表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/13

07 夏休みと居候生活と完結。



 小説とイラストを初披露するイベントが起きたけれど、予想通り、夏祭りネタは部活動中に書き上がった。


 よしよし。帰ったら、軽く家を掃除して、投稿するためにガラケーに入力だ。

 ルンルンした足取りで、帰宅。


 今日は、昨日母が来たこともあり、夕食が冷蔵庫にあったので、夕食はレンジでチンで用意出来るのも助かった。


 掃除をして入浴を済ませて、宿題を片付けて、いざ入力タイム。

 ガラケーでポチポチとボタンを連打して入力するスピードは、ぶっちゃけ早いと思う。日頃、聖女モノの更新分も入力してきたし、スピードはパワーアップしたに違いない。


(さぁ、現代恋愛の夏祭りネタ投稿!)


 ファンタジー好きにはガッカリな内容かもしれないけれど、楽しめる人には楽しめるといいな。


 この時点では、フォロワーは二桁に行っている。まだまだね。これからも頑張ろう。


 あとがきには、ちゃんと”この前夏祭りに行ったので、書きたくなりました”と書いておいた。


 次は何書こうかなぁ。


 一つ終えると、休憩したくなるから、数日は休んでおこうかな。


 サイトに掲載されている小説を読み漁るか。いや、この時代の流行りの小説を買って読むかな。

 迷っている間に、達成感で程よい眠気が襲い掛かってきたので、就寝した。


 翌朝の評価チェック。


 月曜日の夜だけれど、それなりに読まれていて、評価もそこそこされていた。

 きっとフォロワーが早速読んでくれたのだろう。


【本好きのノア

 長編の更新が一度も止まっていないのに、短編まで書いて投稿するなんてすごいです。

 異世界ファンタジーの恋愛だけではなく、現代世界の恋愛も書けるんですね。夏祭りの学生カップルの甘酸っぱい短編、よかったです。先生はこんな甘酸っぱい経験をしてきたのだろうかと、考えてしまいました。甘酸っぱい学生カップルモノ、ありがとうございます。楽しめました】


 新作も読んでくれた!


 早速、私も『本好きのノア』さんに返信。


【こちらも読んでくださり、ありがとうございます! 本好きのノアさん。

 先日は友だちグループで夏祭りを楽しんできました。その余韻で書いただけなので、こんな甘酸っぱい経験はしていませんよ(笑)

 この学生カップルの夏祭りネタも楽しんでいただけて、幸いです! 感想をありがとうございました(*^^*)】


 よし。ちゃんと甘酸っぱい夏祭りネタは、実体験ではないと書いておく。

 実際、体験はしていない。今回はね。

 一度目に初カレとの夏祭りデートをした経験を元に書いた今回の短編。


 今は夏祭りシーズンだから、他の人も読んでくれるかな。



 夏祭りシーズンということで、学校は夏休みに入った。


 夏休みには宿題が出される。

 そうだ……夏休みには多くの宿題が出されるんだった……げんなり。


 一度目はロクに宿題をしたことのない不良生徒だったが、私は嫌々ながらもちゃんとやっておくことにした。


 宿題を少しずつ片付けつつも、そろそろ聖女モノも完結出来るので、新作に取り掛かろうとする。


 アナログのノートに書いてから、ガラケーに入力する流れが身についたから、ついついノートに書き綴った。


 聖女モノの毎日更新の連載のおかげか、徐々にサイトではフォロワーもブクマ数も稼いでいき、たまにくる感想に返事を返す日々。


 毎日のように遊びに出掛けようとする弟と妹に、宿題は大丈夫かと尋ねておく。妹はちゃんと部屋でいそいそとドリルもやっていたので、大丈夫そうだ。


 二作品目の長編も、異世界ファンタジーにしたいな。


 異世界転生はまだ早いかな。いやでも書きたい。


 私は異世界転生モノが好きなんだ。一度目は書きまくった。好き過ぎて。


 まだ我慢して、異世界で活躍するヒロインの話を書こうかな。ファンタジー強めに、恋愛要素も取り入れて、長編のボリュームでいくのがいいな。


 いや、やっぱり異世界転生モノにしたい。


 異世界転生好きが疼く……!


 サイトを見て回っても、異世界転生はなかなか見つからなかった。異世界転生モノに飢えている。


(書きたい〜!!)


