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新たなる場所と仲間達  作者: サイレン
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第四十七話・地下室の攻防

今回は内容をだいぶ詰め込んだので、文の量がかなり多いです。


目を開けたら、そこは真っ暗な空間で、近くには会ったことは無いが、写真で見たことがある黒髪のロングヘアーで眠ったままの女性がいた。

高町

「いてて、ったく一体この館はどうなってんだ?」

周囲を見渡して見るが、とても広いということと、有るものは缶詰めや、乾パン、そして水の入ったペットボトルが山積みにされていて所々食べた後のゴミが有るだけで出口と呼べる場所は見当たらない。

(ここは一体どこだ? 見たところ館の地下だと思うがなんとか脱出しなければな、この女性の容態も気になるし、時間を使いすぎるのは良くないしな、まずは周囲を調べることから始めることにするか)

試しに周囲の壁を殴ってみても音は変わらず、ゴンゴンと鈍い音しかしない、次に天井を叩いて自分が落ちてきたのか探ってみると一部直ぐに音が変わり、そこだけ色の濃さが違うこともわかった。

(今わかるのはこれぐらいか、ひとまずこの女性が本当に失踪した人かどうかを聞かなきゃいけないし、最悪アービナルを使ってでの脱出も考えなきゃいけなさそうだな)

次々に起こる面倒事に対して大きくため息をついた

女性

「う、ううん………うるさいなぁ、一体どこの誰が壁をガンガン殴ったりしてるのさ」

どうやら先ほどの周囲の調査で出た音のせいで起きてしまったようだ。

高町

「すまんな、意識はしっかりして、体調に異常は無いか?」

女性

「え? うん、平気だけど………、もしかして私の捜索!? やったぁようやく出れる! いやー、大変だったよ、少年今までの人生の中でもベスト4に入るぐらいだよ本当に」

(一体どんな生活をしたらこれ以上に大変なことが起こるんだよ?)

女性

「少年、ところでこの密閉された部屋からどうやって脱出するんだ?」

高町

「その事の前に、アンタは日野佳奈子(ひのかなこ)1年前にこの館で失踪した人で良いんだな?」

佳奈子

「うん、その佳奈子さんですけど、それが何か?」

(生きていたか、となるとここに有るゴミはこの人が飲み食いした後で断定出来るな、身元が確認出来たから次は脱出方法を探さないと後から侵入した魔術師に漁られたら面倒だしな)

高町

「さて、脱出方法だが俺もわからない、最悪の場合だが威力のかなり低い手榴弾が1つあるから壁を壊して進むつもりだが、倒壊の可能性があるから出来るなら使いたくはない、この部屋に入れた時点で何かしら出る方法があるはずなんでそれを探そう」

初めは怒った顔をしていたが、話を聞いてしっかりと脱出方法が有ることを理解したので納得してくれた

佳奈子

「何で手榴弾なんて持ってるかは知らないけどそこは追及しないから安心しておけよ、少年」

高町

「まずは壁の色や、叩いた音を確かめてくれ」

佳奈子

「了解しました、隊長」

(誰が隊長だ)

そんな感じで部屋の探索を始めるが一切見つからない、部屋の至るところを殴ってみるが反応がない。

佳奈子

「ねぇ、全然見つからないから爆発させない?」

捜索を続けながら話すが、ヒントも見つからないのでモチベーションが一向に上がらない。

高町

「そういえば、この地面を調べたことがあるのか?」

一応地面を差してみる。

そう、俺たちが上から落ちてきたなら、まだ下があってもおかしくない。

そう思いすぐに下を捜索する、何ヵ所か探ってみると地面の触り心地と少しだけ色の薄い場所を発見することが出来た。

佳奈子

「よし、ナイスだ少年、こんなところからは早くおさらばして、私はあの人のところに行くんだ」

脱出ルートだと思われる地面は取り外しが可能でそれを外して下へと降りていき、だいぶ下まで降りたなと思っていると一本道を見つけられた。

高町

「さすがにそろそろ脱出出来るか?」

そのままゆっくりと一本道を歩き続けた。

〜〜〜side高町end〜〜〜

〜〜〜side秋那〜〜〜

この館の捜索を続けているが特に異常が見当たらない、人の住んでいたような跡は残っているが、本人は見つからない、渡辺たちの調査でトランクケースを見つけたらしいが特に怪しい物は見つからず、そこに置いたままにしておくことにした、一方私たちは最初の大広間で鎧を調べたが特に異常が無く、次に書斎を調べている最中だ。

