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28.月に照らされるルナは綺麗でした

 調査を開始して3日が経過していた。これといった事態は特になく、ただ時間ばかりが過ぎるだけだった。しかし、事態は急変する。


「念の為、冒険者様もこちらへ」


 急を要するのか、ギルド嬢に呼ばれ、とある民家に案内される。そこにいたのはベッドに横たわる老人だった。ただ年齢による衰弱かと思ったが、明らかに違った。オレは思わず口にする。


「紫色の……肌。これはただの病気なんかじゃないな」


「酷い……どうしてこんなことに!?」


 ルナも驚いている。これは初めてみる症状だ。まるで麻痺しているかのように、身体中が痙攣(けいれん)していた。このまま眺めているわけにもいかない。今は行動しなければ。住んでいる老人の家族に、


「ここに医者は?」


「いいえ、こんな辺境にある小さな村に医者など月に一回ほどしか来ないもんでして」


 なら、オレがやるしかないか。


「下がって。魔法をかけます」


「無理ですよ! こんな得体もしれない病気を治す魔法なんて……」


「今は信じてください。必ず助けますから」


 住人が絶望するかのようにうなだれるのを横に、オレは詠唱を開始する。身体に手をかざし、即座に病気の解析を始める。


完全復活(リザレクション)


 瞬時に対象にかかっている悪い症状を取り除く魔法。すると、みるみると老人の肌が元の健康な状態へと戻る。老人は身体が治っていることに驚き、


「なんと!? まさか治るなんて……これも冒険者の力か。なんとお礼をしたらいいか」


「別にいいんですよ。あなたが元気になったらのなら解決です」


 ひとまず、緊急の事件は解決したのだ。オレは家族が安堵している空間を後にし、外に出る。当然、オレの後ろにはルナもついてくる。


「なにかわかったんですか?」


「わかった……って言えば嘘かな。でも、なんとなくだけどあの症状の正体はわかった」


「それって!?」


「うん、多分、病原菌を持つモンスターの仕業だと思う。たしか名前は……『パラライザー』」


『パラライザー』とは帯電機能を保有し、敵とみなした対象に麻痺症状を与える狼だ。だが、ここで一つ疑問点が浮かぶ。


「で、でも、もしパラライザーが犯人だとして、あんな身体が紫色になりますかね?」


 ルナの疑問は最もだ。通常、パラライザーによる麻痺は身体の色が変わることなどないのだ。


「そこがわからない。どうしてあんな症状になったのだろうかが」


 それに、麻痺以外にも他の症状が解読中に見られた。それはパラライザーでは決して発生しない微量の毒や体力低下の症状が。もし他の者による被害だとしたら……いや、ここからは空想だ。深読みはしない方がいいだろう。


「とにかく、明日はもう少し深くまで探ってみよう。必ずパラライザーを仕留める」


「そうですね。このままモンスターたちの好きにはさせません!」


 いよいよあらわになった黒幕。討伐のため、オレたちは休息を取るのだった。






 すっかり夜になり、宿屋で明日に備え、早めに就寝していた。しかしオレはどうも寝付けず、暇な時間だったため、あらゆる薬を作っていた。少しでも薬を提供をすれば、オレがいなくても多少の病気ならなんとかなるだろう。


「誰かの役に立つのなら、積極的にこの力を使わないとな」



『――誰かを救うために、助けるためにその力を使え』



 神様から授かった言葉。果たしてオレはできているだろうか。今思えば、なんとも抽象的で誰を救えばいいんだろうか。だが、オレにとってそれがやるべきことなのだろう。


「あの月の向こうに、神様はいるのかな」


 夜だが、照らされる月明かりは松明の代わりとなっていた。どうやら今日は満月のようだ。空のもっと向こうにある存在、あそこには何があるのだろうか。そんなどうでもいいことをふと思ってしまった。


「――ご、ご主人様?」


 はっ、と振り返るとそこにいたのは寝たはずのルナだった。眠たいのか目をこすりあくびをしていた。


「ご、ごめん。起こしちゃった?」


「いえ、トイレへ行こうと思って、ついでにご主人様の部屋を覗いたらいなかったので外に出てみれば空を見つめているご主人様がいたので」


 えっと、たしかオレとルナの部屋は別々だよな。どうしてオレの部屋を覗く必要があったんだ?……まあこれ以上考えるのはやめよう。


「それにしても、今日は月が綺麗ですね」


「そうだね。こんな綺麗な月は滅多にないから見ておこうと思って」


 2人は並んで夜空を見つめていた。


「そろそろ冷える。戻ろうか」


「そうですね。明日も早いですし」


 オレたちは足並みを揃えて宿へと戻るのだった。そしてルナはオレの部屋の扉を開ける。


「ねぇ、なんで違和感なくオレのお部屋へ?」


「まあいいじゃないですか!」


 いや、よくないからね。なんとかルナを自分の部屋へ戻す。


「はいはい、さっさと帰ってー」


「もうっ、なんでですか〜!」


 オレは無視し、扉をバタンッと閉める。オレはベッドに身体を預け就寝する。1日を通してやはり違和感があった。


「――さて、明日には自分から正体を現してくれることを祈ろう」


 ポツリと呟き、就寝するのだった。

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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