第三十三話・交渉
投稿が遅れてしまい、本当に申し訳ありませんでした家の手伝いや、バイトを入れていたらつい、書く時間が減ってしまって、遅くなってしまいました。
あれから一旦渡辺と俺以外は別々に別れ、相沢以外は寮に帰る時間になり、相沢は家に帰るらしい。
そして俺たちは渡辺の父親のやっている不動産会社に歩きながら行っている。
高町
「お前たちの学校は学生寮があるのか」
渡辺
「ああ、だから普段家に帰ることはほとんど無いんだ、寮に居ればそこそこだけど美味い飯が食えるし、材料さえ持ってくれば自分で作っても良いんだからなそれに何かと文句言う親父もいねえからな」
渡辺は笑いながら答える
高町
「ところで、お前の家にはあとどれぐらい歩けば着くんだ?」
公園からそんなに遠くないと言ったのだから、そろそろ着いてもおかしくはないだろう。
渡辺
「ああ、あれあれ、あそこにある白い建物だ、ちゃんと『渡辺不動産』って書いてあるだろ?」
渡辺に言われた通りに見てみると確かにすぐそこの白い建物の入り口に『渡辺不動産』と書いてある看板が掛けてある。
高町
「あれか、なら早く行こう、時間が惜しい」
そのまま俺たちは渡辺の家に入った。
渡辺・高町
「ただいまー(お邪魔します)」
同時に声を出して、渡辺に案内されるがまま、進むと事務所と思われる場所に出てそこには髪はボサボサで無精髭を生やした中年の男性が居た。
中年の男性
「んー? 何だお前か、んでそこのガキが例の依頼人か、ほれ、そこ座れ」
この中年の男性が渡辺の父親だろうか、似ていると言うよりは渡辺の髪型をボサボサにして髭を生やせば完全に見分けがつかない。
高町
「はい、自分が依頼人の高町瞭です、失礼ですが、貴方が渡辺の父親でこの店の経営者でしょうか?」
普段の言葉使いとは完全に別の他人行儀の口調で話す俺を渡辺は呆気にとられた感じで見ている。
中年の男
「おう、不本意ながらこいつの父親の渡辺健作だ、それにしてもこいつのダチの割には口調が随分丁寧だな、ほんとこの馬鹿にも見習ってほしいもんだ」
そう言ってバンバン渡辺の頭を叩く。
渡辺
「痛てえな、止めろこのクソ親父、それより高町、何だよその口調?」
叩く手を払いのけながら聞いてくる。
高町
「ああ、この口調はちょっとした癖でな、相手が大人や初対面の人なら、この口調で話しちまうんだ」
嘘偽りなく言った、ただし例外が有ることを言ってない、それは気軽に話せる相手ならという例外だ。
渡辺
「ちょ、ちょい待ったお前、俺と初めて会った時は敬語じゃなかったぞ」
高町
「当たり前だ、いきなり喧嘩売ってるように話してくるから、それ相応の態度で返しただけだ」
健作
「ダァー、んなこと良いから、物件見に来たんじゃねえのか? ねえならさっさと帰りやがれ!」
おっと、無駄話が過ぎたなキレる一歩手前だな、さっさと話さねえと。
高町
「すみませんでした、依頼の件ですが、物件の写真と、そこの値段を見せてくれませんか? と、その前に悪いが渡辺は席を外してくれないか?」
渡辺
「えー、良いじゃんか別にお前がどこの家だと知ってても問題ないじゃん」
俺の頼みを断ろうとする渡辺だが、
健作
「ほれ、依頼人が迷惑してんだ、人にはプライバシーってもんがあるんだから自分の部屋にでも行け」
流石はこの店の経営者と言うわけだろうか、渡辺をしっしっと追いたてるように部屋の外に連れだし、部屋のドアを閉めてしっかりと鍵を掛けた。
高町
「ありがとうございます、助かります」
健作
「いやいや、依頼人に嫌な思いをさせるわけにはいかんだろ? もしありがたいと思ってるんなら、その敬語止めてくんねえか? 俺はあんまり育ちが良くないんで、そういう話し方は何て言うか、痒くなってきそうだからよ」
高町
「わかりま…わかった、これでいいか?」
健作
「おう、これで気軽に話せるぜ、これが資料だ、それにしてもおめえも変わった趣味だな、わざわざ曰く付きの場所だなんて」
そう言って数枚の資料を渡してくる。
