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回帰した作家。~恋愛は書くけれどしないつもりなのに、恋愛フラグが見える気がする~  作者: 三月べに@『執筆配信』Vtuberべに猫


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9/13

09 図書室のイケメン先輩。



 夏祭りよりも大きなお祭り、秋祭りも終わった。それに花火大会もだ。

 それも仲のいいクラスメイトとイラデザの友だちと、一緒に参加して楽しんだのだった。


 十月に突入して、制服は冬服に切り替え。

 ブレザーの下に、黒のセーターを着た。今はまだ大丈夫だけれど、もっと寒くなればカイロが必要になるだろう。カイロだけは、使用していい校則でよかったと思う。私は、寒がりなのだ。


 叔母さんの家での居候生活で、執筆の日々。

 毎日更新のおかげか、徐々に増えていくブックマーク数とフォロワー。


 フォロワーは、まだまだ三桁。四桁、目指したい。


 錬金術師の転生ヒロインは、人気作品だと思う。ついつい、ランキングに載っている作品とブックマーク数を比べたりして、まだまだだなぁとは思うけれど、評価を入れてもらってランクインもしているので、上々だ。

 今年オープンしたばかりの小説投稿サイトだから、まだまだ投稿されている作品は少ないと言える。そんな中で人気作品になれたのは、当然ではないかと思ってしまう。


 一回、この時期の人気のライトノベルを読むことにした。


 西谷先生。ラノベの巨匠だと思う。


 一度目の私が西谷先生を知ったのは、高校生の時だ。小説は書いてはいたけれど、あまりラノベを読んでいなかったのよね。漫画ばかり読んでいた。高校生の時から、小説を書くことに力を入れ始めたと思う。


 一度目より早い出会いをして、やっぱり西谷先生の物語は面白いと夢中になって読んだ。


 尊敬の気持ちを抱えて、執筆意欲を高めた。



 その一方で、弟達の面倒も見る。小学生である弟と妹に、朝も夜も食事の用意をさせるなんて、結構酷よね。可哀想である。なので、ちゃんと掃除しているか、ちゃんと食べているか、週一くらいにチェックしに行った。その際に、ちゃんと夕食を作っておいたのだ。


 弟達の父親と鉢合わせると、お小遣いをもらった。


 二万円は、中学生にとっては大金。印税生活が恋しい……。


 バイトも出来ない中学生なので、今まで冷遇された慰謝料として「ありがとう」ともらっておく。

 なんだかんだで切り詰めていたら、二十万近くの貯金がある。叔母さんの家で食事をもらっているから食費を出そうとしたけれど、受け取ってはもらえなかった。母が渡しているのだろうか。


 おかげで食費が浮いたので、貯金が二十万なのだ。


 ……ノートパソコン、そろそろ買おうかな。いや、まだ早いかな。我慢しておこう。


 でもこのままだと、キーボードの打ち方を忘れそうだ……。やり直しする前までは、毎日キーボードを打っていたのにね……。


 もう手書きからのガラケー入力に慣れたから、不便はないけれど。


 学業も、しっかりこなしてる。中間テストも、私としてはいい点を取れた。授業態度もちゃんとしているし、二学期の成績は一学期よりもよくなりそうだ。一度目の不良具合から比べると、格段にいい。


 そうだ。席替えの時期が来て、リカ達のグループじゃなくなった。窓際の席ではなく、廊下側の席になった。

 教室のほぼ真ん中で、休み時間に執筆。

 全然気にしないけれどね!

