23.ライアンパーティの行方とその結末 ⑫ 〜南門防衛戦〜
〜『剣姫』セレシア&ピスカ〜
私とピスカはライアンたちがいる反対側の南門で防衛していた。
「何よっ! 邪魔だって言ってるでしょ! 私は優秀な魔法使いなのよ。モンスターなんかが私に構わないでもらいたいわ!」
ピスカが放つファイアボールはアンデッドに直撃する。そのままアンデッドは炎に焼かれ、死んでゆく。
「どうかしら、これが私の実力よ!」
私はそんな光景を横目で見ながらすでにアンデッドは数十体も討伐した。あれのどこがすごいのか、私にはわからない。剣しか振ってないからわからないのか、ピスカ自身が単純に自覚してないのか。まあ、他の冒険者よりは凄いけど、ハルトだったらどうなんだろうな。魔法は使えないって言ってたけどやってみたら案外使えそう。
「グオオオオオゥ!」
モンスターたちのおたけびがうるさい。とても耳に響く。
「……ねぇ、ちょっと黙ってくれる」
自分でも言葉に感情のこもってないのはわかる。それほどまでに心が動かないからだ。
『苦痛の剣技』
興味がないから、痛みを感じる無慈悲な剣撃でしか倒すことができないのだ。私の方は片付づいたが、ピスカはまだ手こずっていた。
「私の魔法が効かない! どうしてよ! さっさと死になさいよ!」
「ピスカ、大丈夫?」
「そんな心配してんなら助けなさいよ!」
言われて気づき、剣を振るう。たかがゴーレム相手に何をしているのだろう。魔法が効かなかったゴーレムは一瞬で切り刻まれる。
「もうっ、カバーが遅いでしょ! あんたね、もっと動きなさいよ! これだから無口は女は嫌いなのよ。ライアン様は私みたいな可憐で元気で一途な女の子が好きなのよ!」
ライアンの好みなどどうでもいい。なんでそんな話を私にするのだろう。周りを見渡すと他の冒険者たちが応戦していた。
「私、あっちやるから、あとはここ、よろしく」
「え? あっ、ちょっと待ちなさいよ!」
私は聞こえたけど聞こえなかったフリをして戦場を駆け巡る。
「ち、ちょっと! なんでさっきから魔法が効かないのよッ!」
「前線が突破されるぞ!」
1人の冒険者が声を上げ、私に知らせる。前線を任せたピスカを見ると、今にもモンスターに囲まれ、防衛ラインが突破されそうだった。もう、せっかく倒していたところなのに。ここから最速で向かう。
『瞬速の剣技』
地を蹴り、砂埃が舞う。50メートル近くある距離をわずか1秒足らずで駆け抜け、モンスターを切り裂く。
「嫌やぁぁぁ!……あれ、セレシア!」
「ここ、任せたっていったのに」
「違うのよ! さっきから本領が出ないというか……そ、そうアイツよ、ハルトが抜けてからおかしいのよ! 前より魔力が落ちたというか。全部アイツのせいだわ!」
私はまたスルーしようとしたが、その内容は黙っていられる内容じゃなかった。
「ねぇ、今なんて言った?」
「え? だから、全部ハルトが……」
「――あなたたちに何がわかるの? 全部ハルトのせいにして楽しいの? 自分の実力がもうレベル3にも到達してないってわからないの?」
思わず、本当のことを言ってしまった。ライアンやピスカたちが気づいていなかったこと。別に私にとって関係ないから言わないままでいたこと。
「はぁ? ちょっと、頭がおかしくなったんじゃないの? 私がレベル3じゃないって? 私は正真正銘、レベル3の魔法使いよ! ……なんで私があんなモンスターに負けるのよ」
「そんなの、ハルトがいないからに決まってる」
今だけは、私の言葉に感情があり、それはもう無我夢中に話していた。
「ダンジョンでトラップに引っかかる。いつもよりモンスターに攻撃が効かない。あれもこれも全部、ハルトのおかげでできていた。索敵魔法が機能していないから、支援魔法が発動していないから。あなたはずっとハルトの魔法をしゃぶって3年も生きた。それがこの結果、わかる?」
私は自分が思っている以上に、淡々と言った。当然、ピスカが信じるはずもなく、
「そ、そんなはずないわ! 私はずっとライアン様と修行してきたし、この膨大な魔力は私の才能であって……」
「たしかに、ハルトと出会う前はレベル3の力はあったかもしれない。最底辺だけど。だけど、あなたたちは知らない間に頼っていた。ただのハルトを嘲笑う冒険者になっていった」
全て知っていた。ハルトがパーティを追放される前、嫌な予感がした私はシモンズに相談していた。もう少し早く行動していれば追放されずに済んだもしれない。これが私の唯一の後悔だった。
「嘘……嘘よ、そんなのっ! だってレベル0よ!私より弱い冒険者に何ができるって言うのよ! 大体、あんな冴えない男にそんな大したことができるはず……」
「――何を言っているの? 私にもスキルの詳細はわからないけどあなたよりは強いと思う。それにハルトはカッコよくて強くて誰かのために行動して困っている人も助けて、そんな人をあなたたちと比べるのがおかしいわ。出会った時から気になっていたから声をかけてパーティに入れたのに、勝手に追放なんかして意味がわからなかった。せっかく告白しようと思っていたけど勇気がなくて黙ってしまっていた。けど私は……そんなハルトのことが好きなの!」
「!?」
おっと、つい口が勝手に動いてしまった。ハルトのことを考えると暴走してしまう癖は直した方が良さそうだ。こんな態度をとったのはパーティメンバーでも初めてだ。ピスカは驚いてしまったようね。
「ともかく、これで私もケジメをつけられる。私、パーティを抜ける」
「え……な、何をいってるのよ!?」
言葉に間違いか何かあっただろうか。ともかく、これは前々から決めていたことだ。ちょうどここがいい頃合いだろう。私の大切な人を追放した。だから今度は私があなたたちを追放する番だ。背後にいる最後のモンスターをスパンッと斬り倒し、北門防衛戦は勝利に終わる。
「――もうあなたたちはいらない。だから、私、パーティを抜けるから」
私、セレシアはパーティメンバーを見捨て、追放し、〈レベル0〉のことを追いかけます!
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