第二十五話・救出の後に
今回はいつもより短くなっており、申し訳ありません
〜〜〜side無亜〜〜〜
あれから私たちは騒ぎが大きくなってきたので、急いでその場から離れ、今は一階の食料品売り場の近くにフードコートがあるのでそこでさっきの事について話していた。
無亜
「それにしても、アンタって本当に無茶なことするわね」
私はあの危険な行為について言った。
いくら助ける為とは言え、あれでは失敗したときにあの母親が抱えるショックが半端じゃない。
高町
「確かにそうだが、あれより確実に助ける方法が有ったか?」
無亜
「っつ!」
それを言われるとこちらは黙り込むしかない、確かに高町の言う通りあの方法は確実に助けられるだろう、だがそれでも私は納得出来ない。
無亜
「それでも、もしアンタが失敗してたら、子供たちにトラウマを作ったり、あの母親だって自分を責めて後悔する毎日を歩まなくちゃいけなかったかもしれないのよ!?」
高町
「そうだな、そうかもしれない、だがそれは所詮想像の領域に過ぎない」
高町は私の言葉に興味が無いのか、随分あっさりと返答する。
無亜
「アンタねぇ、確かに想像だけど、今言った事が本当に起こってたらどうしていたのよ!」
高町
「俺が失敗してたら、俺もあの子も死んだ、それだけだ、何かをしたくても死んでいるんじゃ何も出来ない、違うか?」
無亜
「そうだけど、じゃあ何でアンタはわかっていながらそれをしたのよ!?」
その時高町の口から信じられない言葉が出た。
高町
「俺は自分が死んだとしても構わないからな」
悠子・秋那・渡辺・無亜
「えっ?(はあっ?)」
その言葉に今まで傍観していた他の三人も思わず声を上げた。
そんな私たちを無視して話を続ける。
高町
「俺は1%でも他人を救える可能性が有り、なおかつ他の人が犠牲にならないなら、どんな状況でも助ける、それが原因で俺が死ぬことになってもな」
沈黙が場を支配する、高町が言っている事は紛れもなく本気なのだろう、この状況で冗談を言う奴ではない事は知っているからだ。
私たちはそれに対して何も言い返せなかった。
〜〜〜side無亜end〜〜〜
しまった、少し言い過ぎたかもしれない。
本当はもう少し適当に流すつもりだったのだが、つい熱くなってしまった。
(まったく、これではまだまだ未熟だな)
そう反省している俺に三沢が問いかける。
無亜
「ねえ、高町何でアンタはそんなことをしようとしたの?」
この問いかけは普通だろう、今までこの理想を誰かに言う度に聞かれた。
だから俺は今回も同じ答えを言う。
高町
「俺は、昔、ある人と約束したんだ、俺は俺自身の理想を簡単に諦めたりしないってな」
悠子
「理想って誰かを死なせるぐらいなら自分が死ぬみたいな理想ですか?」
高町
「そうだ」
無亜
「そんな理想なんて、馬鹿げてる!」
三沢は、俺の目指す理想を否定した。
悠子
「そうですよ」
秋那
「ああ私もそう思う」
渡辺
「俺もその理想はどうかと思うぜ、だってそんな理想じゃ自分が幸せになんてなれないじゃん」
皆俺の理想を否定する。
だが、この理想を捨てる訳にはいかない、この理想を捨てるということは、由乃に対する裏切りだからだ
俺が死んでいった者たちに出来ることがこれ以外にないからだ。
高町
「悪いが、この理想を捨てる訳にはいかないからな、俺は今も昔もそうやって生きてきたからな」
その言葉に三沢以外が理解はしたけど納得はしない、というような顔をしている三沢のほうは、理解もしないし、納得もしない、と言いたげな顔をしていた。
再びこの場を沈黙が支配する。
そんな中この空気を壊したのは相沢のお腹が鳴った音だった。
悠子
「え!? あ!!」
相沢は顔を赤らめながら必死に言い訳するが、俺たちは先ほどの暗い空気は何処に行ったことやらと言いたくなるほど、笑顔だった
〜〜〜side高町end〜〜〜
ー第二十五話ー
ー救出の後にー
ー完ー
いかがでしたか?今回は高町の理想を書いてみました楽しんでいただけたら幸いです。
ではまた来週にお会いしましょう