山の幸 海の幸
最近、母が作ってくれた『山葵菜漬け』を食べ終えてしまいました。
この春先の時期のお決まり山の幸はだいたい、今年も味見し終えたかな?
ふきのとうに始まり(てんぷらもふき味噌も賞味しました。そういえば今年のふきは全然、苦くなかったです。なぜでしょう? 冬の気温が関係したりするのかな)土筆、タラの芽、ワラビ、タケノコもこのあいだいただきました。
タケノコが大好きな私。この時期は毎日、毎食、食べたいくらい。
吹き出物ができてしまうのをわかっていますが、それでも止められません。
私の大好物、を上から順にあげていきますと……タケノコ、白子、生麩、じーまーみ豆腐……。
どうやら私の好みにはテクスチャがおおいに関係するようです。
一度、竹林で掘ったばかりのタケノコの刺身とか焼いたタケノコを食べてみたいなあ。
そういうツアー、探せばありますよね。
山の幸がふんだんに味わえる田舎に住んでおります私。
キジ肉やしし肉、鹿肉も子供のときから味わいました。
秋の味覚のマツタケもじゅうぶんに味わうことのできた幸せな子供時代を送った私ですが。
それでも海の幸には山の幸は到底、かなわないだろうなあ、と思うのであります。
海のない県で育ったもので、海辺の旅館に泊まったときの豊かな海鮮料理にはクラクラします。
新鮮な刺身! 世界中のなによりも尊いご馳走!
専門学校のときに、同級生でお父さんが漁師さんをされている子がいまして。
『もう、私、普通の刺身で食べる部分には興味がおこらんというか。脳天とか、目玉とか、そういうゲテモノ部分にしか私、食指が動かない』
なんて彼女の発言に。
なにそれ、超! うらやましい!
と思った記憶があります。子供のときから食べ飽きるほど刺身を食べてきたんだろうなあ。なんてうらやましい人生。
こんな私は船で仕事をしていた時、とても幸せでした。
普通ならばありえないほど、刺身を食べることができる機会があったからです。
船内の食事で夕食に刺身を出した際、食べない乗組員(若い客室乗務員の女の子は刺身が食べられない子が多かった)がいますので、どうしても残りますよね。
その分は、全部調理部がいただきます。
次の日は朝から漬け丼祭り! 残っていれば、その日の昼間も夕食も。
ああ、なんて私、幸せ。幸せをかみしめて、食べておりました。
漬け丼の漬けはもちろん、九州出身のシェフが教えてくれた『りゅうきゅう漬け』。
みなさん、ご存じです? 私は船に乗るまで食べたことがなかったです。あまりにも美味しいので、今でも刺身が残ったときにはこの漬けをつくります。漬け丼はこの漬けが一番だと思います。
作り方
※ マグロでもいいですけど、ブリやカンパチなどの白身魚のほうが美味しいですね。醤油2、みりん1の割合(好みで甘め、辛め、調節してください。お酒、お酢を少々いれても味がしまっていいですよ)に、しょうが、青ジソ、ネギの薬味のみじん切り、ゴマを加えた漬け汁に、刺身を入れ、約十五分漬けます。(それ以上漬けてもいいけど、ぬめりがでてしまいますし、うまみも出てしまいます)
あとは、それをあつあつのごはんにのせるだけ! (にんにくのみじん切りを入れてもいいですね)
どうして『りゅうきゅう漬け』、というのでしょうね? 沖縄の漁師さんが伝えたとか、ゴマを使う料理の利休からきたのでは、という説があるそうですが。
海の幸に勝るものはないと思いますねえ。海辺に生まれた方は本当にうらやましい。
さて現在、主人が船員である私は、あるひとつの海の幸が享受できます。
それはクジラ肉。
主人が組合に頼めば、手に入ります。
クジラ。
今では食べるのが難しいですからねえ。
確か私が保育園児のころにはたやすく食べることのできた食材だったと思いますが。
保育園の給食のカレー肉はクジラ肉でしたし、クジラのカツ、なんていうのが月一でメニューであったのを覚えています。
そう考えると、クジラを簡単に食べることのできた時代をぎりぎり経験することができた私の年代はラッキーな年代? ですよねえ。
今年も、クジラの刺身や関西人のお決まりの『ハリハリ鍋』(クジラ肉と水菜の鍋)を食べ、やっぱり海の幸の勝ちだな、と思った私でありました。