンダーラ軍最高戦力の一人であり…数多の世界を滅ぼした大厄災でもある。ならばシュガーライトはこの厄災に勝てないのか。
答えはもちろん否、あらゆる世界の法則を無視して簡単に殺すことができるだろう。殺す、だけならばの話だが。
「なんだ…こいつ呪いをかけられてる?」
相対するシュガーライトはある異変に気づく。魔龍グレイドの身にとてつもない災いの呪いが至る所に張り巡らされている。巧妙に隠されていた呪いで本人含めて誰も気づけなかったが、それに気づけたシュガーライトは腐っても全能神の息子なのだろう。
そしてこの呪い、魔龍の死後に発動するものがどれも世界を壊すには十分すぎるほど凶悪なものがてんこ盛りだ。この魔龍を倒す前に、まずはそれらの呪いを無効化させなければならない。
シュガーライトは手を翳しこの闇を冠する世界には相応しくないほど神々しい光を魔龍へと発射する。必中、無効化不可、世界のありとあらゆる法則を無視した光はグレイドを覆い厄災が厄災たらしめる原因を排除する。
「グァ…?」
目の前の魔龍は光で包まれても自分の体にはなんともなかったため動揺、まあよい。この魔龍の狡猾さを舐めるでない、今まで何体自分より格上を屠ってきたと思っているのだ。
外側に加えられた強力な呪いをあらかた排除、次はかの魔龍の魂に紐づけられた破滅の運命を滅ぼさなければならな…そのときだった。グレイドは突如次元を切り裂き、世界を世界たらしめるものが一つグニャリと曲がる。
「うぅっ…!」
次元の狭間から出てきたのは、世界と世界の隙間に保管してあったとある世界の英雄…アイリス。何事にも屈しない、奇跡を齎す少女が圧倒的な龍の力によって動くこともできず拘束されている。
「なっ!?」
次元の狭間から出てきたアイリスに驚愕したシュガーライトは目を見開いて攻撃しようとする手を止めてしまった。まるでこの娘の生殺与奪の権利は我が握っているのだぞと言わんばかりにグレイドはシュガーライトを睨み、それは『女好き』を自称するシュガーライトにとって効果覿面であった。
「…っ!」
わざとグレイドは魔力による拘束を強めるとバチバチと鳴る電流がアイリスを覆い、少女の表情は苦悶のソレへと変わる。本来大抵の者なら失神するほどの苦痛を味わっているはずなのだが…やはりこの少女は何かおかしい。魔龍は困惑しつつもシュガーライトと向き合う。
「グォ」
「……降参だ」
シュガーは両手を挙げ、グレイドに対して白旗を上げた。優しさと言えば聞こえはいいが、その優しさが自らに牙を剥いてしまった、それがシュガーライトの敗因である。さて、シュガーライトの無力化は済んだがそれでもいつまた暴れ始めるかわからない。ならば、再起不能にしておくまで。魔龍は合図を送り身を潜めていた魔龍に仕える幹部『四ノ厄災』の一人を呼び出す。
「グァ」
「はいはい、俺の出番でございやがりますねグレイド殿!本当はグレイド殿が喋れたら楽なんでございやがりますが…しかし、何故喋れないんですぜぃ…?」
小言を言いつつ現れたのは巨大な翼を持つクラーケン、異名は『八つ裂き』…クラゴアである。
この異名は相対する強者たちが回避不可能の八つ足で切り刻まれるのが由来とされているが、そこはどうでもいいと言うべきか。言語を話すことのできないグレイドの通訳をクラゴアが行うようだ。真紅の翼と巨躯の翼が羽ばたき、シュガーライトの額から汗が流れる。
「グォ」
「あ、このお嬢ちゃんはグレイド殿と肉体をリンクしているんだぜぇ。つまりグレイド殿を殺したらこのお嬢ちゃんも消し飛ぶと解釈しやがれ!」
「くっ…」
