第七話 別人格と涼
しばらく時間が経ち、落ち着いたところで涼たちは宿泊室にいた。
丁度、時間が来て花火大会が始まった。皆がホテルのベランダの方へ歩いていく。
誰もが視線を夜空に向けた。
ドーン!
花火が大きな音を上げて次々と上がっていく。
「そういえば、今日は花火大会も重なっていたな」
涼はそう言うと部屋の後ろのほうから窓際ではしゃいでいるみんなの方へ行く。
「窓から見えるのか」
眠たそうな顔で欠伸をしながら口を手で押さえて涼は関心なさそうな短絡的な声で言う。しんだそうな顔で真面目に見ようとしなかった。
「涼師匠も見てくださいよ。あれ綺麗な緑色の大きな花火ですよー」
翔はビデオでズットその緑色の花火を録画する。隣にいた若菜がビデオを覗き込んで顔を近付けて口を開いた。
「ほんと、綺麗な緑色の花火だね」
若菜が笑顔で言った。涼はいっても感心ないようで、そっぽを向いていた。
「……!」
涼は訝しげな表情をしジッとかたずをのんでいた。
後ろからカナが忍び足で近付いてくる。ビデオを回しながら撮っていたそのレンズに反射してカナの姿が映ったのに翔は気付いた。
翔はにんまりして黙り込んでいる。
「もう、消えたっスな」
翔はニヤリと笑みを見せ、涼の気をそらそうと花火に注視するようなことを言った。
その時だった! 涼に悲劇が起こった!
「涼せんぱーい!」
むぎゅう!
「んぅ、あぁ、ぐるじいぃ! 何すんだ、カナちゃん!」
カナが涼の後ろから首に手を回し、思いっきり後ろの方に足を浮かし体重を掛けた。
「んがぁ!」
涼は身体が曲がり後ろの方にこそうになった。悶え、かなりせこそうだ。
「良かったですぅ。いつもの涼せんぱいですぅ! さっきは、何だか別人みたいでしたですぅ」
カナは心配そうな面持ちで話し、足を地面につけ、体重を掛けるのを解いた。
「別人? なんだそりゃ?」
「師匠、さっきの殺人事件の謎解いたこと覚えてないッスか?」
翔が唖然とした面持ちで訊く。
「う~ん、悪いが風呂場に行ってから、その後がまったく記憶にねぇんだ」
いうと、一同に動揺が走り、しばらくの間、イタチゴッコは続いた。
カナが口火を切って続けていった。
「声も少し違いましたしIQ250以上って野志穂警視が言ってましたよ」
「ほんとか? 俺はIQ10だぞ」
「まったく記憶にないのね」
若菜が呆れた顔で言い返した。確かに別人格はいた。髪の色も目の色も違ったのだから。
「でも、カッコよかったですぅ。ほれぼれしましたですぅ」
カナが嬉しそうな顔で飛び跳ねながらいった。
「おい、翔、ビデオ回すな!」
翔はジロジロと周辺を周りながら涼の照れた顔を撮ろうとした。涼はジト目でよじり言い牽制した。
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