21.ライアンパーティの行方とその結末 ⑩ 〜北門防衛戦〜
「クソっ、面倒だな……オラァ!」
俺は大剣を振りかざす。たくさんモンスターを倒してきた。何匹も何匹もだ。しかし、なかなか減ることはなく、ただ体力が減る一方だった。
「ライアン……おかしいぞ。さっきより強くないか!」
言われてみればそうだ。序盤は簡単に倒せていた。だが今は攻撃しても倒れない。まるで不死身のように。そんな馬鹿なことはありえない。
「でも、こいつらは俺たちよりレベルの低いモンスターのはずだろ! 劣勢になることなんてあるわけないだろ!」
その防衛ラインはジリジリと後ろへ下がっていく。後ろを見ると、他の冒険者も手こずっていた。ダラしないな、こっちが全力でやってるってのに。
「おいお前ら! もっと真面目にやれって! このままだと負けるぞ!」
俺の言葉に眼鏡をかけた、俺より低いレベル2冒険者が口を開く。
「こっちだって一生懸命やってるよ! それに、さっきから突破されるモンスターが多いんだが! そっちもちゃんとやってくれ!」
「テメェ、今俺になんて言ったッ! 俺よりもレベルの低い冒険者が指図してんじゃねーよ!」
「ライアン! 今は仲間同士で争っている場合じゃない。防衛することだけを考えるんだ……クソっ!」
今も戦っているガリアの言葉で俺は正気に戻る。俺としたことが、あんな底辺冒険者の言葉に感化されるなんて。俺がこの街を救った冒険者になるんだ、相手にしている暇などない。
「悪い、どうかしてたのは俺の方だ。このクソモンスター野郎がッ!」
俺は立ちはだかるゴーレムに向かって大剣を振り下ろす。ゴーレムはレベル2相当のモンスターであり、俺の力であれば簡単に倒せる。
キィーーーンッ!
「なんだと!? 俺の攻撃を弾くだと!」
しかし、俺の攻撃は簡単に弾かれてしまう。俺の一撃はレベルが低いモンスターならすぐに倒せるはずなのに。
「調子に乗るなよッ!」
キィーーーンッ!
何度も攻撃するが変わらない。大剣は呆気なくゴーレムの身体に弾かれてしまう。そしてそのままゴーレムの反撃を受けてしまう。
ドスンッ!
パンチをくらい、後方へ飛ばさせる。そのしょうげきか、血反吐が地面に垂れていた。
「う、おえええ。う、クソっ、どうして……」
意識が朦朧とし、目の前の景色が歪んで見える。なぜ負けた、ゴーレムごときに。腹が痛かったが、なんとかして俺は立ち上がる。
「ライアン! 大丈夫か!」
かすかに聞こえるガリアの声を無視し、俺は負けた原因を考える。……そうか、俺は仲間を最大限利用できていなかったのか。俺はさっきの眼鏡野郎に、
「おいそこの眼鏡冒険者! ゴーレムの注意を引け。その隙に俺が倒す!」
「で、でも君はさっきあのゴーレムに負けたじゃないか!」
「ごちゃごちゃうるせぇな! さっさと行けよ! お前の命くらいどうでもいいんだよ。それとも、このレベル3の命令が聞けないのか! 」
「わ、わかったよ!」
しかし、レベル差があるモンスターに勝てるはずもなく、すぐに囮としての役割は終わってしまう。
「チッ、どいつもこいつも役に立たねぇな! さっさともう一回行けよ!」
「も、もう無理だ!」
アイツは倒れ込んでいる。どこかやられたのか動くのもやっとか。もう使えないな。……いや、まだ使えるな。俺はそいつの傍に寄り、無理やり立たせ背中を押す。
「お、おい……もう止めてくれ……死にたくないっ!」
どうだ、これで完璧な囮の完成だ。眼鏡冒険者は泣いて喚くが自ら動くことはできない。あとは俺が後ろからゴーレムを叩くだけだ。俺にとって、アイツの命などどうでもいい。むしろ無駄な命で終わらず感謝しろって話だ。
「うわぁああああああ!!!」
ドスンッ!
倒れている冒険者に、ゴーレムは容赦なく拳を叩きつける。顔を潰され、その後息をすることはなかった。よし、いい仕事をした。あとは俺がやってやるからな。俺は夢中になっているゴーレムの背後を取り、攻撃を仕掛ける。
「死ねぇッ!」
確実に背後を狙った一撃。ゴーレムは粉々に砕ける……はずだった。その身体は砕けることなく、のっそりと俺に振り返る。
「……なんでだよっ! なんで死なねぇんだよ!」
キィーーーンッ!
何度も大剣を振り下ろす。しかし変わらない。何度やっても、その攻撃がヒットすることはなかった。
「……やめろ。嫌だ……死にたくない……俺は死にたくないッ!」
その願いがモンスターに通じるはずもなく、さっきの冒険者を殺したその拳で命が儚く散る。
パァーーーンッ!
……その拳は俺に当たることなく、誰かによって受け止められた、乾いた音がした。俺は振り返り、その人物を確認する。
「――全く、避難誘導を終えて危ないだろう北門に来てみれば……お前は人の命をなんだと思ってる。お前は、死に値することをした。それを今、この大勢の冒険者がいる前でな」
「シ……シモンズッ!」
そこにいたのは、ギルド長であるシモンズだった。ゴーレムの拳を軽々と受け流し、カウンターで退ける。
「ライアン、お前は本当に残念なやつだよ。直々にチャンスを与えてやったのに、結局このザマか」
「何を……言ってやがる?」
俺はシモンズの言葉が理解できなかった。残念なやつ?チャンスを与えてやった?頭が追いつかない。
「いつまで自分の力は本物だと錯覚している。お前の力など、とうの昔に消えている。そうだな、あれは……そう、3年前にな。ハルトという冒険者に出会ったときからだ」
「面白い!」
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