第二十三話・屋上にて後編
更新が遅くなりまして、本当に申し訳ありません。
今回から高町の視点の場合のみside〜を止めようと思います。
結局あの後渡辺は即座に復活して、その無敵さに俺は感心するが、今は椅子の上に座らされ麻布によって、尋問とは名ばかりの拷問にかけられていた。
渡辺
「だから、俺は御手洗さんの手伝いしてたんだって、嘘だと思うなら聞いてきてくれよ」
麻布
「黙れ、私が聞きたいのはそんなことじゃない、どうして嘘をついたんだ、と言うことだ」
渡辺
「そ、それは…」
麻布の質問に言葉が詰まる渡辺に麻布から更なる追撃が来る。
麻布
「どうせ君の事だ私たちの荷物持ちが嫌だから、家の手伝いということにして荷物持ちをサボろうっていう事だろう?」
渡辺
「ええ? そ、そんなはず無いだろ? 面倒だったからに決まってるだ…あ、言っちゃった。」
秋那
「そうか、やはりそうか、覚悟は出来ているな」
それはもうほとんど渡辺にとっては死刑宣告のようなものだろう渡辺は顔を真っ青にしている。
メキッ!
その瞬間渡辺の顔面にグーパンチが決められて、地面に倒れそうになるが、そこは本人の意地なのか、なんとか立ち上がる。
渡辺
「はぁ、はぁ、すんませんでした」
直ぐに土下座をして許しを乞う渡辺、そんな渡辺にゆっくりと麻布が近づく。
秋那
「駄目だ!」
先ほど三沢が起こした惨事を再び起こそうとする馬鹿者(麻布)に俺はゆっくり近づいた。
秋那・高町
「許さ(馬鹿者!)」
ゴンッ!
麻布に拳骨を落とし、なんとかあの惨事を起こさずに済んだ。
秋那
「っつー!君はいきなり何をするんだ!それに悠子から言われた事をもう忘れたのか?」
高町
「いや、覚えているが、先ほどの過ちをまた繰り返すのを止める為に必要な行為だと思ったからそれを実行に移したまでだ、それに俺は言ったよな? 子供の教育に悪いって」
無亜
「あちゃー、秋那ちゃんまで食らったか」
悠子
「うーん、確かに女の子を殴るのはって言いましたけど今のはちょっと秋那さんが悪いですね」
冷静に状況を判断する相沢に対して、俺に拳骨を食らったことをかわいそうに言っている三沢、それぞれの評価からして完全に悪いということでは無いようだ
秋那
「た、確かに言ったが君は殴る以外では止めることは出来ないのか?」
高町
「言っても分からない奴には無理やり体で分からせただけだ」
少なくとも俺はそうだった一度でも歯向かえば祖父から竹刀で殴られる、だけどそんな俺にとっての常識が誰に対しても通用するという訳ではない。
秋那
「じ、じゃあ君は言ってもわからなかったら殴って判らせられたのか?」
高町
「そうだな、俺は少なくともそうだった」
無亜
「え?」
高町
「まあ、自分がそうだったからといって人にその考えを押し付けるのは悪いことだな…すまない、俺が悪かった」
秋那
「い、いや別に構わないが、私も悪かったよすまない高町」
渡辺
「こうやって、二人の間に愛が生まれるんだな」
高町・秋那
「生まれねえな(生まれる訳がない)」
二人同時に渡辺に突っ込み、俺は渡辺の首根っこを掴み、ズルズルと屋上の外と言う地獄へ連れていく。
高町
「お前には制裁を受けてもらう」
渡辺
「うぇ? ちょ、ちょっとやめ、ギャアー!」
ドアを閉めて渡辺に対して制裁を始める。
ドカッ!バキッ、ゴンッ!ゲシッ!
さまざまな音が辺りに鳴り響く、
渡辺
「ちょっとやめ、すんません、本当すんません、許し…」
ゴスッ!
