6.ライアンパーティの行方とその結末 ②
ハルトが妖精族を助けてから3日後、俺たちもいよいよダンジョン攻略をしようと準備していた。
「で、回復とかは誰が受け持つんだ? アイツがいなくなっちまったから、分担するしかねぇけど」
ハルトがいなくなったから荷物持ちが減ってしまったがここに居残っているよりはマシだ。ここは腹を括って自分たちでなんとかするしかねぇな。
「各々持てるだけ持つという形でいいだろう。ま、こんなサポートアイテムに頼ることなんてないと思うけどな」
「そうよ。だってあれでしょ、低難易度のダンジョンなんでしょ。私たちが負けるわけがないじゃない」
「ま、そうか。じゃ、最低限のアイテムだけ持っていくか」
ガリアとピスカの意見に賛成し俺は準備をする。しかし、珍しいことにセレシアが口を開き、意見を否定する。
「でも、ハルトなら予備のアイテムもって行くけど」
おいおい、まだアイツのことを気にかけていたのか。だがそれも仕方ない。あの邪魔者と3年も一緒にいたんだ。俺だってまだ頭から抜けない。ここは俺が引っ張らないとな。
「セレシア。大丈夫だ。昔からの付き合いだろ? あんな部外者の意見なんぞ取り入れちゃ、最大限の力を発揮できないかもしれないだろ。だから今は忘れるんだ」
「……そう」
セレシアはそっと頷く。よし、それでいい。あとは俺がいい所を見せて惚れさせればこっちのもんだ。
ライアンの二つの意味での作戦は順調に進んでいた。当然、その選択が過ちだと気付くこともなく……。
「チッ、誰か光の魔法は覚えてないのかよ!」
「そんなこと言わないでよライアン様。私は攻撃魔法しか習得してないし」
ダンジョン内は自分たちで光を照らさなければ何も見えない。今までだったらアイツが創る魔法でダンジョン全体を光らせるほどだったのに。今じゃ松明を使ってやっと足元が見えるくらいだ。
「それにしても、なんかいつもと雰囲気が違うな。前来た時はこんな感じだったか?」
突然ガリアが質問してきた。たしかにさっきからモンスターが現れない。ダンジョンに潜ってしばらく経ったがゴブリンの一匹もいないのは妙だな。でも、気のせいだろう。
「安心しろって。どうせ俺たちが圧倒的過ぎてモンスターも怯えてんだよ。少しはモンスターの気持ちも考えろって。大体、こんなレベルが高いパーティが来たら絶望だろ」
なんたって俺たちは、いや、俺は街でも有名なパーティのリーダーだぞ。負けるはずが……
ぐらぐら……ガタンッ!
突如、地面が割れ、下に落ちる。
「痛た……クソっ、急になんだよ!」
「急になんだよこれは」
「やだ〜! もうっ、ライアン様助けてよ〜」
地面に座り、見上げると大きな穴があった。どうやら地面が割れそこを歩いたから落ちてしまったのだろう。俺とガリア、ピスカが落ちてしまったようだ。セレシアは上の穴から顔を覗かせる。
「大丈夫?」
「ああ。心配すんな」
全く。せっかくセレシアにいい所を見せようと思ったのに台無しじゃないか。ここから上に登る手段はないか。それなりの高さがあるため戻ることは不可能だな。
「こうなってしまった以上仕方ねぇ。別行動だ。それぞれ探索して1時間後に入口に集合だ。いいよな?」
「私はそれでいいけど……いいの?」
「ああ。じゃあそういうことだ。また後でな」
そう言うと別行動を開始する。
なんだか今日はいきなり思い通りにいかないな。ムカつくし無双して帰るか。ライアンたちはダンジョンの奥へ進むのだった。
「いないと思ったらいきなりモンスターが出てくるし。ピスカ! さっさと魔法攻撃で一掃しろよ!」
「してるわよ! でもなんかいつもより効いてないみたい!」
「そうだ。俺たちもやっている。ライアンもこんなゴブリンなんか一撃でやっつけちまえよ」
「うるせぇ!俺だってやってるさ!」
モンスターの猛攻は凄まじく、次から次へと襲われる。
「うらぁ!」
ライアンが大剣でゴブリンにトドメを刺すと、戦闘が終わった。
「はぁ、終わったか」
「えぇ……そうみたいね」
いきなり大群に襲われすでに体力は尽きていた。各々持っていた回復薬で回復する。
「それしても、なんでこんな大量の雑魚が」
ライアンは疑っていた。いつもならこんなことはなかったはずなのに。それに違和感はもう一つあった。
「それにお前ら、なんでゴブリンにあんな手こずってるんだよ」
「ッ! 俺たちだって真面目にやってたさ。……だとしても、いつもより力が入らなかったような」
「そうそう! なんか私も魔力があんまりなくて」
ガリアとピスカはほぼ同じようなを発言をする。最初はただの言い訳かと思ったが、正直俺もいつもの力が発揮できていなかった。
一度落ち着き冷静になる。そしてその空っぽの脳みそで考える。
ハルトを追放してからの初めてのダンジョン攻略だ。アイツがいたときより効率よく倒せるはずなのに逆に手こずってしまった。ハルトが抜けたことによって俺たちが弱く……いや、そんなわけないだろ。
なんならこの状況を利用してやる。さっきのゴブリンは特別な個体種が束になってかかってきたに違いない。この俺がモンスターに苦労するなんてありえないからな。
「おい、俺たちでここのモンスターを全て狩り尽くそう」
「急にどうした? ほどほどにした方が」
ライアンはガリアの意見を聞かないまま、
「ゴブリン共を倒したドロップだってあるんだ。ここで功績を上げれば、俺たちは一気に『勇者パーティ』に駆け上がれるかもしれない。やるんだよ。これはリーダー命令だ!」
「はぁ……わかった。俺はライアンについていく」
ガリアはわかってくれて助かる。子供のときからいっつも俺についてくるだけだったしな。
「ま、私は最初っからライアン様とずっと一緒だけどね〜」
「感謝するぜピスカ」
ピスカはいい女だ。なんでも俺の言うことに従ってくれる。俺がセレシアとくっつくまではいい遊び相手にもなるしな。
俺の人生は思い通りにいく。これは確定事項だ。つまり俺はここから最高の人生を手に入れるんだ。
「よし、行くぞ!」
自分たちの実力も愚かさもわからないまま、ライアン一行はダンジョンのモンスターを狩り尽くすという無謀な挑戦をするために、自ら地獄の入口に入るのだった。
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