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「ここから入るのか?」
森から抜け、城の中に戻る為の城砦の秘密の入り口の前に立つ。
「そうよ?エインは、ここからだと入れない?扉が通り抜けられない?」
キョトンとした表情で見上げるラフィーネに、エインは大きなため息を付いた。
「扉はちょっと狭いけど、通れない訳じゃない。ラフィーネは両親に俺の事を紹介してくれるのだろう?」
「そうよ。まずはエイン。その後にランドルフよ。ただ、ランドルフは大きいから、ちょっと場所を考えなければだけど」
何を今更と言った表情で語るラフィーネ。エインはわかりやすく説明をした。
「ラフィーネ。例えば、ラフィーネの子供が・・・・」
「え?わたくし、まだ子供なんて・・・・・。そりゃ、いつか、そうなったらいいかなぁと思うけど」
エインとの将来を想像して一人で身もだえるラフィーネ。赤くなったり青くなったり、くるくる変わるラフィーネの表情にエインは笑った。
「大丈夫、そうなる予定だから。で、話は戻るが、ラフィーネの大事な子供が、将来の伴侶を連れてきた、挨拶に来るとして、正面からではなく隠された道からいつの間にか入り込んで来てました だなんて、どう思う?」
「・・・・・・・・ありえないかもしれないわ」
「だろう?だから、ここは正面からだ」
ラフィーネに案内されて、正面の城門に移動する。見上げる高さの門は固く閉じられている。
エインが響きわたる声で名乗りを上げた。
「我が名は竜騎士 エイン・カルテア。ラフィーネ王女を娶る為に、国王に目通り願いたい」
(カルテア?エインはカルテアと名乗った?カルテアって・・・・・・・)
ラフィーネは耳に飛び込んできた、エインの名を聞いて驚いた。
エインが名乗った「カルテア」とは、ラムニダス王国から離れたところにあるグレナダ大陸の中央、カルテア帝国と同じ名だったからだ。カルテア帝国とは、圧倒的な軍事力を持つ、大陸屈指の強国。大陸の中央にある為、近隣諸国の貿易のかなめとなっており、財力も途方もなく、豊かに富んでおり、ラムニダス王国とは比べ物にならない強国だ。
「し、しばしお待ちください!!」
城門を護っていた衛兵達が慌てて声をかけてくる。
「エイン、エインがさっき名乗った「カルテア」って、カルテア帝国と同じ名ね。よくある名なの?」
ラフィーネが恐る恐る尋ねると、エインは興味なさげに淡々と答えた。
「いや、カルテアを名乗るのは、王家とその直系の公爵家だけだな。今は、両親と兄夫婦、甥達、叔父夫婦と従姉夫婦と子供達だけだな」
「エイン、皇子なの?」
ラフィーネの驚きの声にエインが目を向ける。
「そうだな。ただ俺は、国の事は兄に全てをゆだねているから、皇子とは言っても名ばかりだよ。ランドルフと共に祖国を離れ、番を求めて気ままな騎士暮らしだ」
「そうなの?でも・・・・・・・・」
ラフィーネは言葉を濁す。カルテアはラムニダスとか比べ物にならない大きな国。その国の皇子ともなれば、ラフィーネよりもっと身分も容姿も優れた女性を娶る事もやぶさかではない。
不安そうにしているラフィーネにエインは優しく声をかけた。
「俺はラフィーネが王女でも平民でも関係ない。まだ知り合って幾らも時が経っていないと言われても、俺にとってラフィーネが唯一なんだ」
「エイン・・・・・・」
ラフィーネの目を見つめたまま、エインが真摯に語り掛ける。躊躇いつつも、こくんと頷くラフィーネに、エインは笑顔を見せた。
「開ー門、開ーーーーー門!!」