 机に突っ伏して悶えた私は、考え込んだ。


(異世界転生モノにしたら、これから高校生になるはずだったのに事故死してしまった子……。若すぎるかな。若すぎる死だからこそ、悔しくて新しい人生をエンジョイするって子がいいよね。残した家族とか友だちのことも考えて悲しむシーンも書いて、と)


 すっかり異世界転生モノを書く気になってきて、思考も持っていかれていく。


(まだこの時代には、異世界モノ、異世界転生モノのブームの火付け役の作品は誕生していない。ウケるかもわからない。けれど、私は書きたいんじゃー!!)


 流行り云々よりも、私が書きたいという意志を尊重したい。


(よし! 書くぞ、異世界転生モノ!!)


 私はもう決意を固めてしまって、違うページを開いて、そこに設定からプロットを書き込んだ。


(せっかく中学生をやり直してちゃんと勉強もしているし、学んだことを取り入れてみよう)


 理科の教科書を開きながら、この前のテストでは物質関連だったことを思い出す。金属や非金属についてもテストに出た。


(金属や物質なら、やっぱり錬金術かな。あと図書館で宝石図鑑とか借りるか、本屋で買って参考にして……よし、ヒロインは錬金術で無双だな!)


 方向性が決まってきたら、どんどんアイデアが湧いてきてプロットも進んでいく。


 丸一日、プロット作成に費やした。これで本編を書き始められそうだ。



 翌日は朝から頑張って本編を書こうと決めていたのだが。


「仁那。もうここを出て、叔母さんのところで暮らしなさい」


 ついに、母にこの家を出るように言われた。


 私も血の繋がらない上に愛してくれない父親とも呼びたくない男と同居は嫌だけれど……。


「でもお母さん。叔母さんの家に私の机ないでしょ? 勉強とか、大変だから嫌だよ」


 そうやんわりと断りを入れた。


 そもそも、私がいなくなったら、弟達の食事はどうするんだ。

 ちゃんと目を光らせているから、お小遣いも使いすぎないように食費に回させているけれど。私の不在中に羽目を外したら、将来妹は散財モンスターにまたなってしまう。それで苦しむのは、奨学金を代わりに返済するお母さんなんだからね! 言えないけれど。


 学生として勉強机がないのは困る、という理由で家を出ることを断った。


 これで当分は家を出るように言われないと思ったけれど、数日後、出掛けるから来なさいと言われて行くと、母とそのカレシさんと車で家具屋に連れて行かれたのだった。


 そこで机を買う、とのことだ。


 よほど、あの家を出てほしいらしい。

 まぁ、愛されていないことは知っているし、そもそも別居の元凶はそれだし、母の心配は当然だろう。


 仕方ないので、私は叔母さんの家に運び込む机を選ぶことにした。


 叔母さんの家は、実は今住んでいるマンションの一階にある。だから、私がその気になれば、ちゃんと弟達の様子を見に行けるのだ。母もたまに叔母さんの家に泊まっているけれど、ほとんどは彼氏さんの家にいるらしい。末の弟もそうだ。


 今日はその末の弟にも会えたので、めっちゃ頭を撫でた。末の弟は将来でも可愛い奴だ。いい子だからね、可愛がりたくなる。金銭感覚もバグっていない。車好きすぎて、いつもドライブしているけれども。

 母親似で目が真ん丸の童顔。まぁまだ小学生低学年なので、可愛いのはしょうがない。


 そういうことで、私は弟達と暮らしている家から出ることになった。


 妹は、泣きべそ。ちゃんとご飯を用意して食べるんだぞ、と言っておく。お金は使いすぎないように、と弟と一緒に注意しておいた。

 弟の方は、むくれていた。なんだか、反抗期の気配を感じてきたな。まぁ、複雑な家庭環境だ。グレない方が珍しいよね。


「たまに来るからね」と二人には言っておいた。


 そして、弟達の父親。家を出る時、見送ってきた。


「たまに帰ってくれよ」


 そう言うのは、一度目と同じだ。


 彼からすれば、私は母と再構築するためのチャンス。こうして家を出られては、再構築の話は破綻したも同然だ。母は、私達子どもをちゃんと面倒見れていないと判断して、最初に愛されていない私を家から脱出させた。離婚は、しっかり見据えているはずだ。


