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17.ライアンパーティの行方とその結末 ⑦

 それはライアンがハルトに出会う数時間前に遡る。


「さて、俺たちも動くか」


「そうだな、たしか俺たちは東か」


「ライアン様、ちゃちゃっとやってくださいね!」


 あれから一夜明け、ようやく討伐隊は動き出した。俺たちの担当するブロックは東だった。そもそも、たった一体のモンスターを討伐するのにここまでの範囲を警戒する必要はあるのか?まあ、ここで討伐すればいいだけか。


「ほら、セレシア行くぞ」


「うん」


 俺たちが移動するとその後ろをセレシアがついてくる。周りを見渡すと、昨日のボロ冒険者は北東の森へ向かっている。案外近いな。


「あの冒険者野郎、どっかで見た気がするんだよな。わかるか?」


「さっぱりだ。俺の記憶にはないな。それよりも、一度状況を把握してから……」


 俺はガリアの発言を聞き流しながらそいつを見ていた。2人組の冒険者か。金も持ってなさそうなのに、よく奴隷を買えたなと思う。それに、武器も持っちゃいない。どこかのクソ野郎とそっくりだ。


「てなわけだ。っておい、ライアン、聞いているのか」


「ああ、それでいい。状況把握は任せた。俺は見つけたらぶっ倒すだけだ」


 俺たちが負けるはずなどないのだから。





 あれから2時間が経過していた。しかし一向にモンスターが現れることは無い。


「本当にいるのか? 平和すぎて昼寝できるぞ」


 ちょうど平原であり、天気も快晴だ。暇さえあれば昼寝ができるが、そういうわけにもいかない。たとえここに狙いのモンスターが現れず、別の場所に現れたとしても俺はそこまで行くつもりだ。それくらいの覚悟がなきゃダメだ。


「まあいいじゃないか。久しぶりにこうやって4人でいるんだから」


「そうよライアン様、私はずっとあなたの近くにいたいわ〜」


 たしかに、ここ最近は立て込んでいたからこういう機会もなかったな。セレシアもこういう休息は必要だろう。だが、まだセレシアは浮かない顔をしていた。


「どうしたよセレシア、なんか気になることがあるのか? 相談に乗るぞ」


 ここで手を差し伸べる俺、カッコイイな。自分に溺れてしまいそうだ。


「ライアンもさっきの冒険者、どこかで見たことあると思わない?」


「まあ言われてみればそうだが……けど、ガリアも言う通り気のせいだろ。冒険者なんていっぱい出会ってるし、一人ひとりの顔なんて覚えちゃいねーしな。それに、今は関係ないだろ」


「うん……なんか、ごめん」


「いいんだよ。なんかあったら遠慮なく相談してくれ」


 そう言い、肩を叩いたその時、



 ドンッドンッドンッ!



 と音が鳴り響く。


「なんだこの音!」


「ライアン様怖い〜!」


 ガリアとピスカが叫ぶ。その方向を見ると、あのボロ冒険者がいた森の方角だった。おそらくそこにあのモンスターが出たのだろう。


「クソっ、そっちかよ。仕方ねぇ、俺は今すぐあっちへ行く! お前たちはここにいとけ。俺1人で片付けてやる!」


「待てっ! そしたら指揮をするのは誰が!」


「さっき言ったろ、お前が状況把握しとけって。俺は急ぐから!」


 俺はそう言うと、その場を駆け出す。急がないと、手柄が取られてしまう。まあ、あんな弱っちい冒険者が倒せると思えないけどな。だとしても、アイツを囮に使えば楽勝に勝てるだろう。


「――待ってろよ、最強はこの俺だ!」





 〜剣姫セレシア〜



 ライアンがどこかにいってしまった。言うことも聞かずに。でも彼がリーダーなのだからいいのか。


「クソっ、ピスカ、俺たちも行くぞ!」


「えっ、でもライアン様がああ言ったし私は」


 なんか揉めあってるみたいだ。私にはよくわからない。今まで一緒にいたけど何一つ。けど、私は違和感に気づき、ライアンを追おうとしている2人を制止させる。


「待って、今ここを離れちゃだめ」


 興奮しているガリアは反応し、


「どうしてだセレシア。ライアンが行ってしまった以上俺たちも……」


「聞こえるの、音が。何かが近づいてくる」


 その瞬間現れたのだ。大群のモンスターたちがこちらに接近してくる。


「なんだよこれっ!」


「やだ〜! なんでこんなにモンスターが!」


 もし、ネビルドラゴンが現れたのなら周りのモンスターたちが逃げてきたのだろう。


「今は戦闘態勢、襲ってくるモンスターを狩る」


「お、おう。仕方ない、やるしかないな」


「よ、よく見たら弱いモンスターしかいないじゃない。ふふん、私の魔法の力見せてあげるわ!」


 各々がモンスターと対峙する。今はこれでいい。ハルトの力がないのに、ここまでやれてる仲間を見て驚いたが、私もやらないと。


「ごめんね、モンスターさん。私の剣で死んでくれる?」





 〜リーダー・ライアン〜


「どういうことだよこれはッ!」


 向かっている途中、多数のモンスターと出くわした。さっきまではこんなモンスターたちはいなかったのに。


「邪魔だ! どけっ!」


 大剣を振りかざし、なんとか撃退する。どうだ、俺に歯向かおうとしたのが悪いんだよ。それからもモンスターを倒しながら森の入口へと進み、いよいよ到着した。


「はぁ、ここまで体力を使ったが、まだドラゴンを倒すくらいなら余裕だな」


 さっさと見つけてボロ冒険者を囮にして倒してしまおう。まだあの冒険者が死んでないといいが。


「しっかし、この森の中をどう探すかな」


 どうやって見つけるか考えていたその瞬間、衝撃音が鳴り響く。なんだ今のは。まさか、ドラゴンとやり合っているのか。なら、都合がいい。やり合っているのなら瀕死のところを狩ってしまえば楽に終わるしな。


「さっさと行くか!」


 俺は地を蹴り、急いで向かう。木々を抜け、ようやく音がした場所へ辿り着いた。


 そして俺は目にするのだ。それは、すでにネビルドラゴンは倒され、横になっていたのだ。そしてそれだけじゃない。そこにいる冒険者だ。フードを取り、仮面を外したその冒険者を、()()()()()()()()()()。いや、正確にはかつての仲間だったのだ。


 思わず、その姿に俺は声を漏らしてしまう。


「――おい……なんでだよ。お前……まさか……ハルトか!?」


 少しの間、頭が働かず、立ちつくすことしかできなかった。

「面白い!」


「続きが気になる!」


「早く読みたい!」


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