最後に拳骨を落とし、気を失った渡辺を引きずり、ドアを開ける。
高町
「おう、ただいま」
その言葉にビクッ!と聞こえそうなほど三人が震えていた。
高町
「どうした? 何か問題でも有るか?」
無亜・悠子・秋那
「「いえ、なんでもありません(ないです)!」」
三人共何故こんなに震えているのかは分からないが、このまま渡辺を引きずるのは嫌なのでひとまず渡辺を起こすことにした。
高町
「おい、渡辺起きろ、このアホ!」
渡辺
「ぎゃっ!」
顔にビンタしてパシィン!という音がビンタの一瞬遅れて響く。
渡辺
「痛ってえな、何すんだよ、高町!」
高町
「寝てるから起こしてやっただけだ」
渡辺
「もっと普通に出来ないすか? しかもその原因を作ったの明らかに貴方ですよねぇ?」
高町
「頼んだり、キレたり忙しい奴だな」
俺はやれやれとかぶりをふるうようにして言う。
渡辺・無亜
「だから、貴方が…(ちょっと待ったー!)」
そこまで言った直後に三沢に遮られた。
高町
「何だ?」
無亜
「渡辺のことは放って置いてちょっとアンタに聞きたい事があるんだけど」
渡辺
「俺なんて、俺なんて所詮こんなキャラかよ…」
渡辺よ御愁傷様。
三沢はなにやらニヤニヤしていてもし三沢が知らない奴だったら思わず「変態?」と聞きたくなる、簡単に言えばそれだけ怪しいということだ。
高町
「あっ、ああ何だ?」出来るだけ動揺が感ずかれないように言う。
無亜
「ねえ、悠子ちゃんにアドレスとか教えたんだったら私たちにも教えてよ」
そうきたか、だが俺の方としては理由が特に見当たらないので断る
高町
「悪いが断る、何故なら相沢の時はちゃんとした理由が有ったからだ、だが今回は特にないから断らせてもらう」
無亜
「ええー? 良いじゃん、ケチそんな連絡先ぐらい教えてくれても」
高町
「じゃあ、聞くが俺から連絡先を聞いてどうするつもりなんだ?」
無亜
「そ、それは」
何か後ろめたい事がありそうなので、予想した答えを言ってみる。
高町
「どうせお前みたいな奴の事だ、俺から連絡先を聞いて今日みたいに遅刻しそうな時に乗せてってもらうっていう魂胆だろ?」
無亜
「(ギクッ)そ、そんなことないわよ、只なにか有った時に連絡取れれば便利だなあーて思っただけよ」
確かに、シルバーファングの連絡先を知っていればかなり便利だな、仕方ないあまり気が乗らんが教えるとするか。
高町
「あー、何だ確かに連絡先を知っていれば何か有った時に便利だな」
その言葉に顔をパアッと明るくする。
無亜・秋那
「じゃあ、(教えると言うことで良いのか?)」
セリフを盗られて急屋上の隅でいじけだした三沢、「お前はガキか?」と突っ込みたいが突っ込んではいけないんだろう。
秋那
「じゃあ、携帯を出してくれ」
高町
「ああ、わかった…っつ!!」
麻布の後ろで起こっている出来事に、俺は思わず言葉を失う。
それもそのはず、何故なら幼稚園児ぐらいの子供がフェンスに寄りかかっていてしかもそのフェンスはギイッギイッと外れそうだ。
即座に自分で辺りの情報を整理する。
まず三沢と渡辺は二人していじけているので助けるのは無理だ。
次に麻布だが今は後ろに見ていないから、俺が走ったほうが速い。
最後に相沢だがもしあの子がフェンスと一緒に落ちたら此処まで引っ張るのは筋力的に無理だろう。
(だとすれば、俺が行くしかない!)
麻布
「どうし…っつ!」
どうやら後ろの異様な光景に気が付いたようだ。
俺は足に気を溜めて踏み込むと同時にそれを一気に爆発させる。
(雲月流奥義、活足!!)
ダンッ!
落ちそうなことに気がつかないあの子供のもとへ一気に駆け寄る、母親たちもようやくあの光景に気が付いたのだろう、あの子に向かって走り出した。
しかし、バキッ!という音と共にフェンスが崩れ落ちた。
子供
「うっ、うわああー」
(あとすこし、あとすこしで手が届く!)
俺はその子に近づき、手を伸ばすが、あの子はいきなりの事に混乱しているのか手を伸ばさない。
そして、そのまま下に落ちていく。
高町
「くっ、諦めてたまるものか!!」
俺も後を追って降りる。
無亜
「ちょっ、高町!!」
秋那
「早まるな!」
渡辺
「おいおい、どうすんだよ!!」
悠子
「は、早く救急車を」
後ろで、何か騒いでいるがそんなことは後だ、今はそんなことよりあの子を必ず助ける、それだけだ!!
(俺自身の誓いの為に!)
―第二十三話―
―屋上にて・後編―
―完―
いかがでしたか?
次回は屋上から落ちた高町と子供のお話です。
お楽しみに。