そしてそれを値段と、立地条件、それから何が起こるかを読み終えて、一つの資料を返した。
高町
「ここで頼む」
そう言って俺が渡した資料にはまるでどこかの屋敷のような場所が写っていただが、そこは近くの家からゴーストハウスと呼ばれる家だった。
健作
「本当にここで良いのか? 渡した物件の資料の中でも一番ヤバそうな物件だが、他にもあるんだぞ」
高町
「いや、ここで頼む、それと俺がここを買い取ることは渡辺や、他の誰かに聞かれても教えないでくれないか?」
無論、口止め料も払う、と続けて言っておく。
健作
「ああ、うちとしてはこんな物件さっさと買い取って欲しかったからありがたいな、口止めに関しては金は要らねえ、依頼人については口が固いからな」
そう言って渡辺の父親は豪快にがっはっはっと笑う
(なるほど、思ったよりいい人みたいだな)
高町
「すまない、もしよければ今からにでも物件を見せてほしいんだが」
健作
「おっと、その前におめえまだ未成年だろ? 親か、保護者の同意を貰って書類を書いてくれねえと売れねえぜ、いくらアイツのダチでもこればっかはルールだからな」
しまった、完璧にその事を忘れていた。
仕方ない、あの人に連絡をとるか。
高町
「すまない、ちょっと待っててくれ」
そう言って事務所から一旦出て携帯を取り出す。
高町
『もしもし、俺です高町です』
???
『おや、貴方から連絡をくれるとは珍しいまた何か問題でも?』
俺の声に対してお爺さんの声が返ってくる。
高町
『はい、実は…』
そこで俺は今起こっていること、問題をほとんど全部説明した。
???
『そうですか、保護者の同意ですか、良いでしょう私も貴方にはお世話になっていますからね、ですが一つだけ条件があります』
高町
『何ですか?』
???
『それはですね、貴方は年齢から考えても勉学に励むべきだと思いましてね貴方には学校に行ってもらいます』
高町
『ちょっと待ってください、俺は学校なんか行ってもしょうが…』
???
『それでもです、貴方がやるべきことが終わるかも知れないでしょう、その時の為です、我慢しなさいそれに悪いことだけではないのですぞ』
俺の言葉を遮るようにして言った。
???
『その学校は日本には数少ない武術や、自分を鍛える学校なのです、幸い私はその学校の理事長と知り合いなので、直ぐにでも編入は可能です』
高町
『わかったよ、ただししっかりと編入試験や、その他の情報操作頼むぞ』
???
『ええ、ええ、わかりました、ではそこの経営者の方に代わってください』
高町
『はいわかりました』
そう言って一旦電話を保留にして、もう一度事務所に入り、渡辺の父親に携帯を渡した。
健作
『はい、もしもし、お電話代わりました貴方が彼の保護者ですか? お名前と職業の方をご確認させてください………ええ!? すみません、はい、はい、わかりました直ぐにでも』
そう言って渡辺の父親は電話を切った。
健作
「はぁ、おめえすげえ人が保護者なんだな」
疲れきった表情で言う。
高町
「それは隣町の町長の久保誠二の事か? だがあの人は俺の単なる保護者だから俺は凄くないぞ」
健作
「町長がバックに居る時点で凄いつーの、こちとら寿命が縮んだぜ」
それは随分悪いことをした、渡辺の父親の顔を見ると未だに疲れきった顔だ。
高町
「ああ、これ書類は全部書いたし、連絡先も書いたこれでいいだろ? 案内してくれ」
健作
「今日はもう遅えからうちに泊まってけ」
いや、そんなことは流石に承諾出来ない。
高町
「いや、それは流石に迷惑になるからいい、適当に野宿するか、ホテルを借りるから大丈夫だ」
健作
「そうか? 野宿は認められんが、ホテルに泊まるならいい」
良かった、これで夜の調査が出来る。
高町
「じゃあ明日の10時頃にまた来る」
健作
「おう、忘れんなよ」
そう言って俺は渡辺の家を後にした。
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―第三十三話―
―交渉―
―完―