24.そして〈ライアンパーティ〉は追放される
防衛戦は北門、シモンズ及び冒険者、南門はセレシアの活躍によって食い止めることに成功したのだ。皆が喜び、いたるところで盛大な宴が開かれていた。それはまるでお祭り状態だ。そんな中、俺たちはギルドの部屋に集められていた。テーブルを挟んで、シモンズがいる。
そして俺たちを集めたシモンズは重々しい空気の中、口を開いた。
「あらためて通告する。お前たちは今後一切、この街に立ち入ることを禁止する。これは確定事項であり、従わない場合は厳重な処罰を下す」
「……ッ!」
何も言えなかった。ガリアも無言であり、ピスカにいたっては何かに怯えているようだった。おそらく、あっちでも何かあったのだろう。
「それから、セレシア。ちゃんとパーティに自分の口から言うんだな。それがせめてもの慈悲ということだ」
セレシアは言われるがまま、俺たちの前にいく。一体なんのことだろうか。ガリアたちを見ると、ピスカだけが、目を見開き何かを悟っているような雰囲気だった。
だが大丈夫だ。たとえこの街から追放されたとしても、俺たちならまた別のところで強くなれる。今度こそハルトを潰すためにも強くなる必要がある。俺の心の支えとしてセレシアがいてくれればそれでいい。俺にとって、セレシアがいることだけが、唯一の希望なのだから……
「――私、パーティを抜ける」
今、なんて言った? パーティを抜けるだと! 馬鹿な、俺の聞き間違いのはずだ。
「お、おい、冗談はよしてくれよ。ははっ、急に何を言い出すかと思ったら」
「本当。それに、もうこれは決めたことだから」
なんでだよ……どうしてだよ!? だってずっと一緒だったじゃないか。そんなことは絶対にさせない。俺はテーブルがあることなどお構い無しに乗り上げ、
「もう一度考え直せよ! ずっと一緒だったじゃないか。たしかに俺たちはハルトを追放した。でもそれはアイツが何もしなかったからじゃないか!」
「それはあなたたちが気付いていなかっただけ。それに、私も言う必要ないと思ったし。だって気付かないほど弱いあなたたちが悪いのだから」
「ッ! テメェ、誰のおかげでここまでこれたと思って……」
俺は瞬時の抜刀にすら気付くことが出来なかった。俺の首元にはセレシアの剣が、あと少しで喉を斬るかのように迫っていた。
「――勘違いしないで。私は1人でもできる。もうこれ以上、私を頼らないで」
俺は後ろへ下がることしかできなかった。ガリアたちもその光景に口を出すことはなかった。
「そろそろいいか? これ以上、ここにいられても困る。明日になったらここを去るんだな」
シモンズに言われるがまま、俺たちは部屋を出た。
「チッ、クソっ! ……ふざけるな!」
「ラ、ライアン……」
「ライアン様……」
「心配すんな。また仲間を加えればいい。今度はもっとハルトより有能で、セレシアより強い仲間を……」
〜『剣姫』セレシア〜
ライアンたちは部屋を出た。壁の向こうでなにか叫んでるのが聞こえてくる。
「本当に良かったのか? ずっと仲間としていたのによ」
「いいの。あの人たちは私がいると成長しないし。それに、もう踏ん切りはついてるから」
ずっと前から悩んでいたがもう決めたのだ。だからこの前もシモンズに相談していた。
「そうか。それにしても、あの時、いきなりパーティを抜けたいって言うからどうしたのかと思ったさ」
いつまでもここにいたら、私も成長することができないからいい判断だと思う。
「それで、これからどうするんだい? 君がよければ、ギルドの専属冒険者として仕事を……」
「探す人がいる。もう一度、会わなくちゃ。だから私も旅をする」
するとシモンズは肩を竦め、
「まあ、そう言うとは思っていたさ。……ハルトか。どこに行ったのやら。案外近いところにいるかも」
「そう信じてる。私は行くから」
「気をつけてな。出会えることを祈ってるさ」
シモンズの言葉を受け止め、私も部屋を出る。
「待っててハルト……今行くから!」
私の旅の第一歩を踏み出し、ここからが新たなスタートだ。
〜ライアンパーティ一行〜
翌日、俺たちは街を後にする。歩いている周りにはかつて共に戦った冒険者たちがいた。皆は声を上げる。それは旅立ちの言葉ではなく、
「さっさと出てけ!」
「あんたなんかセレシアがいなきゃただのヘタレよ!」
「この街からさっさと消えろッ!」
まるで呪いかのように俺の身体にまとわりつく。俺たちは何も言い返せなかった。ただ歩き、門から出る。
「ちょっとの間で随分と変わったな。ライアン、どうする?」
「ライアン様、気にしないでください! あんな戯言なんて気にしない方が……いいです……よ」
慰めの声ですら掠れて聞こえる。
「なぁ、お前ら。ムカつくよな。ハルトも、この街も。だから、後悔させてやるんだ。いつか、俺たちがこんな奴らよりもっと強くなって、そしたら今度こそコイツらを見下してやるんだ」
俺は諦めない。最強の冒険者になるんだ。こんなところで立ち止まるわけにはいかない。この街を、シモンズを、セレシアを、何より、――ハルトに復讐するために。
「面白い!」
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