無亜

「秋那ちゃん、ちょっとこっちに来て」

本棚を調べていた無亜が私を呼ぶ、おそらく何か見つけたのだろう。

秋那

「どうした、何か見つけたのか?」

近寄ってみると無亜は一冊の本を持って付近の椅子に座っていた。

無亜

「ねぇ、秋那ちゃんここって確か誰も住んでないのよね?」

秋那

「ああ、渡辺からの情報では今はわからんが2日前までにここを買った人は居ないらしい」

それを聞いて私の方に駆け寄り両手を合わせる。

無亜

「秋那ちゃん、一生のお願い、この本明日には返すから今日だけ持ってくのを認めてお願い!」

(何をするのかと思えば、無亜は本当に緊張感というものを知らないな)

秋那

「駄目だ、所有者の許可も無しに置いてある物を持ってくだなんて唯の泥棒じゃないか、それに唯でさえ私たちは不法侵入しているというのに、これ以上に罪を重ねる気か?」

私の叱責にシュンとしたまま本を元有った場所に何か言いながら運んでいく

無亜

「良いわよ、だったらこっちにも考えが有るから、認めてくれないなら秋那ちゃんが柚原さんのプリン間違って食べちゃったの言っちゃうから」

秋那

「ま、待てそれは卑怯だぞ、柚原さんがどれ程甘い物が好きなのか君も知っているはずだぞ? 人の弱味につけこむなんて卑怯者がすることだぞ!」

無亜

「だったら、私の要求を飲むことね」

(くそっ、もし柚原さんにこの事がバレたら私は間違いなく訓練中に殺される、又は手当て中に荒い手当てをされてしまう)

以前にも間違って柚原さんの残してある甘い物を食べてしまった時にも訓練中に威力の高い技を寸止めされたり、医務室では擦り傷におもいっきり消毒薬を力一杯塗ってきて、しかもそれが1週間続いたので怪我が出来なくなったり、訓練中に常に気を引き締めていかなくちゃ大怪我の可能性まで出てしまう、ならば私に取れる行動は1つだ。

秋那

「仕方ない、そっちの要求を飲む、ただし本当に明日返すんだぞ!」

無亜

「わかった、わかった、この本ほとんど絶版状態だから読めないと思ってたけど、まさかこんなところに有るとはね」

本当に嬉しそうに本を抱える無亜、それを見て私はまぁ仕方ないかという気になってしまった。

その時本部から私の通信機に通信が来る。

秋那

「どうしました?」

舘内

『今、急に東地区と中央地区に微量ながらも魔力反応が有った、その調査に行ってくれ』

秋那

「わかりました、他の3人にも言っておきます」

舘内

『簡易転送で送るから、一度本部に戻ってこい』

秋那

「わかりました、すぐに向かいます」

私は舘内さんと通信を切って、即座に他の3人に通信をする。

秋那

「今、東地区と中央地区に微量ながらも魔力反応が有ったそうだ、今から本部に戻るぞ、私と無亜は一足先に本部に向かう」

悠子・渡辺

『『了解!』』

私たちは急いで書斎から飛び出し大広間を通り門を開けて出る。

(しかし、何だというんだ? 何故こんなにも最近連続して魔力反応が発生する? 発生はあの黒衣の男が現れてからだ、奴が現れてから連続して発生している、やはり奴が妖魔を呼んでいる元凶なのか?)

疑問ばかりが浮かんくるが、その答えが見つからない、謎が謎を呼んでどんどん深みに嵌まっていって抜け出せなくなる、この答えはいつか見つかるのだろうか、だが今はがむしゃらにでも闘って答えを見つけるしかない、ならばひたすら闘い抜くだけだ。

〜〜〜side秋那end〜〜〜

〜〜〜side高町〜〜〜

ふと疑問に思ったのは何故鎧が動いたのか、そして何故鎧たちはあの扉を開けられないのか、それか開けないのか、これがどうしても気になって仕方がない、今さらだが何故あの部屋に居たのかを聞くことにした

高町

「そういえば、アンタはどうやってあの部屋に入ったんだ? 俺と同じく鎧に導かれたのか?」

佳奈子

「え? 鎧に導かれたってそんなわけないでしょ? 私は鎧が動きだすのを見て、それを追いかけて行くと書斎に着いたから入ってみて、鎧に向かって話す女の人の声がしたから近くまで隠れて行ってみたら意識が遠くなって気がついたらあそこに居たわけ」

高町

「女?」

(そういえば健作が言っていたな当初の捜査ではわからなかったが日野佳奈子が失踪してから2日後にもう1人失踪したって話を聞いたな、たしか名前は……)

一本道を抜けると階段があり、それを上ろうと足を階段に掛けた瞬間だった。パシュッ! 不意に後ろから何か尖った物が飛んできて日野さんの足元に当たる

佳奈子

「キャッ!」

そのまま何が起こったか振り向こうとするが女性の声によって阻まれる。

???

