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しゃらん…しゃらん…、しゃらん。

どこなら鈴の音が聞こえる。全身をふわふわ黒いモヤのようなもので囲まれてるせいか、何も見えないが少しだけ近づいてきているのが分かる。音が近くに聞こえるようになったから鈴の音だけではなく誰かが踊ってるような音も聞こえる。歌など聞こえないがその音は何となく悲しそうに感じられた。


『ねぇ』

急に頭上から声が聞こえた。小鳥とも鈴の音でもないが美しい声だが威圧感も感じられる。


「なんだ……?」

色々聞きたいこともあったが、有無を言わさない声のせいだからだろうか。俺はその声に反応してしまった。もっといろいろ聞けただろうに……


『貴方からは、命の匂いが二つ感じられるね。ねぇ、頂戴?』

『私と、あの子の分を。』

『二つに割って頂戴。イラナイヨネ。大切な人を殺して奪った命なんて』

急に声が二重に聞こえた。いや二人いる?

「俺の命が二つ?何を言ってるんだ……。」

そういった瞬間、俺の目の前のモヤ消えて目の前には泣きはらした鏡宮が俺の頬めがけてビンタしようとしていた。


「いや、ちょ!」

「目を覚ませ!鶴崎ぃいいいい!」

ばっちーーん!細い体のどこに隠されていたのだろうか、そんな力。俺と鏡宮の対格差は身長だけ見たら20㎝だったはずだ。俺は、おもいきり吹っ飛ばされた。


「いたい、ぞ。鏡宮。」

そう告げると鏡宮ははっとした顔で吹っ飛ばされた俺の所まで、走ってきた。


「だ、だって。目、覚まさなかった。怖かったんだよ!僕が作った風船式神で校庭へ落ちた時の衝撃を吸収されるけど受け身を取らないとは思わなかったんだから……」


成程、俺は校庭から落ちた後気を失っていたらしい。んで、心配してくれた鏡宮が俺を起こそうと起きる方法を考えて頬に全力ビンタしたわけか。


「確かに、起きられたけどもっと優しく起こせよ。んで、式神って鏡宮、何?陰陽師なの?」

俺は、ずっと聞きたかったことを聞いてみた。廊下に投げていた白い紙も式神なんだろうか。


「ビンタの件は悪かった……。式神の件か。少しだけ歩けるか?僕の家に来て欲しい。そっちのほうが安全だ。」

「確かに。ここにずっといるとまた異形に襲われるかもしれないからな。分かった。行こう。」

俺は、近くに飛ばされていた鞄を拾い歩き出した。少しだけ体がズキズキするがまあ歩けるだろう。

「歩けるなら心配なさそうだが、これを渡そう。家に伝わる生薬だ。飲めば少しだけ楽になる。」

「苦そうだな……。鏡宮は大丈夫なのか?」

そういうのって貴重なんじゃないか。見たところ、栄養ドリンクみたいな瓶と色をしている。

「あぁ、あと5本は持っている家にも沢山あるから安心しろ。さぁ遠慮なく飲むといい。」

俺は、覚悟を決め飲んだ。

「くぁwせ@@;:@」

想像していた何倍も不味く体は痛い辛い熱い寒いが一気に起こり軽く気を失いそうになった。

「どうだ?僕も最初飲んだ時は不味さで同じ表情をしていた。だが効く。効くのだが…不味いよな…」

「……あぁ。水、飲むか。」


俺たちは、鏡宮の家へ歩き始めた

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