 クラスメイトも私が休み時間の度に机にかじりついていることに、もう見慣れたようだ。心置きなく、執筆をした。


 錬金術師の転生ヒロインの物語は、二章目に突入している。錬金術の描写のために、図書室の宝石図鑑や鉱物関連の書物を借りることにした。

 実は、二回目。先に借りた本を返却した。


「なんの資料なの?」


 対応してくれた図書委員が、話しかけてきた。

 田辺並みの長身イケメンだ。見覚えがないので、多分三年生だろう。二年生のイケメンを全員知っているわけではないけれども、直感的に三年生だと思った。


「えっと、あはは」


 初対面のイケメンに小説を書く資料だとは言えなくて、誤魔化し笑いをした。


「ごめんね。なんかこういう本借りる生徒って珍しくて、つい気になってね」

「確かにそうかもしれませんね」


 頬を指先でカキカキしては、そそくさと退散させてもらおう。


 コミュ力の高いイケメン、怖い。イケメンってなんでコミュ力も高いんだろうね。田辺を思い浮かべつつ、戦慄してしまう。見知らぬイケメンに話しかけられるって、どこの少女漫画だ。ビックリした。


 借りた図鑑を資料に、また執筆を進めていき、今後の設定に使うためにメモもしておいて、一週間後に返却に来ると、また同じイケメン先輩がいた。


「ちゃんと返却、ありがとうございます」と対応してくれる。


「俺、小説とかも読むの好きなんだからさ、もし新田さんが小説書いているなら読ませてほしいなぁ~。だめ?」

(グイグイ来る~!! 田辺みたい)


 田辺の再来を感じ取った。なんて思っていれば、噂をすれば影。


 田辺も図書室に用があるのか、私の後ろを通ったのだ。目が合ったけれど、私はイケメン先輩と話していたので、お互い挨拶も出来なかった。隣で、もう一人の図書委員に本の返却手続きをする田辺。


 私も小説を書いていると確信を持たれてしまって、プチパニックだった。


「いやぁ~、それはちょっと……」

「え~、気になる。今日も何か借りてくの?」

「あ、はい。多分、探してから決めます」


 中学生だから、気付くのが遅れてしまったが、このイケメン先輩、チャラい!

 距離の詰め方がチャラい! 絶対手が早いタイプのイケメンだ!


 今日の資料探しをするために、カウンターから離れられて、胸を撫で下ろす。


 今日は、植物図鑑と伝説の幻獣図鑑を借りようかな。


 植物を使う錬金術で、異世界の植物を考えるヒントを得たい。それに敵の魔物を考えるために、伝説のモンスター図鑑も必要だと思った。未来なら、ググればすぐに資料を得られたけれど、今の私はPCを持っていないからね。


 それらを借りると、またイケメン先輩に追及されるんじゃないかと思うと、気が重い。


 名前も知らないイケメン先輩に、小説見せてほしいを言われるのは、ちょっとね……。


 でも借りたいので、カウンターに行くしかない。


 田辺は本の返却だけしに来たのか、もう姿は見えなくなっていた。


 またイケメン先輩が手続きの対応をしてくれる。本のタイトルを見て「えー、気になるなぁ」と言ってくるので、笑って誤魔化すしかない。


「気が向いたら、読ませてね。新田さん」

「そうですね、気が向けば」


 多分、そんな気は向かないと思うけれど、愛想笑いをして私は、借りた本をスクール鞄にしまって帰ることにした。

 今日は部活が休みの日、水曜日だ。直帰である。

 叔母さんの家に帰って、早速借りた図鑑を広げて目を通しておく。


 すると、ガラケーがメールを受け取ったと着信音を響かせた。


(あれ? 田辺からのメールだ)