シュガーライトは隙を窺ってグレイドを消し飛ばそうとしたがそこまで魔龍たちも甘くないらしい。このリンクも自分なら消し飛ばすことはできるが、そんなことしていたら人質の命はまずないだろう。クラゴアはゴホンと咳払いし、まずシュガーライトに以下のことを約束する。
「えーっと…まずここでお前が大人しくしてたらこの嬢ちゃんには危害を与えないことは約束するぜぃ!俺様たちも無闇な殺生は本来したくないものでなぁ、殺さなくて済むならそれに越したことはないんだぜぃ…本来はな」
「…それだけは感謝する」
クラゴアの約束を本当だと信じるなら、シュガーライトはひとまずは人質の命が保たれたことに安堵する。もっとも、嘘の可能性も否めなくはないが…グレイドとクラゴアの表情を見る限りそれはないとみた、希望的観測にすぎないが。しかし、これで丸く収まったと安心してはいけない…彼らの要求はこれからなのだから。
「グァ」
「うっへえ…マジですかグレイド殿、それちょっと酷すぎません?まああの鯨を一撃で沈める力がある、不運だったと思ってもらうしかねえなぁ…これからお前をホシクライ直属の部下『ギガnotサウルス』のところへと連行するぜぇ。変な真似はしやがらないでくれよ、その瞬間このお嬢ちゃんの命の灯火は消えることになるからなぁ」
こうして、最強の光は陥落し…闇がますます勢力を増していく結果となったのであった。
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「『みく林』、『グレイ・シティー』、『未来の海』、『オリ砂漠』…そしてアレが最後、『死の街』なの」
険しい顔をして荒廃した街を遠くから眺めるこの少女、少女と言ってもあくまで外見だけであり年齢は21歳と全然成人している彼女の名前はリヴァ。少女に見えるが侮ることなかれ、正体は嫉妬の竜であり実力はかなりのものである。この前も幹部みたいなやつを一体屠ってた。
「リヴァお嬢様、いつどこに敵が出てくるかわかりません。ここは私が」
「主君より弱い自称SPに言われても困るなの…」
その嫉妬の竜の傍らにいるのはガンダーラ軍が生み出した雑兵『シャドウロイド』…とはいってもガンダーラ軍のトップ、ギャンビッターが生み出した不良品らしい。性能自体は平均的なものと変わらないのだが…いかんせん自我が生まれてしまい雑兵としては欠陥品だったらしい。このシャドウロイドをいじめてた幹部みたいなやつをリヴァが倒したらその拍子になんか懐いた自称SPである。ちなみにリヴァがこのシャドウロイドに与えた名前はジョニー。
「自分より弱いボディガードってどういうことなの…?あと、私はもう好きな人がいるからそこは譲れねえなの」
「問題ありません、私の幸せはリヴァお嬢様の幸せ。あと、私って一応ギャンビッター様と同格ですよ」
「いつの話してるなの」
流石のリヴァも長旅にお疲れの様子。断じて、ジョニーの素っ頓狂な態度に疲れているわけではない。
「これまでの旅でハクジャってのが死の街の幹部にいるのはわかったなの。ディノスが囚われてるのはあの街、だから行きたいんだけど…問題は、私はあの街の幹部にマークされてることなの。つまりそのまま行ったら間違いなくやられるなの」
「一応私はシャドウロイドなので、潜入調査くらいなら恐らくいけると思いますが」
「だからまずはジョニーに頼むかもしれねえなの…全く、厄介なことしてくれるなの。ただ私がマークされてるってことは幹部が誰かも限られてくる。虚飾の大罪か憂鬱の大罪、まさかとは思うけど魔龍グレイドに…ルザヴェルト過激派の可能性もあるなの。まあ少しずつ探っていくしかねえなの」
というわけでまずはジョニーを死の街に単独で向かわせ情報を得るしかないだろう。もしゼルティアがいれば雲隠れの時振儀を貸してもらって楽々いけたのだが…残念なことにディノスが彼女を庇って連れ去られたときの衝撃とそこから発生した怒りなど諸々の感情は彼女から考える余裕をなくしてしまった。
