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02夜:人生再スタートしました!

こんにちは、KUROKAです。

第2夜少し書きました!後半はまた後ほど!

それでは、どうぞ。

これは、遠い記憶。

2人だけの、大事な記憶。

白いワンピースの少女と少女より小さな男の子は、2人で夜の草原で横になって月を眺めていた。

コオロギの鳴き声、風が涼しい。

今日は満月。


「ねー。ボクちゃん、あたしのことどう思ってる?」


しばらくの沈黙を破って少女が男の子に話しかける。

「...き、急にどうしたんだよ...ねーちゃん」

男の子はふてくされるような反応をする。

いつかこの時が来ると、今日がその日なんだと幼いながらもわかったのだ。

別れの日。

男の子の反応から全てを察した少女。

ふてくされるような、泣くのを我慢するような、そんな横の男の子を見て切なそうな笑顔を浮かべる。

「ボクちゃん。約束、覚えてるよね?」

「......うん。」

「今日が、その日だよ」

「...うっ...うっ...」

堪えきれなくなった男の子は、今まで我慢していた涙をこぼして静かに泣きだす。

「ボクちゃん...」

そんな男の子の様子を見て少女はゆっくりと起き上がると、男の子に近寄って優しく抱きしめた。

「ねーちゃん...行かないで!」

男の子の本音が草原に響き渡る。

胸が痛くなる少女は、自分が泣くのを堪えるように男の子をさらに強く抱きしめた。

「だーめ。約束でしょ、ボクちゃん」

「...でも...うっ...うっ...」

満月が雲で隠れて、辺りが少し暗くなる。

しばらくの沈黙。

「...ボクちゃん。もう時間がない」

沈黙の間も、男の子を強く抱きしめてた少女はそう言うと起き上がる。

ワンピースが風でなびく。

「ボクちゃん。もうすぐ君はあたしを忘れてしまう」

起き上がって少女に近づこうとする男の子。

ほんの少しの距離なのに、これ以上近づこうとしたら少女が消えそうだと思って近づけない。

少女は男の子に対して終始さやしく笑っていた。

その笑顔は恋人に向ける表情そのもの。

「あたしが消えても、あたしがボクちゃんにやったことはずっと消えない」

「ねーちゃん...!」

少女は続ける。

「今日までのあたしの記憶は...もうすぐ、ボクちゃんの中から全て消える」

「............。」

「記憶がなくても、いつか“それ”を頼りにあたしに会える日が来るかもしれない」

「うっ...ううっ...」

胸が苦しくなる少女。自分に残された時間に心が追いつかない。

でも、少女は涙ひとつこぼさず、優しく笑っていた。

「ボクちゃん、泣かないで。あたしを見て」

そう言われて、少女を見る男の子。

涙で視界がぼやけているが、見慣れた少女のシルエットを愛おしく見つめる。

「お別れのボクちゃんに、最後にひとつ...」

満月の光が少女と男の子を照らす。

少女の頬にも涙がこぼれていた。


「あたし...アルテミスは、ボクちゃんを...ウラを...愛してる。」


男の子の視界が急に暗くなった。

今日も読んでくださりありがとうございます。

コメント待っています。

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