「動かないで」

日野さんの足元に当たったものをよく見るとそれは狩猟用によく見かけるボウガンの矢だった。

佳奈子

「君はひょっとしてあの葛西夏生(かさいなつみ)なのか?」

呆れたような声で問いかける日野さん、どうやら知り合いの様だが、あまり良い雰囲気とは思えない。

夏生

「ええ、そうよ私は貴女からあの人を奪い取られたあの葛西夏生よ、しかし貴女も馬鹿よね? 一応生きては行けるように食糧と水だけはあげたのに、そこから逃げ出してわざわざ死にに来るなんて、まぁ怨むんならそこの逃亡を手伝った坊やを怨むのね、とりあえず壁に手をついて、おとなしくしなさい」

ひとまずこのまま抵抗しても勝ち目がないのは目に見えているのでおとなしく従って壁に手をつく。

夏生

「ふふ、そのまま動いちゃ駄目よ、動いたらこの毒矢をセットしたボウガンで殺すから」

風が通らないから風上を取ってその毒を流すことがされないからまだいいが、こちらは日野さんというハンデを抱えている。

ほとんど完璧に封殺され、勝率が無くなるが、あの女は1つだけ完璧な間違いを犯している、それはいつまで経ってもこちらに近づいて来ないでボウガンを向けて近寄らずに自分の不運や不幸話をしている。

高町

「聞こえてますか? 聞こえているなら返答はしないで咳をしてください」

とても小さな声で一緒に壁に手をついてる日野さんに語りかける、ごほんごほんと、上手い演技でほとんど違和感なく咳をするのを聞いて話を続ける。

高町

「一瞬で良いので、あの女の隙を作ってください、でも決して怒らせるのではなく、逆に喜ぶことを言って調子に乗らせてください、そうすればあのボウガンを叩き落として、相手の武器を奪い、拘束出来ます、頼めますか?」

ごほんごほんと再び咳をする、これで勝ち目ができたあとは実行を待つのみだ

夏生

「まったく、さっきから咳ばかりして、ああ、あんな暗くて寒そうな場所に居たから風邪でもひいたのかしら? まぁ、それももうすぐ終わらせてあげる、ちゃんと感謝してね?」

そう言ってゆっくりと足音が聞こえるように葛西が近づいてくる。

(まずい、今近づかれたら計画がおしゃかになっちまう、どうする? 何か打つ手は有るか?)

考えている間にもゆっくりと笑いながら近づいて、余裕綽々と歩いてくる。

そんなときだった。

佳奈子

「葛西、そのままで良いから聞いてくれ」

夏生

「何? 遺言ならしっかり聞いてあげるわよ」

佳奈子

「わかった、ありがとうまず君は誤解してる」

夏生

「何を? 貴女があの人、堺友也(さかいともや)を奪ったこと?」

少しイライラした口調で話す葛西だが確実に集中を切らせ始めてきている。

佳奈子

「違う、それはある意味事実だからな、その前にこの少年だけは助けてやってくれないか?」

少し考える素振りをみせて沈黙するが、ゆっくりと言い放つ。

夏生

「駄目よ、貴女には死ぬ間際まで絶望を抱いてもらわなくちゃいけないんだから、目の前で人が死んだほうがより苦しむでしょ」

(本当に嫌な性格してるな、日野さんさえ居なければ即座にこのムカつく声を黙らせることが出来るというのに、残念だ)

しかし、チャンスは少しづつ近づいている、段々油断してきてる、あのヒステリックにあと少しで痛い目を見せられる、あと少しの我慢、そう考えればいい

佳奈子

「最後に1つだけ君に言っておく」

夏生

「なあに?」

佳奈子

「君は馬鹿だ」

その言葉に完全に怒り、ボウガンを構えて発射しようとした瞬間に俺が蹴り上げ、ボウガンを吹き飛ばす

夏生

「しまった、武器が!」

吹き飛ばしたボウガンは遥か遠くまで飛び、動揺している隙に背後に回り、首に手刀を極めて気絶させることができた。

高町

「ふぅ、なんとか終わったな、さっさと警察に連絡を………」

言いきる前に、疲れと眠気が同時に来て意識が遠くなっていく。

(まぁ、良いか後始末はやってくれるだろ)

日野さんの呼び掛ける声に小さく手を上げ、俺はゆっくりと眠りに落ちた。

〜〜〜side高町end〜〜〜



―第四十七話―

―地下室の攻防―

―完―


はい、今回でひとまず館のお話は終了です、ですが呼んでの通り鎧が動きだした理由や、地下室の存在の意味などは説明などがまだなので、時間が有る時に説明したいと思います。


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