「では、私だけで乗り込んできます。また後で合流しましょう」
「ちょっとわたしにもそのはなしとかいろいろきかせてほしいな」
「ほふぇあ!?」
ジョニーが言葉を発していたその時傍らに突如現れたのは布を被ったお化けのような何か。ジョニーが警戒心を隠し切れず臨戦体制となり…
「あーーー…ジョニー、落ち着けなの。多分この人は味方、確か名前はラークかなんかだったなの」
「あれ、リヴァお嬢様は知っているのです?」
「稀に現れてはそれぞれの世界の事情を聞きそして有益なアイテムを渡してくれる商人…とか聞いたことあるなの」
「ふむ、わたしもそこまでにんきものになっちゃったか…いや、キミの情報収集力がすごいというべきか」
ラークは瞬きをしつつ腕を組んでリヴァに対してそう感心する。一応自分を狙う存在もいるからかなり姿は隠してあったはずなのだが…
「さっきはジョニーが失礼しましたなの、こっちのシャドウロイドがジョニーで私はリヴァ。以後よろしくなの」
「あらためて自己紹介するとわたしはラーク。よろしくね」
クリフサイドに味方する心強い味方、それがラークなのだが…目の前にラークがいるのならリヴァは一つ言っておかなければならないことがある。それは…
「本当に申し訳ないんだけど、未来の海で暴れてる幹部って間違いなくお前の身内じゃねえなの?なんとかしてほしいなの」
「わたしもおおよそけんとうはついてるんだ…めんぼくないね……」
『ギャハハ!!世界はな、ワタシのもんになったと同然なんだよ!!」
リヴァとラークの頭に某ウツボの機械がよぎるが、一旦そこは後回しでいいだろう。まずは優先すべきことがある。それは死の街の攻略についてだ。
「死の街には私の一番大切な人が囚われてて、死者も大量に出てるらしいからここの攻略は一刻を争うなの。申し訳ないんだけど、身を潜めるアイテムとか持ってたりしないなの?」
「身を潜めるアイテムか…いいのがあるよ。えーっと…」
ラークはリヴァの要望に応えるためあらかじめ制作してあった便利アイテムを渡そうとしてくる。リヴァはこれで自分も死の街に潜入できると安堵し、そしてそんなラークを見てシャドウロイドのジョニーは…
「これで段ボールとか出してきたらどうしましょう」
「なんか半分正解で半分間違いな気がするなの、それ」
ラークはどさくさに紛れてイタズラを仕掛けると聞く、つーか正直してきそう。そんな心配をリヴァジョニーでゴソゴソしてるうちにラークは懐から小さい十字架のアクセサリーと小さい箱のようなものを持ってきた。
「ごめん、身を潜めるやつはひとつしかないけどだいじょうぶ?」
「私はシャドウロイドの身、あの街にそのまま潜入してもバレないかと思われます」
「ならよかった。えーっと、リヴァとジョニーそれぞれに一つずつ渡すものがあるよ」
「おお」
「おおなの」
ラークはそう言うとリヴァにまず小さい十字架のアクセサリーを渡してきた。リヴァがそれを手に取ると、ラークはそのアクセサリーがどんな効果を及ぼすか説明する。
「これを懐に入れておくだけで任意で認識阻害をさせれるよ。でも即興で作ったやつだからボス格には効かないかもしれないなあ」
「これはおおなの」
ラークからリヴァの手に渡ったそのアクセサリーのようなものは光輝き新たなる持ち主を祝福する。そして次にラークからシャドウロイドのジョニーに一つ渡すものがあるらしい。
「キミに渡しておくものはこれかな」
「これはおおですね」
ジョニーに渡されたものは小さな箱。ジョニーがそれを開けると出てきたものとは…!
