船の乗務期間について
船の勤務体制についてお話ししたいと思います。
組合に入っている会社ですと、貨物船の場合、乗船期間は約三ヶ月間です。フェリーだと約二十日間。休暇は貨物船で一ヶ月。フェリーだと約十日間が一般的ですね。
組合に入っていない会社ですと、乗船期間はまちまちです。乗船期間五ヶ月、休暇は一ヶ月、なんてこともあります。
これも日本の場合の話です。
欧米だと、船員の乗船期間は四ヶ月以下、休暇は乗船期間と同等を与える、と定められてるところが多いです。(日本は船員さんにキビシイのですよ。世界でも船員さんを冷遇するのは、日本と台湾ぐらいではないでしょうか? どちらも島国なのにねぇ?)
陸上の平日勤務、土日休みという勤務体制が、海バージョンではそのようになるというわけですね。
どうしてそんなに勤務時間が長くなるのか?
海ではそのような勤務体制が当たり前だと思っておりましたので考えたこともありませんでしたが、やはりこれは、交通費がもったいないからではないでしょうか?
いちいちこまめに下船させていると、交通費だけで膨大な額になるでしょう。
フェリーは航路が決まっておりますが、貨物船はその時々で変わります。
主人が乗船する港、下船する港は毎回違います。北海道で乗船し、九州で下船する、という事もあります。
交代要員の方に問題があって、乗船期間が延びる、ということはザラです。
主人はよくそれに当たり、半年乗っていた、ということが何回もありました。
(交代要員の方が退職した、交代要員の方に不幸事が、交代要員の方、又は家族の方の体調が不調……等々)
船は、何か問題が起こるか、ドック(皆さんご存知だと思いますが、人間ドックの語源ですよ)に入らない限り、休まず走り続けるのが基本です。止まっちゃったら、日本の物流がストップして大問題になっちゃいますからね。
正月休みがある船はありますね。貨物の会社が休みでは、運ぶ貨物が無いのでそのときは船もとまることがあります。でも、仕事はメンテナンスや掃除等、あったりします。正月中だけは、交代で帰宅出来る場合もあります。(誰かは乗っていなきゃならない。ちなみに司厨員さん《賄い食を作る方》はちゃんと正月には豪華なお節料理を作って出します)
船乗りの醍醐味としては、連続勤務をする代わりに、長期休暇が取れる、という点。これに尽きます。
海外旅行も休みの度に行っちゃえ!
ガンガン働いた分、休暇中は湯水のように金を使ってやるぜチクショー!
という。
それが魅力なのに、ゴールデンウィーク等の連休に休暇がぶちあたった船乗りさんはショックです。
みんなが休みの時に、オレも休みじゃ面白くねえよ! みんなが汗水たらして働いているときに遊ぶのが醍醐味なのに!
(主人は、サイクル的にいつも休暇がゴールデンウィークにぶち当たる)
それでもほとんどの船乗りの方は、生まれ変わってももう船乗りにはならない、自分の子供は船乗りにさせない、とおっしゃる方が多いです。
毎日、帰宅できるというのは本当に尊い事なのです。
どんなにキビシイ辛い職場であったとしても、例え短い一瞬の間だけでも帰宅出来る陸上の方は社畜とは言えない。家に帰れるその時だけは、気が休めるでしょう? 船だと二十四時間プライベートも上司といつも一緒ですよ。
そう、船乗りこそ社畜!
以前にも申しましたが、お金を貯めたい、次にしたい夢がある、連続勤務の苦痛より長期休暇のメリットをとる! という方にオススメの職業です。