あいうえおで綴る雨の詩
雨が降り始めた
いつかの日のように 強い雨が
生まれ落ちたことさえ 責めるように
得られなかった温もりを 流すだけの
「おかえり」 言ってくれる人はいなくて
隠していた想い 溢れ出した
気付かなかった大好きと
狂い出した歯車との間で
ケラケラ人形の笑い声
この胸 焼き焦がした
咲き乱れた美しい花は
幸せを映し出すようで……
涼しげな顔で余裕を謳う僕の
背中で舞い散ってしまっていた
そのことにも気付かない僕
沢山の愛と幸せも洗い流して
ちょっとの幸せを手にする為 藻掻いていた
辛い世を 身勝手にも責めながら
手を伸ばせば届く距離だったのかもしれない
届かないと そう決めつけていただけで
何も知らないと逃げていただけなのかもしれない
逃げるしかないと そう自分で弱くなっただけで
濡れた頬も雨が隠す
眠れぬ夜へ雨が誘う
残されたものさえ雨が奪う
馳せた想い かの約束
一人で想う 遠い日々
二人で重ねた 遠い日々
変化を望まぬ僕は
星の見えぬ空の下 置き去りのまま
待って 置いて行かないで
見えないものを探そうとして
無理した笑顔を見逃していた
巡り廻る季節の中に君はいなくて
もう一度なんて叶うはずもなくて
やってきた季節を憎むしかなくて
雪が降る日も 雨の日と同じ匂い
酔い痴れた日々も 雨で流れていた
ラメ入りですか 輝いているのは
理由もなく 雨が輝かせているのですか
涙腺が緩んでいき 頬にも雨が流れる
冷凍されていた心も 解けて雨と紛れる
濾過してもしきれない
忘れられない思い出だから