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タイトル詐欺シリーズ

異世界チート嫁ハーレムの最強勇者! 〜タイトル詐欺にも程がある〜

作者: 陽乃優一

ジャンル/キーワード詐欺はしていませんよ?(保険)

「まず!ここ異世界じゃねえだろ!」

「あ、はい、そうですね。まあ、いいじゃないですか。多くの日本人にとって、外国は異世界のようなところと言われているようですし」

「比喩の話なんかしてねえよ!」


 トラックに轢かれそうになっていた子犬をかばって、俺は死んだ。残業残業、徹夜徹夜で疲れ切った体を押しての、文字通り必死の行為だった。

 ‎気がついたら、何もない真っ白な空間に漂っていた。ここがあの世なのかと思ったら、私は神だと言う声が聞こえてきて、俺を生き返らせて異世界転移させるという。

 ‎ひゃっほー憧れの異世界だぜーと、ここぞとばかりに『特典』をねだった。機嫌損ねて何もなしという可能性もあったが、なーに神なら寛大だろうと、いくつも並べたてた。


「全部叶えるっていうから、ウキウキしていたのに…」

「叶えていると思いますけど?」


 見渡す限り人っ子ひとりいない、どこかの国の山の上の高原のど真ん中に俺を落として、なぜ叶えたと胸を張って言えるのだろう、この自称、神は。

 ‎いや、声しか聞こえないから、本当に胸を張っているかはしらんが。アイドル声なのが余計にムカつく。残業帰りにたまたま見た深夜アニメで主役やってた声そっくりだ。


「一万歩譲って、ここを異世界みたいなところとしよう!チートはどうした、チートは!」

「3つほどあなたに付与しました。ひとつは、触れただけで他の人の心を読む能力」


 おお!


「あなたの心の中もダダ漏れになりますが」

「意味ねえ!?」

「御心配なく。現地点から半径500km以内に人はおりません」

「ますます意味ねえ!」


 500kmって、えーと、東京と大阪の間くらいか?心の中どころか人影すらないじゃねえか!下手すりゃ、一生!


「ふたつめは、なんと!水が出せます!無尽蔵に!」

「誇らしげに言えるほどのチートかよ」

「何を言ってるんですか!水道がなく、川もはるか遠くにある、交通手段が何もない土地柄なんですよ!?全く、これだから『水はタダ』とか思い込んでいる日本人は!」

「逆ギレされた!?」


 みっつめのチートとやらもアテにならんか、これは。


「失礼な。話は最後まで聞くべきですよ?」

「触れてないのに心の中がダダ漏れ!?」

「私は神ですから。みっつめは、あなたが最も望んでいたハーレム!」

「有効範囲がやっぱり半径500km、とか言うんじゃないだろうな?」

「な!?あ、あなたに神の心を読む能力なんて付与してないのに!?」


 うん、わかった。こいつ、神は神でも駄神だわ。あーあ、そういうパターンかあ。せっかくウハウハ転生できると思ったのになあ。


「あ、転生は順番待ちが膨大に発生していますからダメですよ。だから、生き返らせて転移させたんじゃないですか!これだけのことができる私を駄神だなんて!」

「だから、逆ギレやめろよ!よーし、そこまで言うなら、最後のアレはどうした!『最強勇者』は!」

「あなたが子犬を助けた時点で最強勇者じゃないですか。そこまでお人好しな性格、最強の勇者ですよ」

「比喩はもういい!」


 ちなみに、あの子犬は見事助かり、飼い主の下に戻ったそうだ。なお、子犬かと思ったら種族的には既に大人な年齢らしく、平均よりも遥かに強力な体力を有し、何匹ものメス犬とたくさんの子供を作り、死んだ後は最強の勇者に異世界転生することが宿命づけられている魂の持ち主らしい。…などと、なぜか自慢げに語る駄神。


「もう、チートどころか、人並みの生活すら送れないじゃねえかよ…」

「あ、生き返らせた時に強靭な肉体にしましたからね。数百年は飲まず食わず、眠る必要もなく、ずっとずっと健康に過ごせますよ」

「望んでないチート来た!?それに、そんな体なら水出せるチート要らんだろ!」

「あなた、何百年も体を洗わない気ですか!?不潔ですね!」


 違う。何もかもが違うだろう、これ…。


 あ。


「そういや、『嫁』はどうした?」

「…え?」

「おらおら、たとえハーレム要員でも、相手が嫁とは限らんだろ?ん?どうなんだ?」

「…し、しかたがありませんね…」


 俺の前に、ぱあああっと、光があふれる。

 ‎その光が消えた後に、現れたのは、


「私は、この世界の神へと転生する前は、別の世界の王国で、人々に『癒やしの聖者』と呼ばれていた、王族のひとりでした。もともと神にも等しい能力を備え、国に富をもたらし、怪我や病気の者達を治癒してきました。寿命が尽き、神として活動するようになった今も、前世の若かりし頃の姿と能力を、こうして実体化させることができます。こんな私でよろしければ、あなたと、一生…」


 と、それはそれは美しくも麗しい姿の…


「って、お前、男じゃん!」

(白目)

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