10.村に来たらいきなり緊急クエスト発生しました
「それで、これからどうするんですか、ご主人様?」
「何度も言ってるがその呼び方はやめてくれ」
つい昨日、ダンジョン攻略した結果、あの『妖精族』が仲間になった。と言っても、行く宛てがないから仕方なくだけど。それと、助けたらなんか変な呼ばれ方をされている。正直恥ずかしい。
「それと、ここから近い村にでも行こうと思う。これ以上野宿は女の子にさせられないしね」
「わ、私は……ご主人様の隣にいれればそれだけで十分です……」
なんかモゴモゴ言っていて何を喋っていたのか聞き取れなかったけど、まあ大丈夫だろう。
「そうと決まれば、さっさと行こうか」
「はいっ!」
こうして俺たちは東にある村を目指し、レベル0と『妖精族』という珍しいパーティは進むのだった。……あとその呼び方変わらないのね。
「ここがナクマ村ですか」
「そうみたいだね。ひとまず宿屋を探そう」
歩いて一時間ほどで到着した村はごく普通だ。人は少ないものの、にぎやかだった。
「ルナ、はいこれ」
「これは……なんですか?」
オレはルナにフードとマントが一緒になったものを渡した。
「世間的に『妖精族』は絶滅したって認識されている。もし他の人にバレたりしたら何をされるかわからないからね。前にオレが使っていたものだけど嫌じゃなかったら使ってくれ」
「あ、ありがとうございますっ! もう一生大事にします!」
そう言ってそれを鼻に当てクンカクンカと嗅いでいた。ねぇ……それはやめた方がいいよ。結局言えずに流してしまった。まあ喜んでくれているならいっか。
「宿屋に行ったあとはギルドに行こう」
「こんな村にもギルドってあるんですか?」
「あるよ。て言っても、街ほどではないけどね。クエストの掲示板とパーティとパーティ登録ができるくらいだけどね」
ギルドは世界に展開されている大規模な組織だ。街にいた頃はお世話になっていた。ギルド長のシモンズさんにはいろいろと教えてもらったな〜。そんなことはどうでもよく、これから生きてくには、ギルドの存在が必要不可欠なのだ。
「これで私も冒険者ですね!」
「そうだね。でも、まずはパーティ登録しなきゃね」
「はいっ!」
まずは宿屋にきた。とにかく今日の寝床を確保しなくては。
「あら、旅人さん、2人かい?」
「はい。えっと、2部屋ありますかね?」
「ちょっと待ちな……あら、ごめんね、今日は満室でね。あと1部屋しかないよ」
カウンターにいた宿屋のおばあさんに聞いたら、まさかこんなに埋まっているとは。
「ルナ、どうする? もし嫌だったらオレは外でも寝れるけど。やっぱり女の子は1人のほうがいいよね」
「いえ、私はご主人様のお傍で構いません!」
いやー、オレの方がちょっと気まずいんだが。こんな女の子と同じ部屋で寝るなんてことはなかったし。けど仕方ない、ここは男を見せろよハルト!
「そうか。じゃあそういうことなんでお願いします」
「わかったよ。けどねぇ、カップルさんなら最初からそれで良かったんじゃないの?」
「「カップルじゃありません!」」
思わず2人同時に叫んでしまった。その後互いに顔を合わせ、赤くしたまま目をそらしてしまった。全く、このおばあさんは何を言うのか。
一方ルナは、もう、私はご主人様の奴隷なのに、そ、そんな恋心なんて……だ、だ、だ、ダメですっ!なんと思っていることは誰も知らないのであった。
宿屋での一悶着を済ませ、オレたちはギルドへ向かった。簡単にパーティ登録済ませる。あとは少し待ってギルドカードができれば完了だ。
「意外と簡単なんですね」
「難しいことはないよ。あとはどれだけ成果を上げれるかによって報酬が変わってくるし、ここからが本番だからね」
「なるほど。で、あれがクエストですか」
ルナは掲示板に指をさす。
「そう。そこでクエストを受注してクリアすると報酬がもらえるんだ。今のオレたちなら……これくらいが妥当だろう」
ひとまず簡単な採集クエストを受けようとしたその時、
「冒険者様、どうかお助けくださいませ」
振り返ると、そこにはこの村のひとであろう老人がいた。
「一体どうしたのですか?」
「それが……この村の周辺に手強いモンスターがおりまして。村のものものたちがたちが困っているんですよ」
それは大変だ。ただえさえ小さい村なのに、モンスターのせいで生活に支障が発生しているのなら尚更だ。詳しく聞く必要があるな。
「それで、そのモンスターというのは?」
「はい、ここらでは現れないはずなのですが……レッドドラゴンでして」
「そうか……それは厄介だな」
レッドドラゴンか。オレがが神妙な顔をしているとポカンっとルナが聞いてきた。
「ご主人様、レッドドラゴンって強いんですか?」
ルナがわからないのも仕方ないか。オレはわかりやすく説明する。
「本来、レッドドラゴンは高レベルのダンジョンに出現するんだ。それがこんな村の近くに現れるとは」
「この近くの森で生息していて、木こりの村人が大変困っているんですよ。どうかお助けください」
老人は頭を下げてお願いをする。オレたちもここに来たばかりだ。ルナにいろいろと教えてやりたかったが、むしろ好都合だ。
「どうか頭を上げてくたさい。そんなことしなくても、困ってる人を助けるのが冒険者の使命ですから。いいだろ、ルナ?」
「はいっ! 私はご主人様についてゆくだけですから!」
老人は受けることにしたハルトたちに感謝を伝える。
「本当に感謝します。このお礼は必ずや」
こうして突如緊急クエストを受けることになったハルトたちだった。
「面白い!」
「続きが気になる!」
「早く読みたい!」
と思った方は
下にある『☆☆☆☆☆』から作品の応援してもらえると嬉しいです。
面白ければ『★★★★★』、つまらなければ『★☆☆☆☆』
正直な感想で大丈夫です。
ついでにブックマークも登録して頂けると作者の励みになります。
よろしくお願いします!