 ただ、それでも弟達の実の父親。そう簡単に離婚届を出して成立出来ない。


 下手をしたら、母は浮気で慰謝料を請求されかねないだろうし。浮気をした代償は高い。それはしょうがないだろうが……。


 まだ未練がましく、私を利用して再構築をしたいと思っている弟達の父親に対して、一度目の私はうんざりした気持ちで「もう帰ってこないかもね」と言い放ったことを覚えている。私がそこを家と呼び、帰る理由は正直なかった。


 一度目の私には、帰る家なんてないと思っていた時期だ。


「奈緒と青介の様子を見に来るよ」


 それだけを言っておく。本当に様子を見に来たいし、お小遣いチェックもしたいしね。

 わざわざつっけんどんな態度をする必要もないので、私はそう返して、荷物を持って家を出た。

 とは言え、下の階に移動するだけだけれどね。


「お邪魔します」


 叔母さんの家だって、居候するだけの生活。家に帰ってきたとは言えない。


 叔母さんには、私の一つ年上の従兄がいる。もちろん、旦那さんもいるから、三人家族の家庭だ。

 あ、あと犬を飼っているだっけ。懐かしいなぁ、もう虹を渡ったはずのロンくん。今は元気かな。


 白い毛並みのシーズーのロンくん。私が寂しさに押し潰されて、叔母さんの家の玄関で膝を抱えて泣いていたら、ロンくんはお座りしてそばにいてくれたっけ。また会えて嬉しい。


「ワンワン!」

「ロンくーん! わしゃわしゃ~!」


 カチャカチャとフローリングの廊下を、爪をぶつけながら駆け込んだ白いシーズー犬。ロンくんが訪問者を喜んで、吠えては撫で回すと興奮してペロペロと手を舐め回してきた。元気いっぱいで、私も嬉しい。


(ううっ……一度亡くした友との再会、泣きそうだ)


 涙目になってしまったけれど、涙を落とさないようにして、部屋に移動させてもらった。


 元は物置部屋だから、段ボールや叔母の服が置かれている。けれど、一度目と違って、私の机がある。真新しい机に、教科書やノートを詰めた。


 従兄も、懐かしいな。未来の彼は、他の県で家庭を築いて、全く会うこともなかった。


 同じ中学校に通っているが、彼は柔道部なので朝は登校時間が被らない。でも小学生の頃から、彼の部屋に入り浸って漫画を読ませてもらうくらいには、仲がいい方だ。


(けい)くん、しばらくよろしくね」

「おー。よろしくー」


 リビングに顔を出せば、携帯電話をいじっている従兄の景くんがいたので、挨拶しておく。


「叔母さんもよろしくお願いします」


 夕食の支度をしている叔母さんにも、挨拶をした。


 食事を作ってもらえると、私も執筆をする時間が増えて助かる。


 居候生活、頑張って乗り切ろう。


 せっせと、新作の異世界転生モノを書いた。


 ちなみに、聖女モノは完結。また感想をくれるファンの一人である『本好きのノア』さんの感想があった。


【本好きのノア

 短編から始まり、長編を毎日更新して読ませてくださり、ありがとうございました。

 最後まで楽しめました。ヒロインとヒーローが短編よりももっと先のハッピーエンドを迎えて、大満足です。魔王を倒す聖女の旅モノとしても、読み応えありました。本当に楽しい作品を毎日更新してくださり、ありがとうございました。もう終わってしまったとなると、日々の楽しみがなくなって寂しい気持ちにはなりますが、お疲れ様です。今後の先生の作品も、楽しみに待っています】


 いちファンとしての言葉が、嬉しい感想をもらってハッピーだ。


 しかも、なんと! 完結作品としてサイトに表示されたらしく、完結ブーストでアクセス数が爆増。読者が増えた。そして、フォロワーも三桁に突入したのだった!


 毎日届く、完結おめでとうの感想に返事を書いては、私は第二弾目の連載作品の準備に勤しんだ。


 もちろん、夏休みなので友だちに誘われて遊びに出掛ける日もあった。


 中学生だもの。エンジョイしないとね。リカ達とカラオケに行ったり、イラデザの子達とゲーセンに行ったり。

 そうして、八月半ばになった頃に、第二弾目の連載作品の毎日投稿を始めたのだった。



 


ブクマ、ポイント、リアクションをよろしくお願いいたしますね!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