『私とあなた、どっちが強いですかあああああああああ!?????』
「どっひゃあああああああああああああああ!????」
箱から出てきたものは目に炎を宿したサメ。それが爆音でジョニーの顔面に迫り驚いたジョニーは倒れ込んでしまった。ドサリと粉塵が上がり、それを見たリヴァは呆れる。
「これがボディガードなの絶望すぎるなの」
「まあまあ、おもしろいひとでいいじゃん?ところでさ、他のエリアについてまだしってることはないかな?」
ラークは驚き倒れ込むジョニーを見てクスクスと笑った後、さらなる情報を求めてリヴァにそう尋ねる。そう聞かれたリヴァは頭を掻きながらラークに対しこう話し始めた。
「んーとそうなの…まずどこまで把握してるか知りたいなの」
「ホシクライっていう大きな闇の世界のヌシがいることと、『オリ砂漠』がこの騒動の主犯であるギャンビッターの支配圏であることはしってるよ。あとはグレイドってのが死の街の幹部らしいからちゃんと対策しないとなーって。とりあえず死の街かオリ砂漠のどっちかにいってみようかなって思ってるんだけど」
「グレイド……………お前だったのかなの…!?」
「あれ、しりあい?おそらくわたしもグレイドに狙われたことがあるんだけど…」
「かつて私たちの世界に現れた数多の世界を滅ぼす大厄災、それがグレイドなの。倒したと思ってたけどまさか生きてたとは………」
魔龍グレイド。それはかつておろちばーすに突如現れた無敵の強さを誇る最強の存在である。もっとも、ちゃんと準備期間があればよかったのだがそうはいかず…突如現れたため対策を練る時間もなく絶望的な状況だったところ、同じく無敵の存在である聖龍ことメギドラを引き連れてなんとか即興で犠牲ゼロの勝利まで持って行った。だがそこまでしてようやく犠牲ゼロを勝ち取ることができたのが大厄災、魔龍グレイドである。
「そうなるとわたしも死の街についていったほうがいいかな?ちからにはなれるとおもうよ」
「いや、それはしないほうがいいと思うなの。狙われたことがあるっていうのはそれはグレイドにマークされてるということに違いないなの、何があるかわかんねえから絶対やめるべきなの。それに…たとえグレイドが相手でも対抗できる最強アイテムを今回持ってきてあるなの」
「これはおおだね」
おそらくディノスとリヴァもあのときグレイドに狙われたのだろう。そしてラークもグレイドに狙われたことがあるとなると…
まあ、ここでマークされてる人間二人が行くのはナンセンスだろう。さて、ようやくジョニーが起き上がったことに呆れながらもリヴァはラークの話を聞く。
「まあ、こっちも一人でやってるわけじゃないからさ。あのエリアと友好関係にあるグレイシティーにスパイとして潜入してる人がいるから、彼が上手いことあの街の動きも牽制してくれるはずだよ」
「おおですね」
「おおなの」
リヴァとジョニーはラークの話す手厚いサポートに感心する。明らかに異質な雰囲気を醸し出すあの街だが、こちらも負けてはいないというわけだ。
さて、ここまでサポートしてもらってるなら当然こちらからもそのお礼として様々な情報は喋らなくてはならないだろう。
「とりあえず話を戻すと、ホシクライについても知ってるのかなの。まあ前者は私は名前だけしか知らないからアレなんだけど、オリ砂漠については多分心配しなくていいと思うなの。 なにせ…あそこの付近にはおそらくお前の知り合いだと思われるジンベイとやらがいるなの」
「おお…さすがジンベイだ、もう黒幕の元へと乗り込もうとしてたか。それならオリ砂漠については心配しなくていいかな」
あの海世界で最強とされるメガロと互角なのがジンベイ。そのジンベイがいるならオリ砂漠の心配はもうしなくていいだろう、となると残りは4つのエリアなわけだが…リヴァは髪を撫でながらラークに向かって説明する。
「みく林はまあ問題ないとして、グレイシティーもそのスパイとやらがうまく動かしてくれるとしても注意。死の街は私たちが動くから…でもやっぱり未来の海が一番問題だと思うなの」
「オッケー!まかせてください!しっかり手はうっておくよ」
