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光が吸い込まれていくと、ラフィーネの体がそれに比例して輝いていく。柔らかい光に包まれた様なラフィーネが、倒れているマントの男の手に触れる。


『リンデム』


ラフィーネが囁くと、柔らかい光がマントの男の体を包んでいく。

少しずつ、男の傷が癒えていく。青ざめた顔も少し赤みが戻ってきて、微かな脈動もしっかりしたものに変わってきた。


『よかった。完全に治った訳じゃないけど、なんとか動かせるわ』


男の腕から手を離し立ちあがろうとするが、思ったより力を使ってしまったのかもしれない。足に力が入らず、その場に崩れかけてしまった。


『姫っ!』


ラジカルの鳴き声が響く。ラフィーネの体が地面に着く前に、誰かがラフィーネの体を支えてくれる。


『大丈夫か?』


低くかすれた男の人の声。ラフィーネを抱きしめている腕は、力強く逞しい。もうろうとなっている意識をしっかりさせようとするが、どうにも目が開けられない。


『あぁ、すまなかった。私を助ける為に力を使いきってしまったのか』


その人が話かけてくるものの、頷く事も出来ない。だんだん暗くなっていく視界。


『少し休めば大丈夫だろう。私もまだ、思う様には動けな、いか..........』


ラフィーネを腕の中に抱きしめたまま、その人もまた意識を失ってしまった........。


**********************************************


(温かい......)

少し硬めだけど、温かい何かに包まれている状態に、うつらうつらしながらラフィーネが目を覚ます。


『ようやく目が覚めたか』


低い声が耳元でささやく。

(え、何?誰の声?へ?今、私どこに......?)


『体の方は大丈夫か?』


再び耳元でささやく低い声。優しいその声に、ラフィーネはようやく覚醒した。

バッと顔を上げると、金色の髪をした金色の目の男がラフィーネを覗き込んでいた。見た事のない金の色の瞳。目が合うと、金色の目を細め、その男は楽しそうに笑った。


『は、はぁい、はい!大丈夫です!!は、離してくださいませっ!』


自分がその男の腕に中にいる事に気が付いたラフィーネは大慌てて離れようとするが、腕の力が何気に強く逃げられない。


『離してくださいませ』


男の目をじっと見る。綺麗な金色の目。キラキラ光るその瞳に、ラフィーネは目を奪われる。


『そんなに見つめてくれるな。照れるだろう?』


口にする程照れる様子もなく、どちらかと言えば冷静に見える男に、一人身もだえるラフィーネは腹立たしく思った。


『そうお思いならば、離してくださいませ。そちらこそ、お体の調子はもううよろしいのですか?』


あれだけの傷を負っていたのだ。ラフィーネが癒しの力を使ったとしても、すっかり完治までには至っていないはず。


『あぁ、君が治してくれたんだな。ありがとう。お陰様で命拾いをしたよ』


真剣な目で礼を述べる男に、ラフィーネはホッとする。


『良かったです。でも、完全に治った訳ではないので、しっかり療養しないと』

『しかし、戻らないと.......』

『その体でどこに戻ると?』


う~んと考え込む姿を見ると、どこかに居を構えている訳ではないのかと思う。冒険者かなにかかしら?


『連れが心配しているだろうからな』

『お連れ様がいらっしゃるのですか?それは心配されているのではありませんか?』


多分心配はしてないかも.....と苦笑しながら答える。


『心配してないって。そういえば、あんな怪我をどうして負われたのですか?』


男の腕の中から逃げ出せないまま、そう問いかける。


『連れを休ませている間に、魔物に遭遇してな』


『魔物?!』


先日、ラシード様が大規模な討伐を行ったばかりだと言うのに?


『ベルニオンの親だろう。子供とはぐれたのか、大分興奮していて。いつもであれば、躱せるのだが....』

『そうだったのですか。つい最近、魔物の討伐が行われたので、その際にでももしかしたら....』

『討伐?なにか魔物が人を襲ったりしたのか?』

『いえ、最近はそんな事は。ただ、魔物を見かける事が多くなってきたとの事で』

『そうか。確かに姿を見れば恐ろしくもなるだろう。ただ、魔物も我らと同じ生き物だというのに』


確かに、人だって自分の子供がいなくなれば、必死に探すだろう。魔物だって同じだ。


『可哀そうなことをしました』


うなだれるだフィーネを見て、男は首をかしげる。


『なぜ君が謝る?君が討伐したわけでもないだろうに』











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