 宛名を見て、ちょっと驚く。こうしてメールが来るのは、連絡を交換して以来だ。


【田辺裕大:Re

 さっきの図書室の先輩、新しいカレシ?】

「はぁ!?」


 思わず声が出た。

 なんであのイケメン先輩がカレシになるのだ。私は名前も知らないのに。


【違うよ。名前も知らない図書委員の人が話しかけてきただけなのに、なんでそう思ったの?】


 それもわざわざメールまでしてくるなんて、変な田辺である。


【いや、仲良さそうだったからさ】

【別に仲良くないよ。図書委員と図書室の利用者だよ】

【そうなんだ。ナンパされた?(笑)】

【ナンパって(笑)】


 なんて冗談を言うんだ。笑ってしまったじゃないか。

 中学校でナンパって。違和感あるなぁ。


【気を付けた方がいい。あの先輩、元バスケ部の三年生だけれど、手が早いって噂だよ】


 うん……そんな気はしていたよ。

 バスケ部の先輩か。どうりで身長が高いわけだ。


 グイグイ来る姿勢からして、手は早そうだとは思った。高校生にでもなれば、あっという間に女の子をパックリと食べていくイケメンになりそうだ。


【親しくなるつもりはないから大丈夫だよ。心配、ありがとう】

【どういたしまして。なんなら、次に図書室行く時、一緒に行こうか?】

【え、そこまでしてもらわなくても大丈夫だよ】

【女友だちが手の早い男先輩にロックオンされたってわかってるのに、何もしないわけにはいかないじゃん】


 コミュ力お化けのイケメン二人が対峙するのか……?

 まぁ、もしかしたら、男連れならあのイケメン先輩も話しかけないかもしれないし、いい案かも。


【来週覚えてたら、頼むね】

【オッケー。任せろ】


 確かな約束はせず、メールのやり取りは終えた。



 すると、その翌週の朝。

 席替えで席が離れていたというのに、田辺がわざわざ私の席まで来た。


「今日の放課後、図書室行く?」

「あーうん。本返しに行く」

「じゃあ俺も行くよ」

「ああうん、ありがとう」


 わざわざ田辺の方から言い出してくれたので、あのイケメン先輩避けについてきてもらうことに。

 田辺と並んで教室から出て、図書室に向かう。


「小説を書く資料のために借りたん?」

「まぁね」

「それ、あの先輩に話したの?」

「話してないよ、気付かれたんだよ。普通の生徒は借りない内容の図鑑だから、小説の資料だって見抜かれて話しかけられた」

「すごい先輩だな」

「ね」


 そんな会話をしている間に、職員室の上にある図書室に到着。

 静けさが満ちた図書室のカウンターの向こうに、あのイケメン先輩がいた。

 私と目が合うと、椅子から立ち上がってニコリと笑いかけてくる。

 そんなイケメン先輩と私の間に割って入るように、私が持っていた植物図鑑と幻獣図鑑を奪うと、田辺がカウンターに置いた。


「これ、返却お願いします」

「あ~、はいはい。でも借りた本人が手続きしないと」

「あっ、そうですね。新田」

「う、うん」


 何か物言いたげだったが、イケメン先輩は笑顔で対応。

 田辺も笑顔で返しては、私に向かって手続きをするように呼び掛けるけれど、私がカウンターについても田辺は離れない。ピッタリと寄り添っているレベルで近い距離だ。


「……」

「……」

「……」


 カキカキと返却手続きをしている間に、イケメン先輩と田辺の二人の空気が張り詰めていた気がする。

 むしろ、バチバチと火花を散らせている気がしてしまったが、それは私の恋愛脳の気のせいだろうか。

 なんだか、気のある素振りを見せている田辺と、アプローチを仕掛けてくるイケメン先輩に取り合いされている現状のように思う。


(これだからイケメンはっ!)


 返却手続きを終えたところで。


「何か借りていく?」

「ううん、今日はいいや。帰ろう」

「そっか」


 イケメン先輩のその前で田辺とやり取りをしたので、前みたいに話しかけることはなかった。

 図書室から出て離れたところで、田辺にお礼を伝える。


「ありがとう、田辺。今日は絡まれなかった」

「よかった。俺が来てよかっただろ?」


 なんて、田辺は屈託ない笑みを見せた。


「あの先輩には今後も気をつけろよ?」


 田辺は、ポンと私の頭を叩く。


(イケメンめ~!!)


 私はイケメンさを恨めしく思いつつも、校門前で別れた田辺を見送って帰路についた。



 


リアクション、ポイント、ブクマをよろしくお願いいたします!

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