「いきなり敬語使われてクソびびったなの」
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「ケハハハハハ!!まさかこの俺っちが捕まっちまうとはなぁ!!」
「「「ギェ!!」」」
「おんどれらさっきからケハケハだのギェギェだのやかましいんじゃボケェ!!」
「まさかまたこの妾が囚われてしまうとは…」
ここはハクジャの能力で作られた大地の堅牢。自然から為るものと甘く見ることなかれ、一度入ったが最後ハクジャが倒されるまで絶対に外に出ることはできない無敵の牢獄なのだがら。
この監獄に収容されている捕虜はなぜか高笑いする『魂の美食家』デルガゴール、ギェギェしてる2〜3mはあるテツバットたち、それらに憤怒を隠せないがぶらに一度助けられたのにまた捕まってしまったネリンだ。
他にはアリスなどもいたのだが、今では彼らは別の用途のため駆り出されている。さて、そんな監獄に囚われた彼らを尻目にこの街の幹部陣は何かを話しているようだ。
「クラゴア、例のノワール?ってのはどうなったんだい?」
「順調かなあ」
「順調だといいねぇ」
この三つ首の巨大な白蛇の名はハクジャ。四ノ厄災の一人、再生担当である。その巨躯は3つもある首を弄ばせながら同じく四ノ厄災であるクラゴアにそう尋ねる。
「ああ、ハクジャか。あのモニターお嬢ちゃんなら研究所に保管してあるぜぃ。あのお嬢ちゃんに使われてる技術は見事なもんでなあ!研究しがいがあるってもんだぜ」
「それはよかったねぇ」
「よかったよぉ」
「よかったぁ」
クラゴアは四ノ厄災の中だと自他共に認める最弱、しかし四ノ厄災の中でも最も貢献度が高いのは彼という意見もある。彼の持つ技術は凄まじく、フォルトナの終焉の加護を再現した能力を持つ量産機の開発や未来の海を束ねる幹部を模した機械やその他街を維持する上で欠かせないシステムを作った張本人でもある。
さて、クラゴアにはまだまだやることがある。クラゴアはノワールを用いた研究だったり各世界から揃えてきたアイテムを利用して新しいアイテムの開発だったり色々することがあるのだ。まずは…
「クラゴア、少しいいですか」
「え?なんでございますかバーディア殿」
そんなクラゴアの前に現れたのは鉄壁の防御力を持つ『四ノ厄災』の一人である隻腕の青騎士、バーディア。この街の幹部である魔龍を補佐するNo.2である。さて、そんな彼から用事があるらしく…
「グレイド様からオリ砂漠とグレイシティーの視察に行けとのお達しです。また、フォルトナ様へ菓子折りを持って挨拶へ向かうように…と」
「お、おお…なんかこの前もグレイシティーは行った覚えがありやがるんですがそれは」
「フォルトナ様はガンダーラ軍幹部の中でも有能な方なので、とくにグレイド様はご贔屓しているのです。彼女との関係を損ねた場合、海世界の者たちが裏切り者であると確定したのもありこれ以上はガンダーラ軍を維持するのも困難になるだろうとのことですからね」
ガンダーラ軍には絆なんてものは何一つなく、正直裏切り者まみれである。真面目にギャンビッターに仕えていてかつ有能となるともはやフォルトナくらいしかおらず…彼女と友好な関係を結び続けなければもはやこの軍団は終わりである、クリフサイド以上の崖っぷちだ。
「ひーーーー、わかりましたよーだ。その代わりテトラに挨拶とかしてきてもいいでごぜえますか?」
「またですか…一応、海世界の者たちとは冷戦状態にあるのです。関係を持つのをグレイド様は咎めたりしないでしょうが、ほどほどにしてくださいね」
「了解ですぜぃ」
クラゴアはそう言うと、翼を広げ各エリアへと赴いていった。
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「ふう、ここまで長かったっすね」
さて、お待たせしました…ようやくクリフサイドのご登場である。アルマはついに死の街に…とはいっても、まだまだ入り口の「い」の部分ではあるが、なんとかたどり着くことができた。ここから、物語は進んでいくのである。




