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3.ライアンパーティの行方とその結末 ①

「よぉし、ついにあの邪魔者を追い払ったぜ! これで楽しく過ごせるな! そうだろ!」


「ああ。そうだな。弱いやつなどいらないしな」

「私も清々したわ〜。もう二度とアイツの顔なんて見たくない〜!」


 俺の言葉に拳闘士ガリアと魔法使いのピスカが返答する。


 まあ、このパーティの最戦力であるセレシアには何も言わないで追い払ったけど、きっと歓迎するだろう。そうだ。きっとセレシアだって嫌だったはずだ。ロクに使えない男と一緒にいるより、俺みたいなそこらとは違う存在に、セレシアもきっと惚れているさ。


「大体、なんでセレシアはあんな男を連れてきたのか」


 俺たちはもともと幼馴染で結成したパーティだ。昔から仲が良く、幸いなことにスキルにも恵まれていた。その結果、この街で最も強いパーティとして名を馳せている。さらに『剣姫』と呼ばれるセレシアのおかげで知名度は日を重ねる度にうなぎ登りだ。このままいけばきっと世界一最強のいわゆる『勇者パーティ』にもなれる存在になるのだ。


 それなのに、3年前突如として現れたのがあのハルトだ。レベル0で大した魔法すら使えず、ずっと荷物持ちとかサポートに徹していた。その割に使えもしない魔法書だけ大事にして、さらにセレシアとは仲が良かった。少しは支援魔法をしていたがあれは誤差の範囲だ。実力がある俺たちには関係ない。


 俺は今まで生まれて失敗したことなんてない。つまり、オレの人生は思い通りになっている。だからセレシアといい雰囲気になっていたハルトはもう用済みだ。


「しかし、無駄な時間を過ごしたものだな。ハルトがいなければ、今ごろはもっと上へ昇っていたかもしれないってのに」


「まあそう焦るなよライアン。俺たちは4人になったが、あいつは余所者だ。昔からの付き合いがある俺たちだけなら、突破出来ない壁なんてない」


「そうよライアン様。魔法なら私に任せてほしいわ。魔法陣なんて私の魔力で一瞬で壊しちゃうんだから!」


「まあこれでも共に戦ってきた仲間だ。せめてもの慈悲として食べ物を分けてやったのにあんな顔しやがって! まあいい。人の優しさもわからない奴だったってだけか」


「そうだな。今度は俺たちだけで頂点を目指そう!」


「そうよそうよ! 私たちにはライアン様っていう立派なリーダーがいるじゃない! 負けるはずがないわ!」


 俺にみんながついてきてくれる。そうだこれだ。俺が求めていた冒険ってのはこれだ!誰かに必要とされ、いつかは好きな人と結ばれて最高の生活を送るんだ!


「でも、あのハルトってたしか支援魔法とか、後方でサポートしてたけどこれからどうする?」


 ガリアは今後の戦闘について質問する。ああ、あの支援魔法か。全然知らねぇけど。


「安心しろよ、あんな魔法が役に立ったことあるか? それにサポートっていったってただの荷物持ちだ。あんなクズがいなくなったところで変わらねぇよ」


「そうか、ならいいんだ」


 俺たちが今後の可能性について盛り上がっていると、ギルドの扉が開く。そこにいたのは用事が終わったのか、セレシアだった。そう、これが俺たち最強の冒険者。『剣姫』と呼ばれ、名の通り剣技もすごいが何よりもその容姿だ。珍しい美しいロングの銀髪、ほかの冒険者とは違うオーラを放っている。普段はめちゃくちゃ無口で必要なときにしか喋らないがそれがまたいい!彼女がこちらへ向かう途中、周りの冒険者は目を奪われるほどだ。


「どうしたの? そんな大騒ぎして喜んで」


 そうだった。俺はまだセレシアにハルトを追放してやったことを言ってなかったのだ。ここはリーダーである俺が言おう。一体どんな反応をするか楽しみだ。


「おっ、聞いてくれよ。ついさっきハルトをこのパーティから追放してやったんだ! アイツは雑魚で弱いし、もう用済みだからな。セレシアもそれで良かっただろ? ほら、最近会話とかしてなかったしな。リーダーとして、パーティメンバーの精神的苦痛をなくすためだ」


「……え?」


 ん?あれ?思っていたより反応が薄いぞ。もしかして聞いていなかったとか?


「いや、だからハルトを追放して……」


「――それ、ほんと!?」


「お、おう。マジだぜ。ついさっき、な?」


 俺はガリアとピスカに確認を取る。すると2人とも頷く。ようやく事態が理解したのか、セレシアは冷静になる。


「そう。……で、それは誰の判断?」


「もちろん俺だ」


「……そう」


 ただ一言。そう呟く。あれ、なんか反応が違うな。もっと喜んでもいいのにな。そうか、嬉しすぎて叫びたいけど恥ずかしいのか。なんだそんなことか。


「それでどうよ? 時間の都合でセレシアには相談できなかったが、いいだろ!?」


 イスに座るセレシアに質問すると、


「……そうね。これでダンジョン攻略も本当の実力で挑めるってわけね」


 お、おう。つまり、お荷物がいなくなったことで本当の力で挑めるって言いたいのか。それ以降、セレシアは口を開くことはなかった。


「ねぇねぇライアン様。それで今後の予定はどうするの?」


「そうだな。まあ軽くダンジョン攻略でもしてから、高難易度のダンジョンとか隠しダンジョンでも行くか」


 水入らずの4人でまずは肩慣らしをしようと提案する。するとみんながそれに賛成する。


「じゃ、準備が出来次第、出発ってことで。まあ今日はお祝いにパーッと行こうぜっ!」


 こうして俺たちは新たな一歩を踏み出す。大丈夫だ。俺たちならなんとかやっていけるだろう。そして俺はいつかこの世界の『勇者』となって、『剣姫』と結婚し、幸せな人生を送るのだ。


 こうしてライアンの人生計画は順調に進むのだった。



『――ハルトが……いないなんて……』



 そんな声がふと聞こえた気がしたが、……気のせいだろう。

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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[一言] ここからライアンたちが転がるように落ちていくんですか……?
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