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002 義妹たちが満更でもない反応をする

 どんな事情が話されるのか、肩肘張っていた。が、なんだ今のは。聞き間違いか?


「モテないからって言ったか?」

「あぁ、そうだ!」

「そうだ! じゃねぇよ! なんだそれ!」


 意味がわからん。本当に意味がわからん。どういうことだ?

 親父の言葉を耳にした妹たちはクスクスと笑っている。くそ、なんかめっちゃ恥ずかしいんだが!


「智也お前、どうしようもない陰キャのくせにモテるためにバンドサークルに入っただろ」

「息子に向かってどうしようもない陰キャとか言うな」

「で、彼女はできたのか?」

「……できてないけど」

「大学に入ってから女の子と一度でも話したか?」

「……してないけど」

「哀れだ」

「哀れんでんじゃねぇよ! 結局モテないってのと今日真実を告げた理由が結びついてねぇじゃねぇか!」

「お兄ちゃん落ち着いて、ほら深呼吸。お腹からね」

「あ、ありがとう真中(まなか)。だが下腹部を触るな」

「えー? お兄ちゃん意識してるの? こわーい」

「こいつ……」

「血繋がってないもんね? だから意識し始めちゃったんだよね?」

「ええいもう手をどけろ」


 揶揄い好きの末っ子、真中(まなか)にとってはこの状況は大好物以外の何物でもないだろう。


「お父さん、ちゃんと真面目に智也の疑問に答えてあげてよ。たぶん智也も苦しい思いしているだろうし」

發樹(はつき)……ありがとな」

「別に智也のためじゃないし。アタシも気になってるだけだし」


 真面目な次女、發樹(はつき)は俺を気遣ってくれたがどうやらそれを素直に認めるのは恥ずかしいようだ。俗にいうツンデレか。


「ぐぅ……」

「寝るなよ白姫(しらひ)。大事な話をしているんだぞ!?」

「む……智兄(ともにぃ)ごめんねー、無理ぃ」


 おっとり天然な長女、白姫はそのままうたた寝してしまった。なんてマイペースな妹なんだ。


「で、モテないから19歳の俺に話したってのはどういうことなんだよ?」

「あぁ、本来なら20歳になったら話そうと思っていた。だがお前が20歳になる頃にはもう大学2年生も後半だ。就活のスタートを切って、遊ぶ時間も減ってくる」

「お、おう?」

「それまでモテる大学生活が送れていたならそれで良かった。だがお前はモテない。だから今話したわけだ」

「いやいや、話の前後がイコールで結ばれないだろ」

「察しの悪いやつだ。だからモテないんだぞ」

「ぐっ……」


 ムカつく。だがここで感情的になってはいけない。こんなビッグニュースは、頭の中をクールな状態でないと受け止められないからな。


「要するに、だ。お前と白姫・發樹・真中は血が繋がっていない。だから結婚できるってことだ。恋人になってイチャイチャしちゃえよ」

「…………は、はぁぁぁぁぁ!?」

「いい反応するな! このこの!」

「いやいやちょっと待てって! 親父何言ってるのかわかってるのか!?」

「おう、俺は正気だぞ」

「あんたモテない息子が可哀想だからって、遊べるうちに妹と恋人になってイチャコラしろって言ってるんだぞ?」

「おう、そう言ってるぞ?」


 頭が痛くなってきた。意味がわからない。俺がおかしいのか? 俺だけがおかしくなっちまったのか? いや、そんなはずはない。


「白姫起きろ! お前はおかしいと思うよな? 俺と恋人になれなんて言われても困るよな?」

「うーん……智兄優しいから、血繋がってないならいいかもぉ?」

「目を覚ませ白姫ぃぃ!」

「お兄ちゃん、たぶん白姫ちゃん普通に起きてるよ」

「お前はどうなんだ真中!」

「うえっ!?」

「俺と恋人になれなんて言われても困るだろ? な?」

「いや……その……べ、べっつにー? お兄ちゃんが困ってるなら人助けとして付き合ってあげてもいいけど?」

「なっ……」


 体に電流が走る思いだ。なんでこの2人、満更でもない感じなんだよ。

 ま、まぁ白姫は半分寝てるし、真中は揶揄っているだけだろう。それにこっちにはしっかり親父の方がおかしいと言える最終兵器がいる!


「發樹は困るだろ? 俺と恋人なんて無理だよな?」

「無理とまでは言ってないし。智也のこと、そういう風に見てなかったから……今はまだ分かんないよ」


 なんで将来的にはありみたいな感じなんだよ!


「というわけだ智也! お前の妹たちは智也と恋人になることに満更でもない感じだ。いいお兄ちゃんしてたんだな、このこの!」


 む、ムカつく。俺だけがおかしいみたいなこの状況がムカつく! 絶対に俺以外が間違っているだろこれ。


「ちゃんと向き合えよ。俺の大切な娘たちだ」

「いやいや、妹と付き合うとかさすがに……」

「あ? テメェこら俺の娘が魅力的じゃねぇって言いたいのか」

「いや……そういうわけじゃないんですけど……」


 親父は本気でキレそうになった。この人、マジギレするとヤンキーばりに怖いんだよなぁ。元ヤンらしいし。そりゃ俺とは血が繋がってないわけだ。


「んじゃあ楽しい家族生活を続行な! しっかり妹たちと向き合うんだぞ?」

「えっ、話終わりかよ!」


 親父は満足したように部屋に帰ってしまった。


「智兄?」

「智也?」

「お兄ちゃん?」

「え……いや……」


 親父がいなくなったことで、白姫・發樹・真中の目線を集めてしまった。こいつらは血が繋がっていない義妹。つまり、恋人になって結婚しても問題ないということ。

 この日から、俺の家庭での生活は一変することとなった。

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