8.ライアンパーティの行方とその結末 ④
時はセレシアがライアンたちと合流する一時間前に遡る。
私は仲間たちとはぐれてしまった。すぐ合流すると言ったのに、なぜかそのまま探索しろと言われたのだ。私は大丈夫だがやはり仲間たちが心配。大した力もないのに過信しているのだ。
「まあ、私には関係ないか」
最近、嫌なことが立て続けに起っていると思う。今もこうやってはぐれてしまったし、何もよりも大事に想っていた仲間がいなくなったのだ。名前はハルト。突然、今いるパーティのリーダー、ライアンから『追放したから』なんて言われた。
正直、その時は何も言わなかったけど、勝手に何してんの?って思っている。当然そんなのことは口にしないが。他の仲間もなんか嬉しそうだった。
「……ハルト」
せっかく街で出会った運命の人なのに、別れの言葉もなしにいなくなってモヤモヤしている。
「私には、ハルトと剣技しか頭の中にないのに」
私はこう見えて街で『剣姫』と呼ばれていた。さらに言うとレベル5。最強と称えられているが実際よくわからない。だってハルトの方が強いし、私よりも社交的だもん。剣しか取り柄がない私には絶対に届かない領域だ。
「早く会いたいな……」
ふとそんな言葉を漏らしていると、前方にモンスターの姿が見えた。
「くくっ、美味そうな女じゃないか。指先までしゃぶりつくしてやろうか」
そこに居たのはオークだった。なんだ、あれはただの雑魚ではないですか。私は無視して行こうと思ったが、進行方向を塞いでいるため倒すしかないようだ。
「そこ、どいてもらえる?」
「何言ってんだよ。俺はお前を喰うんだよ!」
はぁ、どうやら自分の立場をわきまえてないみたい。なんか倒すのさえ嫌になってきた。そういえば、オークってここに生息してたっけ。たしかもっと別の場所のような……
「……なんで君はここにいるの? オークってもっと違うところにいなかったっけ?」
「あぁ? 俺たちが縄張りにしていたダンジョンがたった1人の冒険者に壊滅させられたって言われてここにきただけだ。ここはなかなかに住みやすい。だからここにいるんだよ!」
へぇ、そんな凄い冒険者がいるなんて。正直ビックリだ。1人でダンジョンを攻略するのは至難の業だ。それなりの力が必要だが、もっとも大事なのは知識だ。闇雲にダンジョンを攻略する愚か者もいるそうだが、目の前の敵を倒せばいいものではない。周囲の警戒、脱出ルートの確保、様々なダンジョン攻略のノウハウがないと攻略はできないのだ。
あっ、ついでに他のところから来たって言ってたから、もしかしてハルトのこと知ってるかも。私は僅かな希望をどうでもいいオークにかけてみた。
「ねぇねぇ、ハルトって冒険者、知らない?」
「なんだ? そんな弱っちぃ名前の冒険者なんか聞いたことねぇよ! そこら辺で死んでんじゃないか。俺たちの食事としてな!」
オークは私に向かって突撃する。全く、これだからモンスターって嫌い。話は通じないし、人を襲うことしか考えていない。だから私は腰にある剣を手に取る。
「そう。なら……死んで」
「ッ!?」
悲しき剣技。
慈悲なきその剣技は、斬られたことすらわからない。そっと、感情を押し殺すように斬る。気づいた時にはオークは倒されていた。
「やっぱりつまらない……ハルトがいないと」
私は考える。どうすればいいか。この穴が空いたような感じをどう埋めればいいのか。パーティを抜けるのもありだけど、いろいろな理由があるからそれはダメ。でもどうしてもこの感情をどうにかしたい。
あっ、とひらめく。
「そっか。追いかければいいのね。大丈夫。きっと見つかる」
こうして私はハルトを追いかけることを決意したのだ。この世の剣技を全て使用できるスキルをもつセレシアは悲しみから、それは期待に変わり、胸を膨らませる。
私はレッドドラゴンと遭遇。ボロボロのライアンたちを発見。何してるんだろ。まさか、こんな簡単なダンジョンで負けそうになったとか。さすがにそれはないと信じたい。とりあえず合流したしこの邪魔なレッドドラゴンを片付けなきゃ。
一瞬にしてレッドドラゴンに接近し、頭を斬り落とす。
「正直……見損なった」
「何っ……!?」
おっと、つい口が滑ってしまった。けど本当のことだからいいや。別に私はライアンのことなんて何とも思ってないし、そんなちょっとで悲しまないだろう。
だいぶ心に傷を負ったライアンなど知る由もなく、天然で最強の無口『剣姫』の暴走は止まらないのだった。
間一髪、セレシアの助けがあって、ダンジョンを脱出した。仲間は安堵していたが、俺からすればむしろ醜態を晒してしまった。いいところを見せるどころか助けられ、オマケに『見損なった』と。
ふざけるな!俺は選ばれし冒険者だ。街では称えられるほどだ。なのに、こんな無様な結果を残すとは……全てアイツが、あのハルトが悪いんだ。ハルトがいたから、連携が上手くできなくなっていた。絶対そうだ。それに、ここのダンジョンがおかしい。簡単に攻略できるはずなのに、まさかオークの変異種がいるなんて。
「とりあえず、街へ戻ってギルドに報告だ」
「一体何を報告するの?」
セレシアは別行動だったためわからなかった。
「俺たちはオークの変異種にあった。多分、セレシアですら敵わないほどだ。だから報告するんだ! 俺たちが最初に見つけたら、ギルドも俺たちを最強のパーティとして認めてくれるだろう」
「そうだな。ライアンの言う通りだ」
「そうね。さっきは危なかったけど、助け合いながら戦うのがパーティだしね。私たちはきっと素晴らしいパーティになるはずだわ」
「ねぇ……オークなら私倒し」
「よし! そうと決まればさっさと戻るぞ」
セレシアの言葉も聞かぬまま、ライアンパーティ一行は呑気に街へ戻るのだった。
「面白い!」
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