表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たなる場所と仲間達  作者: サイレン
57/59

第五十六話・邂逅

今年最後の投稿になります。

高町

「なんとか終わったか」


5時間に渡るバイトを終えて外に出ると真っ暗で街灯が無ければ何も見えそうにない。

直ぐにインフェルに乗り、学生寮『朝月』を目指す

時刻は現在10時、だんだん人が少なくなり、静まってくる時刻の筈だ。

高町

「さて、なんでこの町はこんなに人通りも少なく、ゴーストタウンになってるんだかな」

そう、今の時刻からしても自宅に帰る会社員の車や、歩いている人が居てもおかしくないのに、それが全くない。

(どういうことだ? 結界を張ったところで人はちゃんと存在するし、時間も止まるはずだ、それに結界を張ったんならそれらしい気配が有っても良いのに、それすらない、となるとまさか『アレ』がきやがったのか? って、っ!?)

思考の海を漂いながら走らせていたバイクを即座にUターンさせて、突如感じた違和感の方向を睨む。

???

「ククク、流石にこの程度の殺気の薄さでも感じ取れますか」

道路の真ん中に突如として現れたそれは見た目だけならサーカスに出てくるピエロのよう、しかし服にべったりと付着した血糊のようなものや手に持った処刑用ハサミによってそれらを否定している。

高町

「お前はなんだ?」

???

「ククク、私を何者とは仰らないのですね、まぁ当然でしょうか?」

クスクスと笑いながらこちらを見てくるピエロにだんだんとイライラしてくるが、ここで怒っては相手の思うつぼだ。

高町

「そんなことはどうでもいい、もう一度聞くお前はなんだ?」

???

「おやおや、つれませんねぇ私の同族を殺したことがある貴方ならばお分かりになるのでは? 復讐者(アヴェンジャー)いえ、雲月修也さん?」

その言葉に全身が熱くなってくる。

(イマヤツハオレヲナントヨンダ? 雲月修也? ソウヨンダヨナ!)

高町

「ハイハイ、オーケイオーケイわかったわかったよ、わかりましたよお前の正体も何をしに来たのかも、で、お前さぁ、一辺シンデミルカ?」

全力の殺意と共にバイクを蹴りピエロのもと、いや『元素たる七つの大罪』のもとへと疾駆する。

高町

「うぉらぁ!」

一切の手加減なく、呼び出したフラガラッハを顔に向かって叩きつける。

ピエロ

「フフフ、それではまだ届きませんね!」

素手でフラガラッハを防ぎ、余裕を見せるピエロだがそれは甘い。

高町

「まだだ、『氷の弾丸』(フリーズバレット)!」

無詠唱で氷の(つぶて)を零距離で大量に打ち込む、しかしまだ終わらせない。

高町

「これならどうだ、『絶氷刃』!」

氷を収束させてフラガラッハに纏わせ、触れたものを凍らせる一撃、本来ならC級やB級の妖魔なら一撃で滅ぼすことが出来るほどの一撃なのだが、フラガラッハの真の力の解放や魔力を込める時間が無かったから、威力は低いが少しばかりのダメージは通るだろう、そう信じて放ったが、次の瞬間に見たものに絶望を味わうことになった。

ピエロ

「ククク、即席とはいえこの威力、流石は生身の人間のくせに最下位とはいえ憤怒(サタン)を滅した男ですね」

(こいつ、俺が憤怒を殺したことを知ってる!? てっきり五年前のあの事件の時に殺した傲慢(ルシファー)の事を言ってるのかと思ったのに、こいつ一体何者だ?)

そんな考え事をしている俺を知ってか知らずかピエロは更に続ける。

ピエロ

「申し遅れました、私、『元素たる七つの大罪』の怠惰(ベルフェゴール)と申します」

予想通り奴は七つの大罪の一人だった、しかし何故名乗る必要が有るのか、俺にはそれがわからなかった

怠惰

「因みに今はまだ貴方と事を構えるつもりはありませんよ、今回私が来ましたのは貴方にお伝えしなければならないことが有って参上いたしました」

高町

「『今は』事を構えるつもりはないか、どこまで信用していいもんだか、一応聞いとくお伝えしなければならない事とは?」

俺の言葉にピエロの仮面を被っているとはいえニヤリと笑うのが見えた。

怠惰

「ええ、それは貴方の五年前の復讐対象、『戦慄の迅雷』はこの町に居ます」

高町

「やはりか」

(元々予測は出来ていた、麻布が居る時点である程度わかっていた事だ、奴は殺さなければならない、だが、俺にはそれより先に優先してやらなければならない事がある!)

高町

「今は引くが、いずれ貴様を含めた全ての妖魔や吸血鬼を殺してみせる!」

怠惰

「ククク、そうならないようになることを祈っておりますよ」

スゥーと周囲の空気に溶け込んでいくように消えた怠惰を見てようやく安心して武器をしまう。

それと同時に鏡が割れるように世界が割れ、周囲にまばらに人が現れる。

高町

「癪だが奴のおかげで野郎が居ることがわかった、だが奴は俺と戦慄の迅雷がぶつかる事を望んでいる、だからこそ先に奴を叩くべきだな、最悪野郎と共闘することになっても!」

何があっても妖魔を殺し尽くす、それが母さんや由乃と約束したことだからこそ自分のエゴを優先するわけにはいかない。

そしてバイクに乗って今度こそ『朝月』に向かった。



―第五十六話―

〜〜〜〜〜邂逅〜〜〜〜

―完―

来年もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