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ヒーロー 1

最近、仮面ライダーより昆虫に興味が移行しつつある息子ですが、1年前まではヒーローにどっぷり浸かっておりました。


--日曜日の朝。

苦痛でした。

朝じゃなくて、夕方に放映してくれればいいのに……。

休日の朝、7時半から戦隊モノが開始、8時から仮面ライダーが始まります。


子供が生まれれば、惰眠をむさぼるなんて夢のなかの夢だということは承知しておりますが(いつになったら、再び可能になるのでしょう。下の子が小学生になったら、可能かな……)それでも、つらい。


日曜ですよ。休日ですよ。仕事がないんですよ。

せめて、九時まで眠らせてほしい……!


「おかあさんも起きて。いっしょに、観ようよー」


……ああ、どうして子供って一人で観られないんでしょう!? 一人で観ればいいやん!


眠気と戦う努力はします。私。


「じゃあ、王子様のチューして」


目を閉じたまま、私は言います。


※(注: 私は毎朝起床時、そう言って息子に強制するウザい母親です)


ちゅっと、ほっぺたにおざなりに口をぶつける息子。


「もっと、ちゃんと!」(相当、ウザいです)


私の口にぶちゅううう、と数秒間唇を押し付ける息子。


「王子のチューしたったから、起きて」


ずりずり、と私は布団からはい出します。

ああ、眠い。

まぶたが開かないんですけど。ムリムリ。


折衷案としてかけぶとんを持ち出し、リビングの床、座ってテレビを見ている息子の隣に寝転がります。なんと行儀の悪い……。

でも、目がしょぼしょぼするんです! 脳波はまだデルタ波からシータ波の中間ぐらいなんですけど!


「おかあさん、観てる?!」


「観てる、観てる。(心の目で)声聞いてるから。話分かるから。……仁藤くん、出たら教えて」


※(注:仁藤くんとは仮面ライダー〇ィザードに出てきた近年のライダーでは私の中で一番ヒットした子です)


戦隊モノの番組(ゴー〇スターズだったかな?)を夢うつつで聞き、次の仮面ライダーの番組では仁藤くんの登場シーンだけはなんとかまぶたを上げてチェックします。

ああ、当然のように二度寝していたあのころの日々が懐かしい……。

レコーダーを買えばいいんですけどなね。

買おう買おう、と思いつつモノグサな私はそのままズルズルときてしまいました。--


えー、こんなにもヒーロー大好きな息子ですが、とてもチキンです。


ヒーローショーを観に行ったときのお話をします。


毎度のように、U子ちゃんからお誘いを受け、T君とともに住宅展示場のヒーローショーを観に行ったことがありました。

会場についたときは、すでに始まっておりました。

さぞ、ハイテンションで大喜びするだろうと手をつないでいる息子を見下ろしたら……あれ?

じっと固まってうつむき、上目づかいでヒーローのおにいさんたちを見ております。


「……怖いん?」


息子はうなずきます。

悪役か。悪役がでてくるのが怖いのか。


「大丈夫や。お母さんおるし。あの人らがやっつけてくれはるし。もっと、近くで観ようや」


そう、お母さんはもっとおにいさんたちを近くで見て、あのスーツの下の体を想像したい……!


※ (ヒーローショーに来ているママさんたちの2割ぐらいは、ヒーローのおにいさんをヨコシマな目で見ていると私は確信しています)


息子は固まったままです。

結局、一番後ろの会場の片隅で私の手を握りしめながら息子はショーを観ました。

(T君とU子ちゃんは、前の方でバッチリ観劇してました)


さて、最後にはヒーローのおにいさんたちとの握手会がありますね!

せっかくだからきっちり握手してもらって帰ろう! と思いましたら。

あれ?

また息子はじっと固まって、上目遣いでおにいさんたちを見ているではありませんか。


「え? ゴー〇スターも怖いの?」


息子は小さく頷きました。


なんなんでしょう? いつもテレビでしか見ていないものが実物大で現れて、とまどっているのでしょうか。

そういえば、着ぐるみ全般が息子は苦手です。

TDLに行った時も、近寄ってきたミニーちゃんに息子は大泣きでしたし。

ソフ〇バンクの白いお父さんや、せん〇くんが視界に入るやいなや、走って逃げました。

家に獅子舞が来た時も、怖くて押し入れに隠れ、頭を噛んでもらえず。


少し、心当たりがあります。

息子が2歳くらいのころ、横浜川崎市のハロウィン仮装行列(有名ですね)を観に行きました。

息子は大泣き。とてつもなくリアルで大人の私でもかなりショックを受けました。

それが、尾をひいているのかもしれません。


結局、握手をせずに帰りました。あー、もったいない。


もう少し大きくなってからまた連れてきてあげよう、とその時は思いました。


そして、5歳になった、ついこの間。

下船してた主人に、息子はヒーローショーに連れて行ってもらいました。

私はメールを会場にいる主人に送りました。


『ちゃんと観てる?』


主人からメールが返ってきました。

画像つき。


あれ?

車の中で笑顔で写っている息子。


『うん、ちゃんと聞いてます』


相変わらず、チキン!!


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